1. たびらい編集部がまとめた今年の九州観光

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たびらい編集部がまとめた今年の九州観光

【投稿日】2016年12月29日(木)| 福岡発

編集部が振り返る九州観光の一年

編集部が7月に訪れた際の阿蘇の景色

平成28年(2016)も、もうすぐ終わり。大きな“事件”に見舞われた九州観光の一年を、たびらい編集部が振り返る。

◆未曽有の災害が九州を襲った平成28年

今年の最大のトピックスとして挙げるとすれば、熊本・大分を中心に九州を襲った地震に尽きる。各地に鋭い爪痕を残したこの震災では、特に阿蘇や熊本市内での被害が大きく、復旧に時間がかかっているところもある。ごく最近では、12月24日に俵山トンネル(県道熊本高森線)ルートが約8カ月ぶりに開通し、阿蘇ファンたちを喜ばせた。現在でもなお復旧作業が続いている地域があることを忘れてはいけないが、すっかり元気を取り戻している場所も多い。ぜひ来年も、現地を応援しに観光に訪れてほしい。

たびらい編集部も5月以降、地震後の状況が落ち着きを見せてからは、たびたび各地に足を運んでいる。日田杖立わいた宝泉寺、筋湯平山長者原山鹿などは、どこも地震の被害そのものが深刻でなかったにもかかわらず、相次ぐ宿泊予約のキャンセルに苦しんでいた。

ゴールデンウィークの湯の坪街道

また、ゴールデンウィーク期間中に訪れた人気温泉地・湯布院でこそ、すでに戻ってきていたにぎわいに大いに勇気づけられたのだが、全国的な知名度を誇る黒川温泉までもが深刻なキャンセルに見舞われていたことには衝撃を禁じ得なかった。

阿蘇内牧温泉では、一部に倒壊家屋や農道のひび割れなどは見られたものの、5月の後半ごろまでには余震はほとんどなくなり道路の復旧も進んでいた。にもかかわらず、ゴールデンウィーク後の宿泊客数は「ほぼゼロ」。復興や情報発信の難しさを感じた出来事だ。

6月以降に訪れた湯平温泉植木温泉、再び訪れた湯布院温泉阿蘇内牧温泉筋湯温泉などで、ようやく少しずつではあるが、しかし確実に観光客の増加を肌で感じることができた。

◆震災からの復興へ、動き出した九州

大地震という“事件”を乗り越えるべく、九州が少しずつ本来の元気を取り戻していくさまを現地で目にすることができた。この体験は印象的であり、さらに言えば感動的でさえあった。

水前寺成趣園

5月16日には、一時「水が枯れたのでは?」と騒動になった水前寺成趣園が再び開園、5月末までの無料開放を実施。また、5月28日には地震で大きな被害を受けた熊本城すぐ近くの「熊本県立美術館本館」が営業を再開、6月初旬には熊本県民のソウルフード「アベックラーメン」も出荷を再開と、さまざまな方面での“再開”が。

7月から8月にかけては、地震で深刻な被害を受けた熊本城のふもとで「城彩苑夜市」が元気に開催。さらに、熊本城そばにある武家屋敷「旧細川刑部邸」は、現在でも震災の影響により閉園中だが、庭園の紅葉が見ごろを迎えた期間限定で一部が無料開放された。県内でも屈指の紅葉名所であるだけに、今年は見られないだろうと諦めていた人々を喜ばせた。

「旧細川刑部邸」の紅葉

もちろん、復興への動きがあったのは熊本県内だけではない。長崎では6月初旬に島原城で熊本応援チャリティーイベント「元気です!島原」が、6月11日にはハウステンボスで「がんばろう!九州 ハウステンボス MUSIC FES.2016」が開催。また、大分の九重“夢”大吊橋では6月から7月末まで2カ月間の「入場無料キャンペーン」が実施されたほか、阿蘇・高森町の「あか牛フェア ぎゅうっと あか牛」や、菊池市の「きくち旅行応援券(めぐるん券)」、日田市の「元気倍!日田キャンペーン」、雲仙市の「お得に雲仙温泉へ行こう!」など、地域ごとのキャンペーンも続々と登場した。

支援の動きは九州内に留まらず、域外からも。オイシックス株式会社は震災発生直後の4月21日、早々に“食べて熊本を応援”する特設サイトをオープン。また、「熊本復興応援セット」なども登場。10月以降も各方面からの支援の動きは続いており、ディズニーランドのキャラクターや元K-1王者のピーター・アーツさんなどが被災地を訪れたり、豪華アーティスト陣による音楽ライブ「MUSIC for ASO 2016 supported by ap bank」が阿蘇で開催されたりしている。

◆再開催のイベント続々と

例年5月初旬に開催されている「博多どんたく港まつり」は地震の影響から開催の可否が検討されていたが、戦後に空襲で荒廃した博多を復興するために開催されたどんたくの精神を踏まえて、「祭りを通じた復興支援」というテーマの下での開催が決定された。

