1. 「伊是名島」琉球国王生誕の離島を旅する

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

「伊是名島」琉球国王生誕の離島を旅する

  サンゴ礁に囲まれ、小高い山が連なる小さな島・伊是名島(いぜなじま)。豊かな自然と昔から変わらない集落の風景が魅力です。農民から琉球国王となった尚円王(しょうえんおう)の生誕地として知られ、悠久な歴史が続いています。

伊是名島の絶景ポイント。海ギタラと陸(あぎ)ギタラ

  沖縄本島北部・今帰仁村(なきじんそん)の運天港(うんてんこう)からフェリーで約55分の距離にある伊是名島。円形の島は周囲が約16.7キロで、車でゆっくり走っても30分足らずで一周してしまうほどの小さな島です。美しいサンゴ礁に囲まれ、どこでもシュノーケリングやダイビングが楽しめるマリンスポーツの宝庫。サンゴの石垣に囲まれた赤瓦屋根の家屋が立ち並ぶ集落は、沖縄の原風景を思わせます。琉球王国・第二尚氏初代国王の尚円王生誕地として知られ、歴史を感じさせる関連史跡など見どころも多いようです。

取材日/2014年 7月3日 取材者/嘉手川学
更新日/2017年 6月

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伊礼 正徳さん
(いれい しょうとく)
伊礼 正徳さん

伊是名島の魅力を伝える達人
  伊是名村生まれ。いぜな島観光協会事務局長。当初は、伊是名村役場で土地改良事業などを担当していましたが、村が観光事業に力を入れることになり、5年前から観光関連業務を担当。観光協会設立のため各市町村の関連機関を調査研究し、さらに島の観光産業の発展に繋げる調査を行いました。島民との協議を重ねた結果、2011年に観光協会を設立して事務局長に就任。観光名所はもちろん、産業やイベントなど島の魅力を探しつつ、島の魅力を発信し続けています。

伊是名島で琉球王国尚円王ゆかりの歴史スポットを探訪

尚円王御庭公園。若き日の金丸(尚円王)の像が凛々しい

  農民から琉球国王になった尚円王の出身地、伊是名島。尚円王は即位前は金丸(かなまる)と名乗り、島には金丸に由来する史跡や伝説が数多く残っています。
「金丸は王になった後、伊是名島を城のある首里の直轄地としました。尚円王ゆかりの関連史跡も多く、中でも金丸の生誕地“みほそ所”は、ぜひ訪れてほしいスポットのひとつです」と話す達人の伊礼さん。
 金丸のへその緒を埋めたとされる“みほそ所”には自然石が置かれ、幽玄な雰囲気が漂っていました。みほそ所に隣接する尚円王御庭公園には、尚円王と同じ伊是名島出身の版画家・名嘉睦稔(なか ぼくねん)さんが制作した若き日の金丸をイメージした像が建立されています。
 他にも、島の生活道路であった石畳の「サムレー道」、尚円王の親族が住んでいた国指定重要文化財「銘苅家(めかるけ)」など、金丸ゆかりの史跡をゆっくりと巡ってみてはいかがでしょうか。

琉球王国が樹立するより前に築城された古城をトレッキング

尚円王の孫の尚真王が建てた陵墓の伊是名玉御殿

  フェリーから伊是名島を眺めているとピラミッドのような形をした三角形の山が見えます。不思議な雰囲気が感じられるその山は、伊是名城(グスク)。「築城されたのは10世紀~13世紀頃。記録は残っていませんが、グスクの形跡らしい石垣が中腹に残っており、頂上には水をためる井泉(井戸。方言で「カー」と呼ばれる)や石垣に囲まれた御嶽があり、本丸もあったのではないかと言われています」と伊礼さん。
 今でもグスク全体が拝所(うがんじゅ。神への祈りを行う場所)になっており、頂上の御嶽(うたき。祭祀を行う場所)では五穀豊穣や航海安全を祈願する豊年祭を行っているといいます。登ってみたところ、楽に歩けたのは最初だけで、その後はデコボコの石畳や階段が続き、背の高い草や雑木に覆われてなかなか前へ進めませんでした。かろうじてルートとわかる道を歩いてみると中腹にぽっかりと空間が現れ拝所がありました。その先には草木が生い茂っており、頂上を目指すのは断念。
 ヘトヘトになって宿に戻ると「4月に草刈り作業をしたけど、沖縄の植物は梅雨の後に急激に伸びるからね。観光シーズンになると、また草刈清掃するので登りやすくなるかも」と宿の人が言っていました。トレッキングをするなら、時期をみて挑戦した方がよさそうですね。

