石垣島「川平湾」を存分に満喫
定番から新たな楽しみ方までを伝授

南ぬ島石垣空港から車で約50分、石垣島の市街地からは車で約30分。島の北西部に位置する川平湾（かびらわん）は、観光客でにぎわう人気の観光スポットです。雄大な自然がつくり出す景色は、八重山一の高さを誇る於茂登岳（おもとだけ）とともに国の名勝に選ばれ、後に「西表石垣国立公園」となりました。白く輝く砂浜はさらさらと心地よく、世界有数の透明度を誇る海が青から緑へと美しいグラデーションを織り成します。湾内の無人島の中には、昔はサトウキビ畑があったという川平湾小島（クジマ）をはじめ、地元でパナリと呼ばれている島などがあり、それぞれに名前が付いた島々のエピソードを待合所のおじぃに聞いてみると面白いですよ。

そんな川平湾の1番の魅力といえば、美しい海に湾内に緑の島々が浮かぶ緑の島々と、豊かな自然に囲まれていること。光の加減や潮の満ち引きによって刻々と表情を変える湾内は、何度見ても飽きることはありません。景色を楽しむ以外にも、綺麗な海を満喫できるさまざまなアクティビティや観光スポット、世界で初めて養殖に成功した黒蝶真珠、集落の人々が大切に伝えてきた数多くの伝統行事など、川平湾一体は見どころが満載です。

特に、色とりどりのサンゴ礁や熱帯魚が泳ぐ姿を気軽に堪能できる｢グラスボート｣は、観光客に大人気のアクティビティ。船底がアクリルガラスでできたグラスボートの眼下には、自由に泳ぎまわる熱帯魚やサンゴ礁の群落が広がります。ガイドの解説を聞きながら、湾内でも選りすぐりの珊瑚が美しいポイントなどを観察して、充実したひとときを過ごしてくださいね。より透明度の高い海中を見るには、満潮の2時間前後を狙うのがおすすめです。また、ボードの上に立って櫂で漕ぎながら海面を進んでゆく通称｢SUP（サップ）」と呼ばれるスタンドアップパドルボードも、近年人気の出てきたマリンスポーツ。ビギナーでも気軽に体験できるSUPで、海の上を自由に散歩しましょう。ボートの底がアクリル素材でできた｢スケルトンカヌー｣では、パドルでスイスイと海に漕ぎ出して海中の魚たちを観察して。さらに川平湾から船で約5分の沖合には、マンタを見られるポイントも存在。マンタの通り道を泳ぐ｢シュノーケル｣や｢ダイビング｣体験では、優しく人懐っこい性格のマンタに高確率で出会えますよ。

　　　　　　　　

アクティビティ体験の前後には、周辺の施設や川平公園内も歩いてみては？乗り場から徒歩5分圏内にある｢琉球真珠｣本店では、恵まれた自然環境でしか育たないといわれる黒蝶真珠の養殖過程などを、琉球真珠本店のパネル展示で紹介しています。実は、川平湾は世界で初めて黒蝶真珠の養殖に成功した場所。真珠の色は職人さんが貝のどの部分を切り取るかによって変わり、貝の内側にいくにつれ白に近づいていくそうで、イエロー系やグリーン系、ブルー系やシルバーなど、自分好みの黒蝶真珠を見つけてはいかがでしょうか。併設の｢R's cafe（アールズ・カフェ）｣では、タイミングが合えば期間限定の真珠貝料理を味わうこともできます。

川平湾でのマリンレジャーや散策を堪能したら、次はひと休みをしたいところ。公園からほんの数分車を走らせると、トロピカルフルーツをつかったお土産を購入できる｢川平ファーム｣があります。農園に併設された喫茶スペースでは自社のパッションフルーツ、パイン、マンゴーのフルーツジュースでリフレッシュ。テラス席からは川平湾が一望できるほか、野鳥なども観察できますよ。地元の方も通うパン屋｢pinacolada（ピナコラーダ）｣には、島の素材をつかった｢石垣産パイナップルとラズベリーのパイ｣や｢ローストポークと島にんじんのラペサンド｣といった品々が並びます。｢カビラガーデン｣では、観光客に人気の｢石垣牛せんべい｣などのお土産を購入したり、レストラン自慢の｢石垣牛陶板焼き定食｣や｢八重山そば｣でお腹を満たしてはいかがでしょうか。

　　　　　　　　

そうして川平湾＆湾周辺のスポットまでひととおり満喫していると、気がつけばそろそろ太陽の落ちる時間に。サンセットタイムが近づいたら、公園から川平集落を通って西側へと車を走らせましょう。イチオシのポイントはビーチ、または丘の上の2カ所です。夕陽を眺める公園から約5分で到着する丘では、天気の良い日には犬の散歩に来た地元の人や、夕日目当ての観光客でにぎわっている場所。腰を下ろしてうっとりとサンセットを眺めたり、記念に写真撮影をしたり…と絶景ポイントを楽しむスタイルもさまざま。太陽が落ちた直後に振り返って辺りを見渡すと、景色に薄い紫色のフィルターがかかったような不思議な色合いに包まれます。ほかの時間帯の川平湾の景色も美しく、満月の夜にはぽっかりと月灯りが浮かび、朝と夕方は日によって違った色彩を見せ、雨の日には雨粒の波紋が水面に広がっていきます。川平湾が見せてくれるさまざまな表情を、ぜひ見届けてくださいね。

気候や時間帯によって異なる魅力を見せる川平湾と島の空の色を自分の目で確かめるなら、川平でひと晩過ごすのもいいですね。特に、さまざまな人々とあたたかな交流ができる民宿での宿泊がおすすめです。川平湾を見渡すデッキが魅力の｢前高屋｣では、地元で生まれ育った女将さんの朝夕のご飯と愉快な人柄に癒されます。人懐っこい笑顔の夫婦が営む｢民宿イリワ｣は、ドミトリーやコテージなど宿泊スタイルを選べるうえに、各国から集まってきた旅人たちとの交流も盛ん。マリンショップが運営する宿｢まりんはうす｣は、それぞれ個室で過ごすスタイルなのでファミリーでの利用にもぴったりです。このように、美しい自然だけでなく、そこに集まる人々もまた、川平の魅力を引き出す要因になっています。グラスボート乗り場で、食堂で、民宿で…。偶然にすれ違った人との会釈などささやかなきっかけから、川平で出会う人々とのコミュニケーションもまた、かけがえのない旅の思い出になります。この地域には古くから続く伝統行事など、ガイドブックには載っていない魅力がたくさんあります。幾度か訪れるうちに、より深く、川平湾の魅力に気づかされることでしょう。