1. 「桜坂」沖縄の情緒ある歓楽街を巡る

達人指南

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「桜坂」沖縄の情緒ある歓楽街を巡る

  太平洋戦争後、数百もの飲食店が軒を連ね、大きな歓楽街へと発展した沖縄・那覇の桜坂。当時の面影をわずかに残し、昭和の香り漂う街並みと、新しく開業したホテルや店舗が混在し、独特の雰囲気が漂うエリアです。今なお訪れる人が絶えない人気の街・桜坂の魅力と楽しみ方を探ります。

夜は居酒屋やバーなどのネオンが灯り、昭和の香り漂う

  「桜坂」という呼び名でありながら、地図に記載されるような住所や地名を持たない街。その具体的な場所は那覇市の牧志というエリアにあります。
 国際通り沿い、ゆいレールの牧志駅から徒歩5分程度の「てんぶす那覇」という建物の横を走る「桜坂中通り」から現在の桜坂劇場を中心とした界隈が桜坂だ。1963年の時点で約300店以上の飲み屋が軒をつらねていたとの記録も残っています。
 今では飲食店の数は減ったものの、かつての桜坂を想像させる昔懐かしい店舗が営業を続ける中、新たに営業を開始するバーやカフェ、桜坂中通り拡張工事の完了、そしてホテル「ハイアット リージェンシー那覇 沖縄」の開業により、今後さらに新しい街へと変貌していく桜坂の魅力を紐解いていきます。

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那覇観光・旅行特集

更新日/2017年 6月


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新垣 米子さん
(しんがき よねこ)
新垣 米子さん

桜坂を見守る達人
  桜坂にある老舗スナック「鼓(つづみ)」のママである新垣米子さん。鼓の開店は1977年のこと。以後、桜坂とともに歩み続け、街を見守り、多くの利用客をもてなしてきました。

【達人の店:スナック 鼓】
TEL:098-862-1275
住所:沖縄県那覇市牧志3丁目8-32

桜が無いのに桜坂。その由来と歴史

昭和30年頃の旧桜坂センター通り

  桜坂を語る上で避けて通れないのが名前の由来でしょう。これは桜坂の開発の歴史と関わり、桜坂劇場前の道「桜坂通り」にその端を発しています。
 桜坂通りが道路として開発されたのは1951年です。「坂」という名前のとおり、現在の桜坂劇場と、西にあるアーケード街の平和通りまでの小高い山を越える道路が作られました。時を同じくして桜坂通りの頂上付近には桜坂劇場の前身ともいえる、芝居小屋「珊瑚座」の建築が進められていました。
 桜坂通りが開通し、珊瑚座が営業を開始した1952年、坂に桜の苗が植樹されたのがきっかけとなり、これが桜坂の名前の由来となったと考えられています。しかし残念なことに植樹後2年たらずで、街の発展とともに増加した人や工事車両の往来によって桜は敷き倒され、枯れ朽ちてしまいました。以後、桜のない道にもかかわらず、桜坂という名前だけが残ることとなりました。そして桜のない桜坂周辺には、ひしめくように飲食店が作られ、一大歓楽街として長らく繁栄することとなります。達人である新垣さんは、当時の桜坂を知る貴重な存在です。「とにかくたくさんの人で賑わっていたわ。接待にも利用されてね、それはそれは華やかな街だったのよ」と懐かしそうに教えてくれました。

写真:昭和30年頃の旧桜坂センター通り(キーストンスタジオ提供 那覇市歴史博物館蔵)

「桜坂劇場」今も昔も桜坂の中心的な存在

休日ともなると映画ファンをはじめ、多くの利用者が訪れる桜坂劇

  桜坂劇場は1952年に芝居小屋「珊瑚座」として開業したのが始まりとなります。後に映画館となり、桜坂琉映館、桜坂シネコン琉映と数度の名称変更を経て運営されてきましたが、2005年に閉館となってしまいました。これを「桜坂劇場」として再出発させたのが、沖縄を舞台とする数々の映画を手掛けてきた映画監督の中江裕司さんです。
 桜坂劇場にはカフェ「さんご座キッチン」や本・雑貨、沖縄県のアーティストたちの作品を扱うセレクトショップ「ふくら舎」やワークショップを開催する市民大学「桜坂市民大学」が開設され、常に人が集い桜坂の中心的存在となっています。また、劇場入り口脇の、椅子やテーブルが置かれたオープンスペースはカフェの利用者に限ることなく、誰でも自由に利用することができます。

