トレッキングで沖縄の自然体験、おすすめコースも紹介
最近注目されつつある、自然体験型ツアー。個人で楽しむ以外にも、団体旅行でツアーに取り入れるところも増えてきました。中でもトレッキングは1年を通して気軽に体験できます。沖縄の豊かな自然に触れ、心も体も癒されましょう。
![沖縄本島北部、国頭村の比地大滝(ひじおおたき) 沖縄本島北部、国頭村の比地大滝(ひじおおたき)]()
沖縄本島には、「やんばる」と呼ばれる北部エリアを中心に、沖縄ならではの自然体験ができるスポットがたくさんあります。最近では、森林セラピーの拠点としても注目され始めました。アクティブな観光の楽しみ方として、沖縄の深い自然を楽しむトレッキングをおすすめします。
更新日/2022年 9月
▶やんばるを満喫するアクティビティツアー
《この記事を読む人におすすめの情報》
トレッキングを楽しむには、沖縄の自然や地域文化を知ろう
![「やんばる学びの森」コースを達人に案内してもらった 「やんばる学びの森」コースを達人に案内してもらった]()
国頭村環境教育センター「やんばる学びの森」センター長の大城馨さんに、やんばるをトレッキングする魅力について教えてもらいました。トレッキングと言っても、ただ山を歩くだけでは、本当の楽しさはわからないといいます。
「沖縄の植物や動物は、本土にはないものが多いでしょう。単純に分類すれば、沖縄本島北部の森は照葉樹林が広がる亜熱帯の森。ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、リュウキュウヤマガメ、ケナガネズミといった天然記念動物が暮らしています。でも、どうして本土と違うのか? どこが違っていて、なぜ天然記念物に指定される希少な動物がたくさんいるのか? そういう背景を知らないと、ただの木や鳥にしか見えません。トレッキング前には、安全に山を歩くための知識だけでなく、やんばるの自然についてもレクチャーするんですよ。そうすれば、見るものに意味が出てくる。歩いていてもいろんな発見があるわけです」
大城さんがガイドを務める時には、かならずやんばるについての勉強もします。といっても、最初は、どこから来たのかと自己紹介や雑談交じりに話をして打ち解けてからなので、堅苦しくはありません。
森の様子から琉球列島の成り立ちが分かる
![やんばるの道にはヤンバルクイナとの接触事故防止のための看板も やんばるの道にはヤンバルクイナとの接触事故防止のための看板も]()
大城さんはユーモアを交えつつ、「あなた、パイナップルは好きですか? やんばるってどこからどこまでのことだと思いますか?」と相手の興味を引き出す質問をします。
「パイナップルは本島北部ではよく栽培されているけれど、南部あたりではほとんど見かけない。土が違うからなんです。北部の土と南部の土がなぜ違うか? それは琉球列島の成り立ちに由来します。約500万年前、大陸の一部だった琉球列島が分離して島になり、水没など地形変動を繰り返して今に至ります。その過程で、山がある北部に取り残された生物たちは固有種に進化していったと考えられているんですね」
思わずなるほどと身を乗り出すほど、わかりやすく面白く説明してくれます。先ほどの「やんばるはどこからどこまでか」という質問の答えもここにあるのです。
「土の種類や、森の様子などを見ればやんばるがどこにあるのか、ちゃんとわかりますよ。一般には大宜味村(おおぎみそん)、東村(ひがしそん)、国頭村(くにがみそん)くらいだと思われているようですが、国頭郡と称される恩納村(おんなそん)や金武町(きんちょう)から北がやんばるです。あの辺りにはブロッコリーみたいに丸く茂った森が残っています。あれは、シイの木といって、やんばるの森の60%を占める植物なんです」
大城さんの豊富な知識がどんどんあふれてきます。こうして、やんばるの自然や文化について学ぶと、確かに山歩きも新鮮な発見が期待できそうですね。
トレッキングのための心構えと下準備
![虫よけスプレーを塗る時は周囲に拡散させないように注意しよう 虫よけスプレーを塗る時は周囲に拡散させないように注意しよう]()
いよいよ実際に案内してもらいながら、トレッキングの魅力をレクチャーしてもらいます。でもその前に、と大城さんが虫よけスプレーを取り出します。
「トレッキングといっても本格的なものからハイキングみたいに簡単に歩けるところまで、いろんな場所があります。でも準備が大切なのは同じ。ケガや事故を避けるためにも歩くのにふさわしい服装をして、ガイドの言うことをよく聞いて下さいね。自然への気配りも忘れずにお願いします。虫よけスプレーを塗るのだって、いきなり体にスプレーすると周りに広がってしまって、周囲の自然や生き物にもかかってしまう。こうやって手に取って塗るようにすると最小限の量で済みますよ」
さすが、細かい気配りも忘れません。トレッキングで山中に入る時は、自分が自然の中にいるという意識をしっかり持って歩きましょう。生き物を見かけたり、変わった植物があるからといって、やたらと触るのも危ないそうです。
「じゃあ、やんばるの森のヨンナーコースを歩きましょうか。ここはユニバーサルデザインといって、足が不自由な方、車椅子、ベビーカーもOKなように設計されているんですよ」
