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やちむんとは、沖縄の方言で焼き物のこと。長年の伝統が受け継がれている民芸品で、日常的に利用できる食器は沖縄旅行のお土産としても人気が高いです。
長年の伝統を継承しつつ、若い感性を加えた作品も増えている「やちむん」は、沖縄の生活用品としてはもちろん、現在では人気の観光土産となっています。 やちむんの原点は、400年以上も昔の1600年頃で、まだ沖縄が琉球王国と呼ばれていた時代。その頃の琉球王国は小さな島国でありながら、中国やタイといった外国と交易を行い、すぐれた貿易国家へと成長していました。そんな琉球王国に、海外から陶磁器が豊富に持ち込まれ、焼き物の技術が発展、それが「やちむん」の原点となりました。更新日/2015年 8月▶沖縄のものづくり・工芸体験特集|体験プラン&予約はこちら
[たびらいセレクション]
(くらなり たろう) 倉成 多郎 さん
食器や壺など、生活の道具として、沖縄の暮らしの中で愛用されているやちむん。沖縄の方言で「焼き物」のことを指す沖縄県産の陶器は、県外からも広く注目を集め、普段使いの器として若い女性を中心に人気が高いです。 やちむんの歴史は古く、琉球王朝時代にまでさかのぼります。「1616年、薩摩藩から朝鮮人陶工3名が技術指導のために琉球を訪れたことがきっかけです。その後、各地で焼き物が作られていたようですが、1682年に当時の尚貞王(しょうていおう)が焼き物産業の振興を目的に、県内に点在していた陶工を壺屋(つぼや)に集めたことが、壺屋焼誕生のきっかけです」と話す倉成さん。壺屋は現在の那覇市内にあり、国際通りや牧志公設市場といった定番観光スポットのすぐそばに位置しています。この地が選ばれた理由は、首里城と那覇の中間にあり、焼き物づくりに必要な水や土の確保が容易で、薪や粘土などの物資を受け取るために利用した安里川(あさとがわ)に近かったからだといわれています。「当時、主に作られていたのは、壺や甕。それらは“コンテナ”として利用されていたんです。泡盛を入れて離島や海外に輸出したり、海産物を入れて輸入したり。そこから皿や器といった家庭用品に発達していったと考えられています」と倉成さん。その後、壺屋焼が活気づいたのは、明治から大正時代の頃。泡盛の輸出が大幅に増え、壺の生産量が格段に増えたからです。しかし、廃藩置県などを経て、琉球王国が沖縄県になると、県外から多くの安価な焼き物が流入し、壺屋焼は衰退してしまいます。
その後、壺屋焼は低迷するが、1926年頃からはじまった民藝運動(みんげいうんどう)が再生のきっかけとなりました。暮らしの中で愛用された日用品の中に“用の美”を見出し、活用する民藝運動は沖縄にも及び、壺屋焼の素晴らしさは全国に伝わりました。この運動により復活した壺屋焼ですが、今度は太平洋戦争の痛手を受けます。「幸い、壺屋地域の戦争被害は軽く、戦後すぐに活動を再開することができました。陶工たちは、戦争で失われた皿や器、壺などの生活用品の製作に励みました」と倉成さんは話します。 戦後の復興に貢献した壺屋焼ですが、1970年代に入ると、またしても問題に直面します。それは焼き物の製作時に発生する煙による公害問題でした。那覇市は、薪をたく登り窯の使用を禁止、陶工たちはガス窯への転換を余儀なくされます。途方に暮れた陶工たちを救ったのが、沖縄県中部にある読谷村(よみたんそん)でした。「当時、文化村構想を進めていた読谷村は、陶工たちに元米軍用地を提供し、そこに登り窯を作ることを提案しました。登り窯にこだわった人間国宝の金城次郎さんをはじめ、多くの陶工たちが読谷に移り住み、それから読谷は“やちむんの里”として大きく発展していったのです」。 現在では、壺屋はやちむんの故郷、読谷はやちむんの聖地とも呼ばれ、どちらも多くの観光客が訪れます。倉成さんにそれぞれの地域の印象について聞いてみました。「壺屋は、300年以上前から焼き物を焼き続けてきた場所。沖縄戦の被害が少なかったので、昔ながらの街並みが残っていて、戦前の風景を垣間見ることができます。読谷は1970年代から焼き物作りが始まった地域で、やちむんが好きな人たちが集まり、壺屋に比べるとまだまだ若いですが、パワーがある場所。新しいやちむんが次々と作られているというおもしろさがありますね」。
