「座間味島の楽しみ方」 慶良間諸島を代表する離島
那覇から高速船で50分!沖縄本島から気軽に渡れる青い島。慶良間諸島を代表する離島・座間味島で観光客も島人もみんなが頼りにする島唯一のストアー「105」を中心に座間味島の楽しみ方を紹介。
![世界有数の美しさを誇る座間味島の海 世界有数の美しさを誇る座間味島の海]()
夏はダイビングを始めとするマリンスポーツを中心に、冬はホエールウォッチングを中心にして年間を通し賑わう。慶良間諸島のほぼ中心に位置し、本島から比較的近い離島ということもあって、リピーターも多い。かつては唐船貿易の中継地として重要な役割を果たすなど、昔から、沖縄の海上交通の要になっていた。今でも、東シナ海や太平洋を航行する船が台風などの悪天候に見舞われた時には、避難島として利用されている。
映画「マリリンに逢いたい」のロケ地になったことでも知られ、港近くの阿嘉島が見渡せる場所にはマリリンの像もある。ちなみに阿嘉島にはシロの像が、海を隔てて向かい合って建てられている。島には標高161メートルの太岳や144メートルの番所山など、見晴らしの良い場所がたくさんあり、展望してみる海もまた格別である。
(聞き手/島ライター伊藤麻由子)
更新日/平成29年(2017)6月
達人が語る「座間味島」の楽しみ方
![105ストアーは島の情報基地 105ストアーは島の情報基地]()
座間味島(ざまみじま)は、那覇の港・とまりんから高速船で約50分。気軽に行ける離島として人気だが、一番の魅力はオフシーズンがないこと。夏は定番のマリンスポーツを存分に楽しむことができ(沖縄の夏は長く、5月頃から10月頃までは夏の気候)、冬はホエールウォッチングを楽しむことができる。クジラが繁殖や子育てをしに慶良間の海域にやってくる姿がみられるのだ。座間味島は1年中楽しい。
座間味島の達人・宮村はじめさんは、そんな座間味島のことをスーパー「105ストアー」のオーナーとして見守ってきている。105スーパーは島のみんなの拠り所であるたった一軒のスーパーマーケットだ。島の子どもから、おばぁやおじぃ、警察官も先生も、そしてもちろん観光客も、島にいればこの105ストアーにみんな立ち寄り、頼りにしているのだ。
「うちは民宿もやっているからね。どうぞ気軽に来てくださいね」
105ストアーも、多くの民宿やペンションも、飲食店もフェリーターミナルから歩いて数分の、島の中心集落・座間味集落の中に固まっている。島に着いて少し歩けば、大体の位置関係がわかる。初めて訪れても、すぐに島の達人になれるだろう。
島にある3つの集落ごとに、旅の過ごし方が変わる
![座間味集落の幼稚園・小学校は学びの場であり、遊び場でもある 座間味集落の幼稚園・小学校は学びの場であり、遊び場でもある]()
座間味島はフェリーターミナル前に広がる「座間味集落」と、ターミナルから島の東側「阿佐集落」、島の西側「阿真集落」の3つに分かれている。阿佐や阿真にも民宿や村営のロッジなどがあり、リピーターの中には、地区ごとに宿泊巡りをする人もいる。阿真集落には、ウミガメが産卵にやってくることで知られる阿真ビーチが散歩圏内にある。ターミナル周辺の賑わいから離れて、ひたすらのんびりするなら阿佐集落。座間味集落は、島一番の繁華街で、常に人が行き交っている。晴れの日でも雨の日でも、夏でも冬でも、ここ座間味集落を歩くのは座間味の楽しみ方の一つだと達人は言う。
「路地を横道にそれて入っていくと、洒落たレストランがあったり、カフェや居酒屋があったり、ブーゲンビリアのきれいな古民家が並んでいたり。ネコ好きにはたまらない島ネコの姿も、ここの集落ではたくさん見かける。島オリジナルのTシャツやステッカーなどをデザインしている店もあるからのぞいてみて」。
沖縄は筋グワー(横道)が楽しいのはよく知られるところだが、座間味島のそれは、離島らしい素朴さと、移住してきた若者のちょっとおしゃれな感覚と、ほかの離島にはない華やかな明るさを持ち合わせている。海遊びのあとは、夕日が沈むまでのんびりと散策するのがおすすめ。決して迷うことはないから。
夏はマリンスポーツ・冬はホエールウォッチングで海三昧!
