1. 「与那国島」日本最西端にある絶海の離島

「与那国島」日本最西端にある絶海の離島

  日本の最西端に位置し、断崖絶壁に囲まれた与那国島。美しい海の底には遺跡が眠っているとも言われ、八重山諸島の中でも独特の魅力を持つ。石垣島よりも台湾のほうが近いという国境の島でもある。離島ならではの大自然や独自の文化から、おすすめグルメに宿泊情報まで、与那国島を余すことなく満喫する方法を紹介。

  • 島の東端の岬、東崎(あがりざき)で放牧されている与那国馬
  • 西崎から望む久部良の港。透き通った海の色が美しい
  • 与那国島のシンボル、立神岩。その雄々しさに圧倒される

  日本で一番西にある与那国島は台湾に近く、かつては交流も盛んであったせいか、どこかエキゾチックな異国情緒が漂う島。方言では「どなん」と呼ばれ、波が激しく船で渡るのが難しいことから「渡難(どなん)」となったという説があるほど、絶海の孤島でもある。だからこそ、ここにしかない絶景や旅情が味わえる。そんな与那国島を愛する達人に、この島の見どころや魅力を教えてもらった。
更新日/平成28年(2016)12月


(ひろさわ じゅんこ)
廣澤 純子さん

与那国島の魅力を伝える達人
  兵庫県西宮市出身。与那国島唯一のホテル「アイランドホテル与那国」勤務。与那国在住2年弱という廣澤さんは、島の魅力について「島の人たちのあたたかさ」と話す。エイサーやフラダンスなど、島の行事にも積極的に参加し、居酒屋やスナックが大好き。与那国島の観光案内ならおまかせ!な達人だ。
    • 与那国島ってどんな島?

        西崎から望む久部良の港。透き通った海の色が美しい
      石垣島から飛行機で約30分。日本の最西端となる与那国島は、面積約29平方キロメートル、周囲約28キロ、人口約2000人。車で一周しても約1時間の小さな島だ。島全体が切り立った崖のような形をしていて、特に海岸は断崖絶壁が続き、この島ならではの独特の光景が見られる。島内は久部良(くぶら)、比川(ひがわ)、祖納(そない)の三つの集落から成り立っている。
      島の西に位置する久部良は、カジキ漁が盛んな海人(漁師)の町だ。「運が良ければカジキを水揚げしている場面に遭遇することもできますよ」と地島さん。4月~10月がシーズンだそう。また、久部良は日本で最後に夕日が沈む場所で、港のそばには「日本最後の夕日が見える丘」もある。
      テレビドラマ『Dr.コトー診療所』のロケ地
      島の南にある比川は、珊瑚礁が発達した比川浜とカタブル浜沿いにある静かな集落。最も人口の少ない集落だが、テレビドラマ『Dr.コトー診療所』のロケ地として使用されたオープンセットが今も建っており、有料で見学することができる。
      そして、島の東側にある祖納は、昔ながらの赤瓦屋根の民家や石垣が残る与那国の中心集落。役場や診療所などが集まっているが、天然ビーチのナンタ浜などの美しい自然もいっぱいだ。地島さんのおすすめは、集落と祖納港を結ぶ波多橋。「短い橋ですが、橋の上から見下ろす海の色がとてもきれいですよ」。それぞれの集落が違った魅力を持っている。

      与那国の海に魅せられて

        与那国島のシンボル、立神岩。その雄々しさに圧倒される
      与那国島を訪れた際、誰もがきっと魅了されるのが高台から見る真っ青な海。そこで特に目を引くのが島のシンボルといわれる「立神岩(たちがみいわ)」だ。「岩の東側にある展望台からも見られますが、西側に小さな駐車場があり、その奥からであればもっと近い距離で見ることができます」と達人。
      海底の巨大な岩塊「海底遺跡」
      そして忘れてならないのは、与那国島はダイビングのメッカでもあるということ。与那国島の沖合は黒潮の影響で海の透明度が高く、上級ダイバーに人気の海となっている。ギンガメアジやバラクーダ、時にはジンベエザメやイルカといった大物が見られる貴重なスポットなのだ。冬にはハンマーヘッドシャークの群れが見られるのも人気の理由だ。特にユニークなのが「海底遺跡」と呼ばれるポイント。昭和61年(1986)に地元ダイバーによって発見された巨大な岩礁で、インカ遺跡を思わせる形状からそう呼ばれている。それが人の手によるものなのか、自然によるものなのかはいまだ謎のまま。ミステリアスな雰囲気も含めて、楽しんでほしい場所だ。

