ブルーシールアイスクリームの魅力に迫る
沖縄のアイスクリームといえば“ブルーシール(BLUE SEAL)”。南国・沖縄の旅に欠かすことのできない定番の一品です。滑らかさが自慢のアイスクリームのおいしさの秘密や人気のフレーバーを紹介します。ぜひ沖縄で、強い日差しの下で味わいましょう。
![沖縄の青い空に映えるブルーシール牧港本店 沖縄の青い空に映えるブルーシール牧港本店]()
もともとはアメリカ人向けのアイスクリームショップだった“ブルーシール”。そのおいしさを沖縄の人たちにも味わってもらおうと、今から1963年に浦添市牧港(うらそえしまきみなと)に1号店がオープンしました。現在では、沖縄のアイスクリームといえば“ブルーシール”と言われるほど、沖縄県民はもちろん、多くの観光客にも愛されています。
そんなブルーシールの魅力について、「ブルーシールのことなら何でもおまかせ!」という達人に、その人気とおいしさのヒミツを教えてもらいました。この記事を読んだ後には、きっとブルーシールアイスが食べたくなるはずです。
2016年9月20日には新施設「ICE PARK(アイスパーク)」が誕生。
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《この記事を読む人におすすめの情報》
米軍基地生まれ沖縄育ちのブルーシールアイスクリーム
![色とりどりのアイスが並んだショーケース 色とりどりのアイスが並んだショーケース]()
那覇空港から車を走らせること30分。国道58号線沿いの左手に、ひときわ目立つ建物が見えてきます。沖縄の真っ青な空に映えるブルーとオレンジのサンシェードに、食欲をそそるアイスクリーム型の看板。浦添市牧港にあるブルーシール牧港本店です。
もともとは米軍基地にあったアメリカ人向けに乳製品やアイスクリームを扱っていました。1963年、沖縄の人たちにも食べてもらいたいとの思いから、基地の外へと飛び出し、カラフルで濃厚な味わいのアイスは瞬く間に評判となりました。週末には多くのウチナーンチュ(沖縄の方言で沖縄県民のこと)が店に押しかけたそうです。
「当時、アイスクリームは高級品で、ブルーシールに行かないと食べられない特別なデザートだったんですよ」と話す下地さん。ランチ代よりも高価だったのにもかかわらず、店には多くのお客さんが押し寄せました。
「現在でも常時30種類のフレーバーを用意していますが、創業当時は47種類もあったんです。アメリカ人の工場長が、たびたび本国に帰っては現地で美味しいものを見つけて、それをアイスにし、すぐに店頭で販売していたそうです。当時、試作品を含めたレシピの数が120~130種くらいあったそうですよ」と下地さん。チョコレートやバニラなどの定番フレーバーはもちろんのこと、中には変わりダネも。「独特の甘みを持つペカンナッツにハワイ産のコナコーヒー、ふわふわのマシュマロを合わせた『ミシシッピーマッド』というフレーバーがあったんです。外国人の工場長らしいアイスだなって思いますよね(笑)」
その後、アメリカ生まれのレシピを高温多湿な沖縄の気候に合わせて改良し、コクがありながらも滑らかさが自慢のアイスクリームに仕上がりました。ブルーシールの店内のショーケースには、ショッキングピンクやペパーミントグリーンといった色鮮やかなアイスの他、サトウキビやシークヮーサー、紅イモなど、沖縄らしいフレーバーも並んでいます。ちなみにブルーシールの年間を通して人気No.1はバニラではなく、なんとバニラにチョコクッキーが散りばめられたバニラ&クッキー。2位はパイナップルアイスに爽やかなソーダシャーベットをプラスした夏の期間限定商品のブルーウェーブ、3位はグリーンミントアイスとチョコチップをミックスした、サンフランシスコミントチョコだったそうです。
沖縄県民も観光客もお酒を飲んだ後は“締めアイス”
![アイスと一緒に『はい、ポーズ!』 アイスと一緒に『はい、ポーズ!』]()
社員としてブルーシールに入社する前は、アルバイトのスタッフとして働いていた下地さんに、当時の思い出を聞いてみました。
「飲食店が多く建ち並ぶショップに勤めていたのですが、お酒を楽しまれた後にアイスを食べるお客様が結構いたんですよ。皆さん、いい気分で入ってこられて、気さくに話しかけてくれます。中には、レジ横からなかなか離れないお客様もいて(笑)。『沖縄そばを食べてきた』とか『本島北部に行って来た』という世間話から、『どのフレーバーが一番人気なの?アナタのオススメは?』ってアイスのご相談まで、いろいろと話をしましたね。地元のお客様にはリピーターの方もいて、こちらも好みのフレーバーを覚えてしまい、入口にお姿が見えたら『あっ!マカデミアナッツのお客様だ』って(笑)」
スタッフにお願いすれば、試食もできるそうです。チョコやクッキーなど、アメリカンなトッピングも楽しみながら、好きなフレーバーを見つけてみましょう。
また、下地さんのお気に入りの“ポーラベアー”は、ブルーシール創業当時から販売されているロングセラー商品。ビスケットにバニラアイスを挟んだポーラベアーは、パッケージ描かれた熊のイラストから、年配の方たちには『シロクマ』の愛称で呼ばれています。さくさくとしたビスケットの食感と、とろ~り濃厚なバニラアイスは絶妙な組み合わせ。昔ながらの味わいは、今も変わらず人気です。
冷たくてスイートな味に笑顔があふれだす
![「お待たせしました!」とおいしいアイスを笑顔で手渡し 「お待たせしました!」とおいしいアイスを笑顔で手渡し]()
取材中、ふと店内に目を向けると、奥のテーブル席で買ったばかりのアイスを楽しむ、おじぃとおばぁ(沖縄の方言で、おじいさんとおばあさんのこと)の姿がありました。どこか懐かしさを感じさせるアメリカンな雰囲気の店内に、2人の姿は自然と馴染んでいて、おいしそうにアイスを食べながら、ゆんたく(沖縄の方言でおしゃべりを意味する)を楽しんでいます。
「ブルーシール牧港本店は、2009年に店内を改装したんです。創業当時の1960年代の雰囲気を再現しました」と下地さん。真っ赤なソファが並ぶボックス席や、英語表記のメニューなど、店内はアメリカンテイスト満載です。「昔から足を運んでくださっているご年配の方や、ベテランのタクシードライバーさんから『懐かしいね~』と声をかけていただきました」。また、店内の雰囲気に合わせて、ユニフォームも当時のデザインを採用。これには意外な効果もあったようで「新しいユニフォームになってから、スタッフがすごくかわいくなったんですよ」と笑う下地さん。それまでのパンツスタイルから、黒地のミニ丈のワンピースへ変更したところ、スタッフはより一層オシャレに気を使うようになったそうで、ブルーシールの店員になりたいと憧れを抱く女の子も現れたそうです。
アメリカ生まれ、沖縄育ちのブルーシールアイスは、沖縄らしい“チャンプルー文化(まぜこぜの文化)”の賜物。コクがありながらも、軽い口当たりのさっぱりとしたブルーシールアイスを、ぜひ沖縄の真っ青な空の下で味わってほしいですね。