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達人指南
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郷愁を誘う音色と心躍るリズム。石垣島で「八重山民謡」に出合います。
石垣島を始めとする八重山諸島は、唄の島、芸能の島と言われています。日本の南端にある小さな島々から、夏川りみやBEGINなど、全国的な歌手を輩出しているその背景には、地域の祭祀行事や暮らしの中で脈々と歌い継がれてきた「八重山民謡」の存在があります。八重山・石垣島への旅で、今も息づく島の音色、生の「八重山民謡」を楽しむ方法を達人が指南します。更新日/2017年 6月たびらい密着取材!おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(きんじょう ひろみ) 金城 弘美
石垣島を始めとする八重山の島々には、古くから歌い継がれてきた素晴らしい歌がたくさんあります。現在、一般的に「八重山民謡」と呼ばれている歌には、大きく分けて2つのジャンルがあります。1つは、ユンタ、ジラバ、アヨウなどの労働歌。その昔、畑への道すがらや田植えの作業中などに、手拍子をベースにした掛け合いで歌われてきたものです。もう1つは、節歌(ふしうた)と呼ばれるもので、首里王府から赴任してきた士族階級の役人が、三線の伴奏を付けて作った歌といわれています。八重山諸島には島ごとに、そして集落ごとにも異なる民謡があり、生活の中で人々が感じていた素直な感情が歌われています。仕事をねぎらう歌、恋愛の歌、お祝いの歌、子どものための童唄、祭祀を通じて捧げる祈りの歌など、昔の人々の想いが込められた歌を聞いているのと、八重山民謡は八重山の歴史そのものだと感じます。
県外の方もよく知っている沖縄の民謡の一つに、「安里屋ユンタ」があります。「さ~ゆいゆい」のかけ声でお馴染みですが、実は、この歌は沖縄民謡ではなくて八重山民謡です。BEGINのヒット曲「島人ぬ宝」に歌われている「とぅばらーま」や「デンサー節」も八重山民謡。また、沖縄の民謡ショーや結婚式などで定番になっている締めのカチャーシーは、八重山では「モーヤー」といいます。石垣島や宮古島は「沖縄」としてひとくくりにされてしまうことが多いのですが、民謡の世界では、沖縄民謡、宮古民謡、八重山民謡は別のジャンルとして扱われています。背景にある各島の歴史や文化、方言の違いがわかると、八重山民謡の世界もぐっと広がっていきますよ。私の好きな八重山民謡に「月ぬ美しゃ」という歌がありますが、これは月の美しさを愛でる歌です。また、「あがろうざ節」という子守唄には、香り高いミカンの木の下に子守姉たちが集まってきて、「いっぱい抱っこもおんぶもしてあげるから、文学に長けた立派な子に育ってくださいね」という教訓歌のような内容が歌われています。こうした民謡は子どもの頃からいつともなく、誰からともなく耳にしていたので、私自身も自然とよく口ずむようになりました。豊かな海や山に囲まれ、夜になれば美しい月や星空に見守られています。いつも自然と共にある島の人たち暮らしぶりを、ゆったりとした民謡の曲調や歌詞からも感じ取ることができると思います。
「生」の八重山民謡に触れてみたいのであれば、おすすめは地域の祭事を見ることです。パワー溢れる石垣四ヶ字(しかあざ)の豊年祭や、ユーモアたっぷりのアンガマーが登場する旧盆(ソーロン)、踊りと狂言が奉納される竹富島の種取祭など、五穀豊穣や無病息災の願いを歌に乗せて神々に捧げる、本来の姿を感じることができます。また、八重山ならではの歌のお祭りとして、「とぅばらーま大会」というイベントがあります。「とぅばらーま」というのは、同じ旋律にそれぞれが思い思いの詞を付けて歌い上げる叙情詩のこと。もともと男女の掛け合いから生まれたもので、胸の内の熱い想いや、島の自然の素晴らしさなどを情感込めて歌い上げます。大会は戦後まもない1947年に始まり、「月ぬ美しゃ」に歌われている「月が美しいのは13日」という歌詞に由来して毎年旧暦の8月13日に開催されます。中秋の名月の下、古くから歌い継がれてきた情緒溢れる旋律と歌詞に、ぜひ触れてみてください。
もっと気軽に八重山民謡を楽しみたい人には、民謡酒場、民謡居酒屋がおすすめです。民謡酒場とは、お酒や料理を味わいながら、地元の人も観光客も一緒になって民謡の世界を楽しめるお店のことです。好きな曲のリクエストに応えてくれたり、時には一緒にステージに上がって歌ったり踊ったりする場面もありますから、ぜひ恥ずかしさを捨てて積極的に参加してみてくださいね。たいていのお店は1日に2~4回のステージがあって、ライブチャージを支払って利用することができます。三線の音色が好きという人には、体験教室で実際に三線に触れてみるのも良いかも知れません。三線を製造、販売している三線店や、地元の人が通っている八重山民謡の教室などでは、観光客向けの体験教室を開いています。初めての人でも、1時間程度で簡単な曲(八重山民謡ではないですが)を弾けるようになりますよ。
八重山を代表する唄者の一人に、新良幸人(あらゆきと)さんがいらっしゃいますが、彼は「八重山に生まれただけで、すごいこと」だと話してくれました。若い頃はブルースがお好きだったそうですが、今では、「とぅばらーまは八重山のブルース」とおっしゃっていて、八重山民謡の言葉とリズムこそが、ご自身のあらゆる音楽のベースになっているそうです。どこへ行っても必ず帰ってくる、自然と戻って来てしまう心の故郷のような存在が、私たち、島で生まれ育った者にとっての「八重山民謡」なのです。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
お土産として持ち帰って、自宅でも八重山の世界に浸れるおすすめのCDアルバム3選。
歌謡の真髄を体感できる島の祭りを紹介します。この祭りに合わせて旅行の日程を組む価値あり!
八重山民謡で踊る地元の高校生
八重山古典民謡の「とぅまた節」」を楽し気に踊る地元の高校生たち。見ているとこちらも踊りたくなりますね。
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