現在、作られているやちむんは、大きく分けてふたつあると話す倉成さん。「アラヤチ(荒焼)とジョーヤチ(上焼)の2種類があります。アラヤチは1600年代の初めから作られているやちむんで、壺や水瓶など大型のものが多く、釉薬をかけずに焼き、土の表情が残っています。一方のジョーヤチは、釉薬で装飾が加えられたもので、食器、酒器、花器類など小さいものが多く、今日のやちむんの主流をなしていますが、昔は生産量が少なかったようです。その理由は、中国から陶磁器が輸入されていたので、作る必要がなかったから。当時の裕福な氏族たちは、中国産陶磁器や伊万里焼を使っていたといわれています」。釉薬の有無や大きさ以外にも違いがあり、アラヤチは低め、ジョーヤチは高い温度で焼き上げているそうです。焼き上げの話が出たところで、倉成さんにガス窯と登り窯の違いについて聞いてみました。「どちらが良いというわけではなく、それぞれに特徴があります。ガス窯だと温度が安定しているので、きれいに焼き上がりますし、登り窯だと予想のつかない色やムラが出て、それが味になる。見比べると興味深いと思います」。
最近では、食器が主流の壺屋焼ですが、昔のやちむんにはどんなものがあったのでしょうか。「変わったものでいえば、丁子風炉(ちょうじぶろ)でしょう。香炉に似た焼き物です。香辛料として使われるクローブを煎じて、室内に香りを発散させるもので、今でいうアロマのようなものですね。それから嘉瓶(ゆしびん)という、お祝い事に使われた酒器。「ゆし」は「かりゆし」に通じる言葉で、めでたい事を意味します。後は、昔の骨壺である厨子甕(ずしがめ)も独特の焼き物ですね」。さまざまな用途で作られたやちむんの多様性が魅力的だと話す倉成さん。現在では、日常使いしやすいものから高価な工芸品まで色々な種類の焼き物があり、さらに幅が広がったと感じています。「壺屋地域にも読谷にも魅力的な作家が多いです。例えば、読谷山焼・北窯の松田米司さんです。2013年の9月から10月の上旬までイギリスで個展を開催されていました。ずっと登り窯にこだわりを持っていらっしゃる松田さんは、とても勉強熱心な方で、時々、うちの博物館にいらして倉庫を見学なさって(※注)、次のやちむん作りに活かしているようです。また、若手では、壺屋のギャラリー陶房んちゃぜーくの石倉一人さんです。瀬戸で修行されたそうで、県外の技術や模様を取り入れながら、おもしろいやちむんを作っていますよ。若い感性が吹き込まれたやちむんには、新鮮さを感じるはずです」 多くの店舗が軒を連ねる壺屋、そして多くの工房が点在する読谷、どちらに行ってもお気に入りのやちむんがきっと見つかるはずです。沖縄観光の際には、ぜひやちむんめぐりに訪れてみてはいかがでしょうか。※注 倉庫の見学は陶工のみが対象。一般の方は見学できません。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
やちむんの“故郷”と“聖地”にはぜひ訪れたいですね。工房の中には、ギャラリーを併設しているところもあります。作り手の人柄に触れ、作業風景を見ながら作品を選ぶのは、やちむんめぐりの醍醐味。
色の濃い、沖縄伝統の島やさいは、どっしりとしたやちむんがよく似合います。調理された料理がどのようなやちむんで登場するのか。そんなワクワク感も旅の楽しさのひとつです。
一度にたくさんのやちむんに出合うには陶器市がおすすめ。あれこれと迷うのも楽しいひとときです。
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やちむんが生まれる瞬間
陶工家たちが一つひとつ丁寧に作り上げるやちむん。土をこね、形を整え、そして焼き上げます。手作りの温かさが伝わってくるようです。
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