昔ながらの年中行事と伝統芸能で島の文化を知る

琉球王家ゆかりの公事清明祭に使われる道具も歴史的価値がある

  伊是名島の集落は、サンゴの石垣と緑豊かなフクギの大木に囲まれた赤瓦屋根の民家が立ち並びます。今でも旧暦に合わせた年中行事が生活の中で息づいています。「伊是名島の伝統行事は各集落で行う村祭りが中心。島内各地で行われる行事は誰でも見ることができますよ」と達人が教えてくれました。ただし、入ってはいけない場所に入らない、神女(ノロ)の祈りの妨げをしないなど、村の人の迷惑にならないようマナーは守ることです。
 観光客が見学しやすい行事は毎年4月の初旬、清明節の前に行われる「公事清明祭(クージヌシーミー)」。清明祭とは24節気の一つの清明節に行われる中国から伝わった祖先供養の行事。王家から始まり首里士族を中心に普及し、やがて沖縄本島や周辺離島に広まったと言われています。「公事清明祭」は尚円王ゆかりの伊是名玉御殿(たまうどぅん)で行われ、県内外や島内の尚家ゆかりの人をはじめ、村長など村の関係者が参列し、尚家の先祖を供養します。
 また、旧暦の6月には「ウンナー(綱引き)」があり、各集落で収穫された稲わらで編み上げた大綱による綱引きが行われます。伊是名島の綱引きは夜に行われ、泡盛片手に夜中まで盛り上がるといいます。
 どの行事も特に規制はないけれど、村のルールに従って見学しましょう。

自然がいっぱい。手つかずのビーチでアウトドアを楽しむ

伊是名ビーチから望む屋那覇島。島の向こう側に伊江島が見える

  自然豊かな伊是名島には猛毒を持つハブがいません(毒が弱いヒメハブは生息するが、かまれても軽い腫れやめまいが起こる程度で、死亡例はない)。 その昔、琉球列島が何度も隆起と沈降を繰り返し、海水で一掃されたのではないかといわれています。そのため気軽にアウトドアが楽しめ、キャンプをすることができます。
 豊かな自然を楽しむならば、伊是名島から船で渡れる無人島の具志川島(ぐしかわじま)と屋那覇島(やなはじま)もおすすめと達人が教えてくれました。定期船はないが、船をチャーターできます。ほとんど手つかずの天然ビーチで、シュノーケリングが楽しめ、夜は満天の星を見ることができます。具志川島にはシャワーやトイレがなく、ワイルドなキャンプ生活が楽しめます。


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伊是名島のおすすめ観光スポット

伊是名島の歴史や自然を感じる

  歴史的建造物から自然が生み出した造形物まで見どころ満載です

  • 銘苅家(めかるけ)住宅
おすすめポイント
  伊是名島を訪れたのなら、一日はじっくりと観光をしたいですね。「銘苅家住宅」は、尚円王の叔父にあたる家系の住宅で、集落の中でもひときわ格式が高い上級氏族屋敷。龍が口を開けたような形をした「風の岩」は、伊是名集落と青い海を見渡すことができる絶景スポット。たどり着くには険しい道を登らなければいけないので、十分気を付けてください。「二見ヶ浦海岸」は、日本渚百選にも選ばれた沖縄でも類がない美しいビーチ。