      与那国馬の強さと優しさにふれる

        南牧場線を優雅に歩く与那国馬たち
      島の3分の2が牧場といわれる与那国島では、あちらこちらで沖縄の在来馬・与那国馬(よなぐにうま)や牛を見ることができる。それどころか、車道の一部は牧場の中を通っており、馬の群れがのんびりと散歩をする光景に出会える。「当然そこでは馬と牛が主役。車は通らせてもらうという感じです(笑)。車よりも馬や牛とすれ違うほうが多いんですよ」と達人。
      海馬遊び「ヨナグニウマふれあい広場」
      久部良集落と比川集落を結ぶ「南牧場線」は、そんな区間が約2キロにわたって続く海岸沿いの道。美しい海をバックに動物たちが草をついばむ風景になごみながら、ドライブを楽しむことができる。もっと馬と触れ合いたいなら、久部良集落から車で10分ほどの「ヨナグニウマふれあい広場」がおすすめ。実際に馬に触ることから乗馬体験や長距離トレッキングまで、さまざまなプログラムが用意されている。

      これで安心!与那国島のお土産選び

        与那国島だけでしか製造できない花酒など、地酒はお土産に最適
      与那国島にしかない特産品といえば「花酒」と呼ばれるアルコール成分60度の泡盛。泡盛の蒸留工程で最初(=端=はな)に抽出される酒ということから、そう名付けられたという。島で古くから神事や冠婚葬祭に使われてきたことや、琉球王に献上していたことなどの歴史的背景が認められ、日本で唯一、与那国島だけで製造を許可されている。崎元酒造所の「与那国」、国泉泡盛の「どなん」、入波平酒造の「舞富名(まいふな)」の3つの銘柄があり、クバ(びろう樹)の葉で包まれたクバ巻きというスタイルも独特だ。

      伝統工芸品では、500年もの歴史を持つ与那国織が有名。幾何学模様の「与那国花織」、豊年祭などの祭りに着られる「ドゥタティ」、植物で染めた色糸が織り込まれた「シダディ(手ぬぐい)」、夫婦を表す絣模様が織られた「カガンヌブー」の4種類に大きく分かれ、豊かな織物文化を今に伝えている。ストラップやバッグなどの小物も豊富。祖納にある与那国町伝統織物協同組合では販売だけでなく、制作の工程も見学できる。
      食べ物では、名物のカジキを加工して作られたジャーキーやかまぼこはおつまみとして人気。長命草を練り込んだ麺や昔ながらの製法で作られる天然塩、島のおばぁが作る伝統のクバ餅など、土地の空気まで味わえるようなものばかりだ。

      与那国島のおすすめイベント

        カジキ釣り大会は県内外から多くの人が集まる
      与那国島には、島を挙げて盛り上がるイベントがいくつかある。中でも一番盛り上がるのが、毎年7月に開催される「日本最西端与那国島国際カジキ釣り大会」。競技種目はトローリング部門など本格的な大物釣りのほか、磯釣りや親子釣り大会などもあり、釣り好きなら誰でも楽しめる内容となっている。
      与那国島一周マラソン大会
      そして、毎年11月の第2土曜日に行われるのが「与那国島一周マラソン大会」。県外から島を訪れるリピーターも年々増え、開催期間は島の宿がいっぱいになってしまうほどだ。レース終了後のふれあいパーティーも、地域の人々と交流できるとあって人気が高い。
      島の伝統的な行事も盛んだ。与那国島の祭事は節目ごとに大小30にもおよび、その中でもっともにぎやかなのが、旧暦6月以降の吉日に行われる「豊年祭」。島の各集落が披露する舞踊や東西に分かれての大綱引き、ドゥンタと呼ばれる踊りなどが披露される。

      これであなたも与那国通!旅に役立つ特選情報

      ユニークな観光スポット

        まだまだある!与那国ならではの必見スポット

      • 海底遺跡
      • アヤミハビルのことがよくわかるビデオ上映もある。
      • コトー先生がひょっこり顔をのぞかせそう
      おすすめポイント
        与那国島にはユニークな観光スポットが豊富だ。まずはダイバーならずとも気になる海底遺跡。孤島の海底に眠る謎にワクワクしてしまう。与那国島の自然や生き物について知りたいなら迷わずアヤミハビル館へ。『Dr.コトー診療所』ロケ地では緻密に作られたセットが見られる。