のんびり散策する昼の桜坂

「玩具Road Works」の琉球張り子の手乗り犬

  にぎやかな国際通りに比べて昼間の桜坂は人が少なく、ゆっくり街歩きをするのに調度良いです。また、昼どきにオープンしている飲食店は少なめですが、その中でもオープンしている店は個性的な店が多く、また、こだわりの品を集めた雑貨店も点在しており、こぢんまりとした範囲で散策を楽しめるのも特徴でしょう。
 おすすめのコースは、アーケード街の平和通りから桜坂通りの坂道を上るコースです。桜坂通りを入ってすぐの左手には「KARIYUSHI COFFEE AND BEER STAND(かりゆしコーヒー)」、すぐ右手の小道を入れば沖縄の郷土玩具(琉球張り子)作家の「玩具Road Works」など、坂のふもとから散策が楽しめます。坂の途中にはイージーオーダーの「FUJISAN FACTORY STORE」、そして坂を上り切れば桜坂劇場が見えてきます。桜坂劇場にある「ふくら舎」では、上映中の映画に関するパンフレットの他、おしゃれな小物からやちむんなどのアート作品が揃っています。

ご飯もお酒も会話も。深く楽しめる夜の桜坂

ひとりでお酒や食事をとるならカウンター席がオススメ

  桜坂といえば昔も今も歓楽街。常連客ばかりが集いそうな、小さくて古く、ディープな印象の店が多いので一見身構えてしまいそうですが、心配は無用です。むしろ居心地よく楽しめる店が多いです。落ち着いた客層が多く、また店側の対応もフレンドリー。はじめて訪れる店でも楽しい時間を過ごすことができます。
 食事とお酒を一緒に楽しむなら、県内酒蔵47か所の泡盛が揃う「琉球料理と泡盛の店 カラカラ」など、魅力のある店がそろっています。また、バーが多いのも特徴でしょう。それぞれ個性的なバーではありますが、いわゆるぼったくりといったような店はなく、どこでも安心してお酒が楽しめます。数度通えばお気に入りのバーがみつかるでしょう。
 夜の桜坂は飲食店以外も楽しめます。桜坂通りと桜坂中通りの交差点そばにあるライブハウス「桜坂セントラル」や「桜坂劇場」では、さまざまなアーティストのライブやイベントが開催されていて、桜坂の街が一気ににぎやかではなやかなムードにつつまれます。

変化を続ける桜坂

右手の高層建築物がハイアットリージェンシー那覇

  桜坂通りと桜坂劇場に至る珊瑚座をきっかけに成長を遂げてきた歓楽街「桜坂」に、2015年の世界的なホテルブランド「ハイアットリージェンシー那覇 沖縄」が開業。桜坂のノスタルジックな街並みの中、最先端の施設が誕生しました。また、「ハイアットリージェンシー那覇 沖縄」の脇を通る「桜坂中通り」は、国際通り壺屋やちむん通りを直結するように延長され、交通の便も各段によくなりました。
 かつては夜のネオンが瞬き、混沌として少し怪しげだった桜坂は、新しい街へと変化しつつあります。ただその一方で、古い建物を利用して新しい店を開く若い世代も多くあります。新旧の沖縄の魅力が入り混じる桜坂に、これからも目が離せませんね。


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桜坂のおすすめ店舗情報

ランチにおすすめの店3選

  観光客も少なく、ゆっくり食事が楽しめる穴場的な店を紹介します

  • 2階にはテーブル席のほか座敷席も備え、足を伸ばしてくつろげる
  • 朝から夜まで楽しめるカフェ
  • 手づかみでワイルドに食べたいチキン
おすすめポイント
  夜と違って昼の桜坂は静かな街です。すこし寂れた感もあるかもしれませんが、ここで紹介する店はぜひとも足を運んでほしい店ばかりです。観光客でごった返すようことは少なく、桜坂に思いをはせながらゆっくりと食事を楽しめます。

