与那国島ってどんな島?
石垣島から飛行機で約30分。日本の最西端となる与那国島は、面積約29平方キロメートル、周囲約28キロ、人口約2000人。車で一周しても約1時間の小さな島だ。島全体が切り立った崖のような形をしていて、特に海岸は断崖絶壁が続き、この島ならではの独特の光景が見られる。島内は久部良(くぶら)、比川(ひがわ)、祖納(そない)の三つの集落から成り立っている。
島の西に位置する久部良は、カジキ漁が盛んな海人(漁師)の町だ。「運が良ければカジキを水揚げしている場面に遭遇することもできますよ」と地島さん。4月~10月がシーズンだそう。また、久部良は日本で最後に夕日が沈む場所で、港のそばには「日本最後の夕日が見える丘」もある。
島の南にある比川は、珊瑚礁が発達した比川浜とカタブル浜沿いにある静かな集落。最も人口の少ない集落だが、テレビドラマ『Dr.コトー診療所』のロケ地として使用されたオープンセットが今も建っており、有料で見学することができる。
そして、島の東側にある祖納は、昔ながらの赤瓦屋根の民家や石垣が残る与那国の中心集落。役場や診療所などが集まっているが、天然ビーチのナンタ浜などの美しい自然もいっぱいだ。地島さんのおすすめは、集落と祖納港を結ぶ波多橋。「短い橋ですが、橋の上から見下ろす海の色がとてもきれいですよ」。それぞれの集落が違った魅力を持っている。
与那国の海に魅せられて
与那国島を訪れた際、誰もがきっと魅了されるのが高台から見る真っ青な海。そこで特に目を引くのが島のシンボルといわれる「立神岩(たちがみいわ)」だ。「岩の東側にある展望台からも見られますが、西側に小さな駐車場があり、その奥からであればもっと近い距離で見ることができます」と達人。
そして忘れてならないのは、与那国島はダイビングのメッカでもあるということ。与那国島の沖合は黒潮の影響で海の透明度が高く、上級ダイバーに人気の海となっている。ギンガメアジやバラクーダ、時にはジンベエザメやイルカといった大物が見られる貴重なスポットなのだ。冬にはハンマーヘッドシャークの群れが見られるのも人気の理由だ。特にユニークなのが「海底遺跡」と呼ばれるポイント。昭和61年(1986)に地元ダイバーによって発見された巨大な岩礁で、インカ遺跡を思わせる形状からそう呼ばれている。それが人の手によるものなのか、自然によるものなのかはいまだ謎のまま。ミステリアスな雰囲気も含めて、楽しんでほしい場所だ。
与那国馬の強さと優しさにふれる
島の3分の2が牧場といわれる与那国島では、あちらこちらで沖縄の在来馬・与那国馬(よなぐにうま)や牛を見ることができる。それどころか、車道の一部は牧場の中を通っており、馬の群れがのんびりと散歩をする光景に出会える。「当然そこでは馬と牛が主役。車は通らせてもらうという感じです(笑)。車よりも馬や牛とすれ違うほうが多いんですよ」と達人。
久部良集落と比川集落を結ぶ「南牧場線」は、そんな区間が約2キロにわたって続く海岸沿いの道。美しい海をバックに動物たちが草をついばむ風景になごみながら、ドライブを楽しむことができる。もっと馬と触れ合いたいなら、久部良集落から車で10分ほどの「ヨナグニウマふれあい広場」がおすすめ。実際に馬に触ることから乗馬体験や長距離トレッキングまで、さまざまなプログラムが用意されている。
これで安心!与那国島のお土産選び
与那国島にしかない特産品といえば「花酒」と呼ばれるアルコール成分60度の泡盛。泡盛の蒸留工程で最初(=端=はな)に抽出される酒ということから、そう名付けられたという。島で古くから神事や冠婚葬祭に使われてきたことや、琉球王に献上していたことなどの歴史的背景が認められ、日本で唯一、与那国島だけで製造を許可されている。崎元酒造所の「与那国」、国泉泡盛の「どなん」、入波平酒造の「舞富名(まいふな)」の3つの銘柄があり、クバ(びろう樹)の葉で包まれたクバ巻きというスタイルも独特だ。
伝統工芸品では、500年もの歴史を持つ与那国織が有名。幾何学模様の「与那国花織」、豊年祭などの祭りに着られる「ドゥタティ」、植物で染めた色糸が織り込まれた「シダディ(手ぬぐい)」、夫婦を表す絣模様が織られた「カガンヌブー」の4種類に大きく分かれ、豊かな織物文化を今に伝えている。ストラップやバッグなどの小物も豊富。祖納にある与那国町伝統織物協同組合では販売だけでなく、制作の工程も見学できる。
食べ物では、名物のカジキを加工して作られたジャーキーやかまぼこはおつまみとして人気。長命草を練り込んだ麺や昔ながらの製法で作られる天然塩、島のおばぁが作る伝統のクバ餅など、土地の空気まで味わえるようなものばかりだ。
与那国島のおすすめイベント
与那国島には、島を挙げて盛り上がるイベントがいくつかある。中でも一番盛り上がるのが、毎年7月に開催される「日本最西端与那国島国際カジキ釣り大会」。競技種目はトローリング部門など本格的な大物釣りのほか、磯釣りや親子釣り大会などもあり、釣り好きなら誰でも楽しめる内容となっている。
そして、毎年11月の第2土曜日に行われるのが「与那国島一周マラソン大会」。県外から島を訪れるリピーターも年々増え、開催期間は島の宿がいっぱいになってしまうほどだ。レース終了後のふれあいパーティーも、地域の人々と交流できるとあって人気が高い。
島の伝統的な行事も盛んだ。与那国島の祭事は節目ごとに大小30にもおよび、その中でもっともにぎやかなのが、旧暦6月以降の吉日に行われる「豊年祭」。島の各集落が披露する舞踊や東西に分かれての大綱引き、ドゥンタと呼ばれる踊りなどが披露される。