「与那国島」日本最西端にある
絶海の離島

石垣島から飛行機に乗って30分、日本最西端の地「与那国島」は、面積約29平方キロメートル、周囲約28キロ、人口約2000人。車で一周しても約1時間の小さな島。島全体が切り立った崖のような形をしていて、特に海岸は断崖絶壁が続き、この島ならではの独特の光景が見られます。また、島内の三分の二は牧場になっており、時折馬の群れがのんびりと散歩をする風景を見られます。

与那国島の沖合は黒潮の影響で海の透明度が高く、上級ダイバーに人気の海となっています。時にはジンベエザメやイルカ、冬になるとハンマーヘッドシャークの群れに会えるのがその理由。昭和61年（1986）には、「海底遺跡」と思われる地形も地元ダイバーによって発見されました。巨大な岩礁で、インカ遺跡を思わせる形状からそう呼ばれていますが、それが人の手によるものなのか、自然によるものなのかはいまだ謎のまま。ミステリアスな雰囲気も含めて、楽しんでほしい場所です。「海底遺跡」はダイビングはもちろんのこと、グラスボートでも見学が可能。ぜひ一度は見ておきたいポイントです。

与那国島の魅力はそれだけではありません。最西端の地だからこそ“日本で一番最後に沈む夕日”が見られるのもポイント。久部良の港のそばには、「日本最後の夕日が見える丘」もあります。海岸沿いから水平線に沈む夕日を見ながら島の一日の終わりを感じるのも、島の楽しみ方のひとつですね。

与那国島にしかない特産品といえば「花酒」と呼ばれるアルコール成分60度の泡盛。泡盛の蒸留工程で最初（＝端＝はな）に抽出される酒ということから、そう名付けられたといいます。島で古くから神事や冠婚葬祭に使われてきたことや、琉球王に献上していたことなどの歴史的背景が認められており、日本で唯一、与那国島だけで製造を許可されています。崎元酒造所の「与那国」、国泉泡盛の「どなん」、入波平酒造の「舞富名（まいふな）」の3つの銘柄があり、クバ（びろう樹）の葉で包まれたクバ巻きというスタイルも独特ですよ。

伝統工芸品では、500年もの歴史を持つ与那国織が有名。幾何学模様の「与那国花織」、豊年祭などの祭りに着られる「ドゥタティ」、植物で染めた色糸が織り込まれた「シダディ（手ぬぐい）」、夫婦を表す絣模様が織られた「カガンヌブー」の4種類に大きく分かれ、豊かな織物文化を今に伝えています。ストラップやバッグなどの小物も豊富。祖納にある与那国町伝統織物協同組合では販売だけでなく、制作の工程も見学できますよ。

食べ物では、名物のカジキを加工して作られたジャーキーやかまぼこはおつまみとして人気です。長命草を練り込んだ麺や昔ながらの製法で作られる天然塩、島のおばぁが作る伝統のクバ餅など、土地の空気まで味わえるようなものばかりです。

与那国島には、島を挙げて盛り上がるイベントがいくつかあります。中でも一番盛り上がるのが、毎年7月に開催される「日本最西端与那国島国際カジキ釣り大会」。競技種目はトローリング部門など本格的な大物釣りのほか、磯釣りや親子釣り大会などもあり、釣り好きなら誰でも楽しめる内容となっています。

また、毎年11月の第2土曜日に行われるのが「与那国島一周マラソン大会」。県外から島を訪れるリピーターも年々増え、開催期間は島の宿がいっぱいになってしまうほど。レース終了後のふれあいパーティーも、地域の人々と交流できるとあって人気が高いです。

その他、島の伝統的な行事も盛ん。与那国島の祭事は節目ごとに大小30にもおよび、その中でもっともにぎやかなのが、旧暦6月以降の吉日に行われる「豊年祭」。島の各集落が披露する舞踊や東西に分かれての大綱引き、ドゥンタと呼ばれる踊りなどが披露されます。