沖縄のパン屋さん巡りの楽しみ方
ここ数年、沖縄でパン屋さんが急増しています。やわらかいパンから総菜パン、そしてハード系までバラエティに富んだ沖縄のパンの世界を、パンをこよなく愛する達人が紹介します。
![見るからに食欲をそそるパンたち。こだわりの店も増えた 見るからに食欲をそそるパンたち。こだわりの店も増えた]()
沖縄でおいしいパン屋さんが増えています。天然酵母や小麦粉など素材にこだわり、フランスパンやカンパーニュといった、いわゆるハード系と言われるパンを焼く個人のお店です。オーナーそれぞれにこだわりを持って、味とコンセプト、空間にオリジナリティを持たせているので、ひとつとして同じ店はなく、パン屋巡りをする観光客も少なくなくありません。素材の違いを楽しむだけでなく、カフェのようにその場で食べていけるお店もあるので、お店の雰囲気も楽しめます。個性あふれる沖縄のパン屋の楽しみ方を紹介しましょう。
更新日/2015年 12月
《この記事を読む人におすすめの情報》
天然酵母系パン屋さんを巡る
![どっしりとして、食べ応えがある天然酵母パンが並ぶ どっしりとして、食べ応えがある天然酵母パンが並ぶ]()
天然酵母とは果物や穀物、空気中にある菌類を採取して、発酵させた酵母のことです。沖縄ではもともとイーストを使ったソフトなパンが好まれる傾向にありました。しかし、添加物や保存料を使用していないので、安心、安全に食べられるということと、天然酵母のパンが醸し出すほのかな酸味や素朴な味わいが人気となって、最近では天然酵母でパンを焼くパン屋さんが増えています。「ちいさな個人のお店が多いので、つくっている人の顔が見える、というのも魅力ですね」と話す辻さん。そんな、つくり手の心が伝わってくるような、やさしい味わいのパンが多いのも特徴です。酵母はレーズンや小麦粉など起こした素材によっても風味が変わってきます。一見同じように見えても、お店ごとに味わいが異なるので、その違いを食べ比べてみるのも楽しいですよ。
個性も豊かにバラエティに富んだパン屋
![食パンの「専門店」ippe coppeの食パン 食パンの「専門店」ippe coppeの食パン]()
ちいさな個人のお店が多いだけに、それぞれに個性が感じられるのも沖縄のパン屋さんの楽しいところです。たとえば浦添市にあるippe coppeや天食米果は、食パンにこだわった専門店。商品はほぼ食パンのみというこだわりようです。パンだけでなく、空間で個性を発揮するお店もあります。北中城村のプラウマンズランチベーカリーは、高台に建つ外人住宅を改装したセンスの良い雰囲気が人気。読谷村にある水円は、古い民家を改装した空間が心地よく、そのパンだけでなく、空間で多くの人をとりこにしています。また、地のものを使う、というのも沖縄のパン屋さんの特徴と言えるでしょう。パンの素材として使うだけでなく、水円や宜野湾市の宗像堂などでは、店頭で農家による野菜の直売が行われることもあり、農家とのつながりの強さを感じさせてくれます。また、読谷村のおとなりやはパンと野菜を物々交換して、地の食材を入手することもあるそうです。「アーサ(アオサ)や紅芋など、沖縄ならではの素材が使われたパンは、他ではなかなか食べられないと思うので、そんなお店ごとの“個性”をぜひ感じてみてください」。
カフェのように居心地の良いパン屋
![パン屋といえど、カフェのように居心地の良い店内 パン屋といえど、カフェのように居心地の良い店内]()
プラウマンズランチベーカリーは、北中城村の高台にある外人住宅を改装していて、一棟全体がお店になっています。パン屋としては広く、パンの販売だけでなく、古材や古家具を活かして客席が設けられており、野菜たっぷりのプレートとともにパンをいただくことができます。その他、水円や宗像堂も客席が設けられ、自家製のパンでつくったパニーニやパンにあうスープのセットなどを楽しむこともできます。BOULANGELIE CAFE YAMASHITAは、店内で購入したパンを食べながら、テラスの席に座って浜比嘉島や海に伸びる海中道路を眺めつつ、のんびりと過ごすことがおすすめです。「パン屋といってもカフェと変わらないような空間を持っているパン屋も多いです。焼きたてのパンを、その場でいただくことができるのはパン好きにとってはたまらないですよね」と笑顔で話す辻さん。プラウマンズランチベーカリーや今帰仁村にあるブーランジュリー&カフェcooなど、沖縄のカフェのに比べるとオープン時間の早いお店もあり(午前9時開店)、早めに起きて焼きたてのパンで朝食をとりながら、その日の旅程を考える、というのもおすすめの旅の過ごし方です。