![手が届きそうなほど近くで見られることも 手が届きそうなほど近くで見られることも]()
達人は座間味生まれ座間味育ちだが、海のこととなると弟の宮村幸文さんの方が得意だという。島では幸坊と呼ばれる幸文さんは、マリンショップ「ハートランド」を経営し、ホエールウォッチング船の船長としてのガイドにも定評がある。
幸文さんに座間味の海の魅力を聞いてみると、話が止まらない。まずはダイビングだが、「初心者から上級者まで楽しむポイントがたくさんあって、世界有数の美しさと言われるサンゴ礁の海は魚影も濃くて、とにかく竜宮城のようだよ」と。
「夏のトップシーズンはもちろんだけど、観光客が少なくなる夏休みの後から秋にかけては、海の透明度が抜群になるから、体験ダイビングやシュノーケルでも十分に楽しめるはず。友だち同士、家族、カップルでの来る人が多いけど、一人でふらっと来ても、海の楽しさに一瞬でみんな友だちになるから、大丈夫。島の人もみんな親切に対応してくれるさ」。
幸文さんは釣りもおすすめと言う。「夕方、針に何にもつけずに岩場から投げ入れしても小魚が釣れたりするんだよ」。少し沖に船を出せば、カジキやサワラなどの大きな獲物狙いのトローリングも楽しめる。
島の海も冬になれば、さすがに海水浴はできないが、クリスマス前後から3月ぐらいまでは、ホエールウォッチングで島は盛り上がる。座間味島には、座間味村ホエールウォッチング協会があり、クジラを見たいとやってくる人たちの窓口になっており、クジラ保護のための独自のルール作りもしている。ホエールウォッチングは、幸文さんのようなショップがウォッチング船を出しているので、予約して乗船する。どの船がクジラと遭遇できるかは運次第だが、協会では展望台からクジラを監視していて、無線でウォッチング船とやりとりしているので、クジラが見られる確率が高く、さらに慣れたクジラは船のそばまでやってくるので、間近で見ることができる。
幸文さんは20年ほど前、村内航路の船長をしていた時に、突然その巨体を目の前にした。まだ、クジラが回遊していることにみんなが気付いていない頃のことだ。衝撃的すぎる出合いにより、幸文さんの人生からクジラは不可欠なものになった。だから、島の誰よりもクジラに思い入れがあって、そのガイドも評判を呼んでいるのだ。「クジラは一度遭ってしまうと忘れられない感動があるさ」。幸文さんの言葉が心に響く。
慶良間を一望できる山で野草探し
![道路脇の小高い丘に登ってみると野草を探すことができる 道路脇の小高い丘に登ってみると野草を探すことができる]()
レンタカーやレンタバイクで島を周遊すると、アップダウンのある山道ドライブが楽しめる。クジラの監視用に使われている展望台をはじめ、島にはいくつも展望台があり、慶良間諸島を一望できる。座間味島で味わえる絶景は、山遊びならではの魅力だ。達人だけが知るガイドブックに載っていない絶景ポイントは、105ストアーに行って聞いてみるといい。
「座間味島は海のイメージがあるけれど、山も面白いんだ。時間があるときには島のあちこちの山を歩くんだけど、食べられる野草がたくさんあるんだよ」。てんぷらなどにするそうだが、達人の民宿に泊まれば、採れたての島の野草のてんぷらが食べられるかもしれない。山で実を付ける山桃で作った「ざまみの山桃酒」も大評判だ。達人のアイデアで生まれたお酒で、自生している山桃の実を3月頃に収穫して仕込み、7月頃から限定量で販売されている。