伊是名島のおすすめイベント

  日常の中に年中行事が根付いており、いつでも神様が近くにいます

  • 島の景勝地・陸ギタラなどをバイクコースで巡ることができる
おすすめポイント
  伊是名島では、毎月のように各集落で神様に平穏無事や航海安全を願い、五穀豊穣を願う行事が行われます。神様に祈りを捧げる様子は厳かで、神様の存在を近くに感じることができます。「イルチャヨー祭り」は旧暦8月に行われる航海の安全を祈願する行事。ミルク(弥勒)と住民が一緒に踊ってユガフ(世果報)を願います。
 一転して、8月中旬に開催される「いぜな尚円王まつり」は、島を挙げたお祭り騒ぎで、島内外から多くの人が押しよせる一大イベント。同じく村中がにぎわう「いぜな88トライアスロン大会」は、参加者同士だけでなく、島の人との交流が楽しめます。毎年10月頃に行われ、島の景勝地を巡ることができるのも魅力です。

伊是名島のおすすめ宿泊施設

  それぞれ個性のある対応で客人をもてなします。設備が整っていて、気さくなオーナーがいる宿を紹介します。

  • なか川館の外観
  • 民宿まえだの外観
  • 美島の外観
おすすめポイント
  人気の宿の特徴はまず、食事がおいしくてボリュームがあることです。バス・トイレなどの設備が整い、ゆっくりくつろげること。そして何よりも大事なのがオーナーの人柄。宿泊する人が常に快適に過ごせるよう考えられた宿は、使い勝手がよいです。次の機会も同じ宿に泊まりたくなりますね。

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伊是名島への交通アクセス情報

  伊是名島へは沖縄本島北部の今帰仁村運天港へ。
今帰仁村までは、沖縄自動車道を利用して車で約1時間40分。沖縄自動車道を利用し許田ICを下りて国道58号へ。世冨慶を右折し国道329号へ。途中名護東道路を経由し再び国道58号へ入り北上。名護市羽地で国道505号へ入り北上して約2時間で到着します。
運転港からからフェリーで55分。
1日2往復便(平常時)。大人片道1810円、往復3440円
フェリーの時刻など詳細はこちら

伊是名島での交通アクセス情報

  レンタカー:0980-45-2394(伊是名レンタカー)
タクシー:090-9781-1188(深夜2時まで)

達人が答える伊是名島のQ&A

Q 伊是名島行きの船はどこから出ていますか?
A 沖縄本島の今帰仁村運天港から1日2便出ています。フェリーで約55分。
フェリーについて詳しくはこちら
Q キャンプはできますか?
A シャワーやトイレが整備されたキャンプ場がいくつかあります。また、騒がない、直火をしない、ごみは持ち帰るなどルールを守れば島のどこでもキャンプはできます。
Q キャンプはどこでも可能ということですがハブはいませんか?
A 伊是名島には猛毒を持つハブはいません(毒が弱いヒメハブは生息するが、かまれても軽い腫れやめまいが起こる程度で、死亡例はない)。なので草深い場所でもキャンプができます。
Q 釣りはできますか?
A 伊是名島は、いたるところに絶好の釣りポイントがあると釣り人を喜ばせています。
Q 特産品は何がありますか?
A もずくをはじめ、海産物や農産物、味噌、泡盛、佃煮など、いろいろな特産品があるので、島の土産を選ぶのも楽しいです。
Q 飲食店はありますか?
A あります。ただ、昼食時間に開いている店が少なく、14時を過ぎると閉まる店や、メニューがない店 もあるので、うっかりすると昼食が食べられないときもあります。開いている店を探すか、スーパーなどの弁当がおすすめです(すぐ売り切れますが)
Q 島内での交通機関はありますか?
A バスがないので、タクシーかレンタカーを利用します。レンタバイクやレンタサイクルなどもあります。
Q 伊是名島出身の著名人はいますか?
A 版画家の名嘉睦稔(なかぼくねん)さんが有名です。
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