杖立温泉 鯉のぼり祭り

「杖立温泉鯉のぼり祭り」は、「熊本の地震の影響でお風呂に入れない人に訪れてもらい、少しでも気分を和らげてもらえるように」、また「楽しみにしていながら来られなかった人に、今からでも訪れてもらえるように」との想いから、当初の開催期間を5月末まで延長した。

地震で大きな被害を受けた阿蘇神社でも、7月28日には同神社最大の神事「おんだ祭り」を無事に開催し、被害にも負けない強い姿を披露した。一時は開催が危ぶまれた「きくち夏まつり」も無事に開催されたほか、「牛深ハイヤ祭り」そのものは今年の開催が見合されたものの、それに代わるイベントとして7月16日に「輝けハイヤの競演」が行われた。

べっぷ火の海まつり

大分県の別府市では、熊本地震復興への想いを込めて7月末に「べっぷ火の海まつり」を実施。この20年ほどは「別府夏の宵まつり」として開かれていた祭りを、かつての名称を復活させ、熊本地震復興支援の特別イベントとして開催している。それ以外にも、各地で夏祭りや花火大会が行われ、九州の元気が戻ってきていることを感じさせてくれた。

◆九州ふっこう割による強力な盛り上がり

九州復興の大きな後押しとしては、「九州ふっこう割」の存在を抜きには語れない。7月1日から旅行会社各社が販売した九州ふっこう割の第一期は最大70%という割引率が強力な魅力となり、宿泊キャンセルが相次いだ九州の旅館やホテル、観光施設などを力強く応援。同じく7月1日に発売された「九州観光周遊ドライブパス」とともに復興を後押しした。

九州ふっこう割は、9月9日に発売となった第二期と合わせると、目標としていた利用者数150万人を優に超える見込みとなっている。

◆鹿児島(かごんま)に吹く観光の追い風

尚古集成館

平成27年(2015)に世界遺産登録が決定した「明治日本の産業革命遺産」に含まれる九州各地の遺産は、それぞれが現地の魅力を発信しているが、中でも鹿児島県では明治維新から150年にあたる平成30年(2018)に向けての盛り上がりが顕著だ。明治維新150年のカウントダウンイベント「薩摩維新ふるさと博2016」や、仙巌園・尚古集成館での「世界遺産1周年ウィーク」などが開催されている。9月には平成30年のNHK大河ドラマが『西郷どん(せごどん)』に決定したことが発表され、さらなる盛り上がりが期待される。

博多祇園山笠

また、12月1日にはユネスコの無形文化遺産「山、鉾、屋台行事」に、博多祇園山笠や戸畑祇園大山笠が登録されることが正式に決定。九州内では、福岡市の「博多祇園山笠」や、北九州市の「戸畑祇園大山笠」、大分県日田市の「日田祇園の曳山」、熊本県八代市の「八代妙見祭の神幸」、佐賀県唐津市の「唐津くんちの曳山」の五つが登録された。

さらに、今年は有田焼創業400年にあたったことから、有田焼にまつわるイベントも多く開催された。

◆新たな施設が開業

九州域内の新たな施設としては、4月21日にJR博多駅のすぐ近くで「KITTE博多」がオープン。また、もう一つ大きなところとしては、ハウステンボスの「ロボットの王国」がゴールデンウィーク期間中のプレオープンを経て、7月16日に正式にオープン。ハウステンボスの六つ目の王国としてデビューした。

させぼっくす99

4月24日には、佐世保市で初となる道の駅「させぼっくす99」もオープンしている。同道の駅のオリジナル商品である「海軍さんのコーヒーミルクソフトクリーム ぜんざい添え」は、9月に京都府で開催された「道-1グランプリ」にも出場し、全国の“道の駅グルメ”としのぎを削った。

◆さまざまな観光プロモーションが登場した一年

佐賀県では、5月27日に佐賀出身の篠笛奏者・佐藤和哉さんを起用した嬉野市のプロモーション動画「ふるさとの空よ」が公開されたほか、佐賀県の県庁展望ホールでのプロジェクションマッピングや、参加型プロモーション「抱く県、佐賀」といった画期的な企画が登場している。

大分県では、平成27年(2015)に話題となったPR動画「シンフロ」の第2弾として、「ゆけ、シンフロ部!」を発表。温泉でシンクロナイズドスイミングをするという発想にドラマ性が加えられ、大分の温泉の認知向上に、引き続き貢献している。

また、11月24日に別府市の長野市長が動画で発表した「湯~園地計画」は、同市長が在任期間中にYouTubeでの再生回数が100万回を超えたら実行すると明言した後、早々に100万再生を突破する事態に。果たして本当に実現するのか、今後の動向が注目される。

別府市の長野市長

ほかにも、ジャパネットたかた前社長が登場する長崎県の「九十九島パールシーリゾート」のCMや、お笑い芸人のロバート秋山さんとコラボレーションした熊本県の上天草市のプロモーション動画などが話題となった。


おわりに

本年も一年間、たびらい九州の記事をご覧いただきありがとうございました。大きな事件に見舞われた年でしたが、何とか無事に年の瀬を迎えることができました。

来年も引き続き、現地にある編集部ならではの九州観光の魅力の伝え方を模索していきます。今後ともご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

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