赤、青、緑など南国らしい明るい色合いや、丸みのある素朴な形がお土産に人気の琉球ガラス。今や沖縄旅行の際に必ずと言っていいほど見かける定番商品となっています。
沖縄の工芸品やかわいいお土産として人気の高い琉球ガラスが、沖縄県の伝統工芸品に認定されたのは平成10年(1998)のこと。100年以上前から作られている沖縄の織物や染め物、やちむん(焼き物)に比べ、戦後生まれた琉球ガラスの歴史はまだ浅いのです。
戦前より、長崎や大阪から来た職人から技術を学び、廃瓶を利用した「ほや(ランプのガラスカバー)」や「投薬瓶」が沖縄でも作られていましたが、第二次世界大戦後、アメリカから入ってくる色付きの廃瓶が出回ると、透明のガラスだけでなく水色や緑色といったものが作られるようになりました。廃瓶を利用すると不純物が混ざり気泡が生じやすくなるため、独特の厚みを持ったガラスになりましたが、それがアメリカ人に受け入れられ、日用品やお土産としての需要が高まりました。
廃瓶をガラスの原料として再利用する際に、瓶を一つひとつ洗い、細かく砕いていくのですが、これはとても手間のかかる作業だといわれています。現在は、鮮やかな色を出すために粉状の材料が主流になってきましたが、那覇市の奥原硝子製造所のように今でも廃瓶や廃ガラスを使っている工房も。こうして、戦後の沖縄の地で独自に生まれた琉球ガラスは、時代の変化とともに、工芸品やお土産としての需要が高まり、今のような色鮮やかで、さまざまな形が作られるように発展、進化を遂げていきます。
原材料や技術の進歩によって、これまでになかった色や形を表現できるようになった琉球ガラスは、昭和50年(1975)の沖縄海洋博覧会をきっかけに、沖縄のお土産として全国的に認知されるようになりました。ガラス工房の数が増えるにつれて、各工房の職人たちは、色を重ねたり、ガラスに含まれる気泡の形を変えたり、新たな技法を模索するようになったといいます。
実際に自分で作ることができるのも琉球ガラスの醍醐味。特に日常的に使えるグラスがおすすめです。色や形、模様、表面の凹凸などを決めて作る世界にたったひとつのオリジナルグラスは、旅の思い出やお土産にぴったり。
作り方は大きく分けてふたつ。真っ赤に溶けたガラスを鉄パイプの先に巻き取り、反対側から息を吹き、膨らませながらくるくると回して形を作る「宙吹き法」は、職人気分を味わえる製法です。もう一方は、木型や金型の内側に吹き込む「型吹き法」で、手軽に挑戦できる作り方。仲間同士揃えるもよし、形や模様に思い切りこだわるもよし、作る楽しみも味わえます。
最後に、おすすめしたいのが女性作家の琉球ガラス。豊かな感性で自由に作られた作品は、女性ならではのやさしい曲線ややわらかな色彩が特徴で、若い女性を中心に注目を集めています。作家自身の工房や、セレクトショップ、一部のカフェで作品を取り扱っているので、ぜひ一度その美しい感性に触れてみて。