案内された森は、景観を壊さず自然に溶け込むよう、でもとても歩きやすい歩道が整備されていました。
トレッキングの極意、五感で自然を感じよう
![森の中の木道でアオカナヘビに遭遇 森の中の木道でアオカナヘビに遭遇]()
「トレッキングをする時は、自分も自然の一部になったつもりで楽しむのが一番です」と大城さん。風を感じ、緑を楽しみ、葉擦れの音、鳥の声、水の音に耳を傾けます。土の匂いや太陽の暖かさ、森の空気も体中で感じます。森林セラピーと言われるのがわかるくらい、心と体がゆっくり解放されていきます。
「五感をフル活用して、頭をからっぽにする。せっかく大自然の中にいるのだから、日常のことは考えず、一体となって下さい。自然はいろんなことを教えてくれますよ」
歩いている途中、木の幹に穴を見つけます。穴は上を向いたもの、下を向いたものがあります。「下を向いたものは、ノグチゲラの巣の後ですね。雨が入らないようにちゃんと考えて巣を作るんですよ」
普段、街中では見られない動物や、まるで恐竜時代にいるかのような大きなヒカゲヘゴなど、沖縄ならではの風景をたっぷり堪能します。
「沖縄、特にやんばるは日本全体の数%もない面積なのに、国内でここにしかいない貴重な動植物がたくさんあります。私が働くここ“やんばるの森”以外にも、比地大滝、国頭森林公園など、森林セラピーロードに指定された場所や、遊歩道が整備された場所がいくつかあります。本格的な登山ではないけれど、気軽にトレッキングが楽しめると思います。ガイドツアーへの参加も色々なことが学べておすすめです」
せっかく沖縄に来たのなら、自然もたっぷり楽しんでください。ほんの1時間程度の所要時間から日帰り、宿泊ツアーまで様々なトレッキングがあります。自分にあったものを選んで、沖縄の大自然にどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか。
<達人連絡先>
【名称】国頭ツーリズム協会
【住所】沖縄県国頭郡国頭村字安波1301-7 国頭村環境教育センター「やんばる学びの森」内
【問い合わせ】0980-41-7979
やんばる学びの森
「やんばる学びの森」はその名の通り、やんばるの森の魅力を身近に感じることの出来る施設。ユニバーサルデザインのコースやカヌー体験他、たくさんのツアーが用意されています。また、森の中でゆっくり過ごせる宿泊施設も整っています。
沖縄本島の北から南まで、沖縄の自然を満喫するベストスポット
外せない!おすすめトレッキングスポット
沖縄本島北部の大自然を満喫できるおすすめスポットのうち、まずは初心者向けの人気トレッキングコースから紹介します。どれも安全に歩けるように配慮されており、自分のペースで山歩きに取り組むことができます。
- おすすめポイント
- 沖縄県内のトレッキングスポットとして、人気のスポットを挙げてみました。それぞれ初心者向けながらダイナミックな見どころがあり、気軽で安全に楽しむにはぴったりです。比地大滝で水のせせらぎを感じるもよし、大石林山で自然の奇岩や巨石、亜熱帯の森、大パノラマを楽しむのもいいですね。国頭村森林公園ではトレッキング以外にバードウォッチングも楽しんでほしいです。もしかするとヤンバルクイナの声も聞こえるかもしれません。森林公園は美しい星空が観察できる国内でも指折りのスポットです。
まだある!人気トレッキングスポット
国頭村以外の市町村にも沖縄のトレッキングスポットはたくさんあります。なだらかに歩けるコースから、やや本格的な山中コースまで幅広く揃っているので、目的に合わせて選んでみましょう。
- おすすめポイント
- やんばる以外でも沖縄にはまだまだたくさんのトレッキングスポットがあります。大宜味村のネクマチヂ岳~クガニ岳近辺は、いわゆる「ご当地富士」である塩屋富士も近く、人気のトレッキングスポットとなっています。恩納村の熱田岳は1ヶ所で3つのコースが楽しめてオトクです。比較的ゆったり歩ける石川岳では、本島北部の自然とはまた違った味わいの動植物観察ができます。石川岳の辺りは特に珍しい蝶がたくさん観察できることでも知られています。
ガイドと行くおすすめトレッキングツアー
山歩きに慣れてきたら本格的なコースにチャレンジするのもいいですよ。その際、ガイドが一緒だと安心です。ガイドは沖縄の自然についてもいろいろ教えてくれるので、よりディープな沖縄トレッキングになること請け合いです。
- おすすめポイント
- 沖縄でトレッキングをより楽しみたいと思ったら、ガイドを頼みましょう。グループごとの個人ツアー利用もOKのところが多く、皆でわいわいやりながら安心してトレッキングすることができます。それぞれのツアーならではの特色プランがあったり、ガイドが一緒でないと入れない場所も安全に案内してくれます。また、ガイドは沖縄の貴重な動植物や自然文化についての面白知識も教えてくれるので、自然学習にもぴったりですよ。
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- 編集部の視点
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