石垣島のミンサー ロマンチックな伝統工芸
石垣島を代表する伝統工芸品のひとつである八重山ミンサー。ロマンチックな意味が込められたミンサー柄は、織物製品にとどまらず、雑貨品や街の中でも見ることができます。お土産としても人気の高いミンサーの歴史や魅力、そして体験できる工房を紹介します。
![女性に特に人気が高い赤のミンサー織り 女性に特に人気が高い赤のミンサー織り]()
八重山に伝わる伝統工芸・八重山ミンサー。木綿糸を平織りで仕上げていく織物で、五つのマス目と四つのマス目を織り込んだ特徴的な模様には、「いつ(五つ)の世(四つ)までも末長く……」という思いが込められています。琉球王朝時代、女性から愛する男性に贈られた藍一色の帯「ミンサーフ(ウ)」が、今日の八重山ミンサーの原型といわれています。
現在では、赤・黄・緑などカラフルな色彩で織られ、帯や反物以外にもキーホルダーやバッグ、コースター、かりゆしウェアなどさまざまです。おとなの沖縄土産として人気を呼んでいます。
投稿日/2013年 10月 ライター/桑村ヒロシ
更新日/2015年 8月
《この記事を読む人におすすめの情報》
多くの人に愛される八重山ミンサー
![手織りの機織り機でミンサーを織り続ける現代の名工、新絹枝さん 手織りの機織り機でミンサーを織り続ける現代の名工、新絹枝さん]()
お財布や手提げバックなど、お土産として人気の高い八重山ミンサー。これらは、伝統工芸品であるこの織物を、多くの人に親しんでもらう工夫の中から生まれたものです。もともとの伝統色は藍色のみですが、今では赤や黄色などカラフルな色合いのものも人気があり、デザインも商品も多種多様になりました。
幼い頃、母から初めてミンサーの帯を見せてもらったとき、すっきりとしたシンプルな模様が八重山の人々の明るくあっけらかんとした人柄を表しているようで、強くひかれました。それは、帯を織った人の気持ちが一緒に織り込まれていたからではないでしょうか。
現在の八重山ミンサーも、昔と変わらずに手織りで作られています。縦糸と横糸に思いを込めて丁寧に織り上げるからこそ、みなさんに愛される工芸品になるのだと思います。
着物から肌着まで。島の暮らしに密着していた織物
![染色した糸を干す風景 染色した糸を干す風景]()
私が幼い頃の竹富島の人々は、着物はもちろん肌着まで自分たちで織っていました。織物は特別なものではなく、生活の一部として定着していましたので、私も自然と織物に親しんでいきました。1947年に結婚してからは石垣島で洋裁店を開いていたのですが、嫁ぎ先の義母が織物の天才で、その母の手ほどきが受けられたことも幸運でした。
ところが、終戦を迎えた頃には機織りをする人も次第に少なくなりました。織物組合が次々となくなっていくのを見ながら、私は危機感を感じていました。「もし、島から伝統の織物が消えてしまったらどうしよう」と。
着物から洋服に変わる時代の中で
![模様の両脇に足しげく通うようにとムカデを模した柄が施してある 模様の両脇に足しげく通うようにとムカデを模した柄が施してある]()
そこで、「ミンサーを途絶えさせてはいけない。次の世代へ伝承しなければ」とさまざまな方に声をかけ、たくさんのミンサー帯が作られるようになったのは良かったのですが、問題はそこからでした。着物を着る人が少なくなってしまって、帯を売ろうにも売れないのです。カビが生えてしまうくらい在庫が溜まってしまって、あの時は本当に頭を抱えました。
そこで、ミンサーの2次加工を思いつきました。けれど帯は分厚くて、そう簡単にはハンカチや風呂敷などに作り変えることができません。相談を重ねて、試行錯誤してたどりついたのがお財布とバックでした。丈夫な生地が、お財布やバックにはピッタリだったのです。
歴史あるミンサーを後世に伝えるために
![あざみ屋・みんさー工芸館 あざみ屋・みんさー工芸館]()
八重山諸島に伝わる織物は、もともと琉球王朝時代に課せられていた「人頭税」(一定の年齢に達すると頭割りで課された租税)のひとつとして納められていたという歴史があります。過酷な環境のなかで、先祖たちが一生懸命に伝えてきた織物を途絶えさせてしまうのは申し訳ない。その思いから洋裁店を閉じ、ミンサーの織り子の養成を始めました。さらには、仲間と一緒に染色の専門家のもとで技術を学び、3年の準備期間を経て、沖縄の本土復帰前に「みんさー織物研究所」を開設しました。それが現在のあざみ屋・みんさー工芸館のはじまりです。
今なお手織りであることがミンサーの魅力
![現在のミンサー工芸品 現在のミンサー工芸品]()
伝統工芸であるミンサーに現代風のアレンジを施すようになった当初は、「伝統を守ることができるのか」という葛藤もありました。今ではポピュラーになっている赤いミンサー織りも、発表した当時は「伝統の色ではない」と非難を受けることもあったのです。しかし、お客様の笑顔とあたたかな声援に励まされて、今日まで頑張ることができました。
苦労もたくさんありましたが、一度は途絶えかけた八重山ミンサーが、今またこうして普及していることは本当に喜ばしいことです。今の時代にも手間ひまを惜しまずに、1本1本思いを込めて手織りされていることは、大変貴重なことだと思っています。
石垣島内での交通アクセス情報
目的地にスムーズに移動するならレンタカーがおすすめ。石垣市内は渋滞も少なく、効率よく観光できます。
車(レンタカーで): 空港から主要地へ
・市街地(730交差点)まで30分
・離島桟橋ターミナルまで30分
・玉取崎展望台まで20分
詳しくはこちら→玉取崎展望台までの距離と所要時間
・川平湾まで40分
詳しくはこちら→川平湾までの距離と所要時間
・御神崎まで40分
詳しくはこちら→御神崎までの距離と所要時間
・平久保崎灯台まで50分
詳しくはこちら→平久保崎灯台までの距離と所要時間
◆レンタカー予約はこちら→石垣空港のレンタカー予約はこちら
車(レンタカーで): 市街地から主要地へ
・離島桟橋ターミナルまで5分
・平久保崎灯台まで1時間30分
・川平湾・御前崎まで20分
◆レンタカー予約はこちら→たびらい石垣島 レンタカー予約
路線バスで: 空港から主要地へ
関西国際空港、神戸空港から約2時間30分
※那覇空港のほか、新石垣空港への直行便が就航しています
⇒詳しくはこちら
路線バスで: バスターミナルから主要地へ
・平野線……空港・玉取崎・伊原間・平久保・平野
・系統9番・川平リゾート線……各リゾートホテル・唐人墓・みね屋前・やいま村・川平
・系統11番・米原キャンプ場線……おもと・開南・米原・山原・川平・石垣空港