      これを食べずに帰れない!与那国グルメ3選

        地元客からも愛される名物料理

      • わかなそば
      • 数少ない居酒屋の中でも、インパクトある名前で存在感抜群
      • カウンター席からは飛び立つ飛行機が間近で見られる
      おすすめポイント
        与那国島に来たなら、島ならではの料理や食材を選びたいもの。わかなそばの与那国そばは、独自のこだわりが堪能できるここだけの一品。女酋長では、島の名物・カジキマグロを豪快に味わいたい。そして旅の終わりは空港の旅果報で。万能な薬草といわれる長命草の料理で旅の疲れを吹き飛ばそう。

      与那国島のおすすめの宿

        旅のスタイルに応じて選ぼう

      • アイランドホテル与那国
      • 民宿おもろ
      • 民宿さきはら荘
      おすすめポイント
        旅の印象を大きく左右する宿選びだが、この3つの宿なら安心。リゾート気分でスマートに宿泊するならアイランドホテル与那国。離島旅ならではの触れ合いや旅人との交流を求めるなら民宿がおすすめ。民宿おもろ、民宿さきはら荘ともに、あたたかな気分で過ごせるはず。
  • アクセス・Q&A
    • 与那国島への交通アクセス

        飛行機なら那覇から直行便か、石垣島経由で。フェリーも含め与那国島までのアクセス情報を紹

      空の便

        ■那覇空港からの直行便
      琉球エアコミューター(RAC):那覇空港⇔与那国空港
      所要時間:1時間30分 1日1便
      ■石垣空港からの便
      琉球エアコミューター(RAC):石垣空港⇔与那国空港
      所要時間:30分 1日3便
      ※季節により変動する可能性あり

      運賃など詳しくはこちら

      フェリー

        石垣空港から石垣港離島ターミナルまでは、タクシーで約25分。
      路線バスなら東運輸が運航する空港線で約35~45分。

      フェリーよなくに:石垣港離島ターミナル⇔与那国島・久部良港所要時間:約4時間30分
      石垣発の往路が毎週火曜日、金曜日の10時に出発。
      与那国発の復路は毎週水曜日、土曜日の10時に出発。
      ※季節変動あり

      所要時間など詳しくはこちら

      運航状況は福山海運のホームページで確認を。
      福山海運

      与那国島での交通アクセス

        島内には路線バスもあるが、レンタカーが便利。狭い範囲であれば、レンタルバイクもおすすめ。

      路線バス

        祖納を出発し久部良経由で祖納に戻る周回バスが1日7便運行(無料)。
      ※そのうち3便は久部良とともに比川も経由する。

      レンタカー

        空港内、祖納地区や久部良地区のダイビングショップで取り扱っている。店舗によってはレンタルバイクもある。
      ※ガソリンスタンドは空港近辺にあり。

      タクシー

        空港を出てからすぐタクシー乗り場がある。
      ※貸切観光タクシーあり。最西端観光:0980-87-2441

      達人が答える与那国島のQ&A

      Q 与那国島に方言はある?
      A もちろん与那国島にもドゥナンムヌイと呼ばれる固有の方言があり、個性的だといわれている。「与那国の方言だけは聞き取れない」という八重山の他の島の人もいるほどだ。たとえば「いらっしゃい」は「ワーリ」、「ありがとう」は「フガラッサー」と言ったり、「サツマイモ」を「ウンティ」、「夜」を「ドゥル」、「頭」を「ミンブル」と言ったりする。
      Q 島にコンビニエンスストアはある?
      A いわゆるコンビニエンスストアチェーンの店舗はないが、食料品や飲料、日用品などを扱うスーパーや商店は島内に点在している。ちょっとした買い出しであれば十分事足りるだろう。
      Q 悲しい伝説のある場所があると聞いたけどそれはどこ?
      A 琉球王府統治時代の八重山、宮古の島民たちは重い人頭税に悩まされていた。久部良集落にある「久部良バリ」は、断崖にある幅3~5メートルほどの岩の裂け目。今から200年ほど昔、人減らしのために村の妊婦を「九部良バリ」に集め、ここを跳ばせていたそうだ。転落死する人もいれば、うまく渡れてもその衝撃で流産してしまうなど、悲惨なことが行われていたという。また、男性には「トゥングダ」という試練もあった。突然抜き打ちで緊急徴収され、制限時間内にトゥングダという田んぼに集まれなかった者は労働力がないとみなされ処刑されたという。
      Q 与那国空港に土産物店はある?
      A 空港ロビーには、レストランのほか、いくつかの土産物店がある。度数の高い泡盛、花酒や黒糖、塩、カジキ加工品といった名産品だけでなく、Tシャツや織物、ポストカードなどの雑貨や、できたてのクバもちなど地域性の高い食品も置いている。

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