散歩の途中に寄りたい店3選

  ふらっと入ったお店で見つけるお気に入り。ゆったり散歩にぴったりの店を紹介します

  • 1階は劇場窓口前がショップ空間となっている
  • イージーオーダーの他、オリジナル商品にも力を入れている
  • まるでちいさなゆるキャラのような可愛らしい張り子
おすすめポイント
  桜坂を代表するだけでなく、新たな情報や文化の発信地ともなっている店を紹介します。いつものお土産とは違った、それぞれの店ならではの逸品が揃う店ばかりです。桜坂の顔は夜だけでなく、こうして昼も楽しめる側面を持っているところが面白いですよ。

夜のお酒と食事におすすめの店3選

  美味しいお酒と美味しいごはん、そして会話の弾むおすすめの店

  • ニンニク入りだが匂いはさほど気にならない
おすすめポイント
  少しずつ食事しながら店をハシゴしても良いし、ほかで食事を済ませてからじっくりと飲む楽しみ方ができるのも桜坂の魅力のひとつです。バーやスナックなどはカウンター席に座れば、店のマスターやママ、隣に居合わせた常連さんとの会話も弾んで、楽しい旅の思い出になりますよ。

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  • ダイワロイネットホテル那覇国際通り
  • HOTEL AZAT 那覇
  • ホテルグレイスリー那覇
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桜坂の中心、桜坂劇場までの交通アクセス

  桜坂周辺にはコインパーキングが多いです。国際通りまで来ているのであれば、国際通り沿いの施設「てんぶす那覇」から歩いてすぐの距離。(距離約230メートル、徒歩約5分)

車(レンタカー)で

  那覇空港から車で約30分
※桜坂中通りから桜坂劇場前の道「桜坂通り」に進入するのは危険。突き当りのアーケード街である平和通りは通り抜けすることができません。また、方向転換をするスペースもないため、後退で苦労するドライバーをよく見かけます。

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路線バスで

  国際通り沿い「てんぶす前」バス停利用の時、以下の路線を利用します。(てんぶす那覇から距離約距離約230メートル、徒歩約5分)
1番線 首里牧志線/4番線 新川おもろまち線/5番線 識名牧志線/9番線 小禄石嶺線/10番線 牧志新都心線/14番線 牧志開南循環線/15番 寒川線/101番線 平和台安謝線

モノレール(沖縄都市モノレール)で

  ゆいレール那覇空港駅から約30分、最寄り駅は牧志駅。
駅からの距離は約550メートル、徒歩約10分

桜坂劇場の施設情報

  【住所】沖縄県那覇市牧志3-6-10
【電話番号(劇場窓口)】098-860-9555
【営業時間】上映中の映画スケジュールによります
【定休日】なし
【利用料金】上映中の映画、講演、その他催事内容によります
【駐車場】なし(会員用の駐車場のみ有り)周辺のコインパーキングを利用します

桜坂 Q&A

Q 夜に一人で飲みに行きたいが、いくらぐらいが相場?ぼったくりにあったりしない?
A 参考として、スナック形態の店舗はオリオンの中瓶が1本800円~1000円ほどで提供されています。バーはこの限りではありません。入口が入りにくい店もありますが、ぼったくりの店はないので安心してください。
Q お酒が飲める店は何時から開店するの?
A 19時~19時30分から営業開始となる店が多いですが、もっと遅くからオープンする店も多いですよ。
Q 昼間からお酒を飲むことはできる?
A 昼からビールが飲める店は桜坂劇場1階の「さんご座キッチン」と、アーケード街の平和通り入口そばの「KARIYUSHI COFFEE AND BEER STAND」の2店。他、昼間は営業していない店が多いです。
Q 子どもと一緒でも楽しめる場所はある?
A 桜坂劇場の向かいに「希望ヶ丘公園」という広い公園があります。丘を利用した見晴らしの良い公園内には遊具もいくつかおいてあり、丘のてっぺんにはベンチもあるので休憩におすすめです。飲食店では「食堂インド」は座敷席があるので子どもがいてもゆったりと座れます。

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