リアルまもる君が実体験!
宮古島圏域に暮らす人々の
「日常」とは…?
更新:2020年10月12日
宮古島を中心に大小8つ(池間島、来間島、大神島、伊良部島、下地島、多良間島、水納島)の島で構成されている宮古諸島は、いずれもサンゴが隆起してできた島々。そんな島々で暮らす人々の日常を調査するべく、今回は宮古島大使のリアルまもる君が実際に体験してみました。あなたも、島暮らしの日常をちょっと覗いてみませんか?
宮古諸島とは?
沖縄本島・那覇空港から飛行機に乗って約50分。南西約300キロ先にあるのが宮古諸島です。「宮古諸島」とは、宮古島とその周辺の島々(池間島、大神島、伊良部島、下地島、来間島、多良間島、水納島)を総称した呼び方で、そのうち4つの島は宮古島本島と橋で繋がっており、宮古島本島から自由にアクセスできます。隆起サンゴ礁の琉球石灰岩からなる、平坦な台地が特徴で、山や川がなく土砂が流れ込まないため、海は透明度が高いと評判。また、高温多湿な亜熱帯海洋性気候の為、一年を通して暖かく過ごしやすいのも魅力です。
九州・福岡からは、距離にして約1100キロメートル。飛行機で福岡から那覇へと渡り、乗り継ぎでさらに那覇から宮古島へと渡るのが一般的です。多良間島や水納島、大神島へは宮古島からさらにフェリーや飛行機に乗って渡ります。
宮古島で農業体験
さとうきび農家の日常に迫る。
沖縄本島の南西方およそ300kmにある島「宮古島」。東洋一美しいと言われる海を始め、独特の伝統行事にとっておきのパワースポットやグルメなど、知れば知る程好きになる人気の離島です。今回は、島で農業を営む浦崎さんの畑にお邪魔し、実際に農業体験を行ってきました。観光巡りでは知ることのできない農家の日常とは…?
島内で最も生産量が多いのは「さとうきび」。実際、浦崎さんの畑でもさとうきびを育てており、敷地面積はなんと780アール(23400坪)もあるんだとか。リアルまもる君も少しだけ苗植えをお手伝いをさせていただきます。
まずは苗取りからスタート。成長しているさとうきびを根元から切り落としていきます(株とり)。さとうきびを節ごとに切り落として土に埋めていく作業、これが結構難しい。成長する芽を見分け、切り落とすのは熟年のワザだそう。リアルまもる君もなかなかうまく切り落とせません。
切り落とした苗を何袋も用意し、実際に土へと埋めていけばこの日の作業は完了。さとうきびの植付は春と夏に行われ、完熟し糖度が上がる冬に収穫を迎えます。これを何十トン分も浦崎さんは手掛けています。収穫したきびの平均糖度は13~14度。糖度が0.1度上下するごとに出荷価格は100円変わるのだそう。
県外で溶接の仕事をしていた浦崎さん(右)は、56歳の時に宮古へ戻り農業を継ぎました。当時、農業について何も知らなかった浦崎さんは、農業を営んでいた周りの知人に教わり、一からスタートしたのだそう。それが今では、780アールもの広大な畑を手掛けるベテランに。今は1日のうち5~6時間は畑仕事を行い、空いた時間に大好きなゲートボールを楽しむのが日課。「土づくりから収穫までの農業の苦労を皆さんも知った上で、宮古島の食を味わってほしい」と語ってくれました。
山岸さん(左)はそんな浦崎さんの畑を手伝いつつ、「長北アグリカルチャープロジェクト」を結成。宮古島の農家さん達が心を込めて作った野菜や果物などを、仲介業者を介さず直接消費者へ届けたり、高齢化に伴い人手不足となった農家さんを手伝う人材の派遣、自身で養蜂や野菜畑なども手掛けています。「宮古島の農家の方々へ貢献でしたい、そして長北のブランドもさらに広まって欲しい」と話します。
ローカル案内役がガイドする、宮古島観光でしたい5つのこと、27の体験
多良間島でピンダ(ヤギ)と触れ合う
島人の日常体験。
宮古島からさらに飛行機に乗り継いで約20分。人口約1100人、周囲約20キロメートルの小さな島が「多良間島」です。フクギの木が各所に植えられた集落は、“フクギの里”とも呼ばれており、素朴な島景色を形成しています。また多良間村は、蔡温(さいおん)時代に確立された「琉球風水」思想を取り入れた風水村落としても知られています。そんな島で暮らす人々の日常を体験しました。
今回、多良間島で体験したのは「ヤギの飼育」。多良間島では昔から一家に2~3頭のヤギを食肉用の家畜として育てており、今でもその食文化は受け継がれています。そのため、島内を歩いていると、至る所にヤギ小屋が。最近では、食肉用ではなく闘山羊「ピンダアース」の為に決闘用としてヤギを飼う家もあるのだとか。そのひとりが、今回飼育体験をさせてくださった豊見山(とみやま)さんです。豊見山さんは、前回のピンダアースのチャンピオンヤギを含め合計6頭のヤギを飼育しています。
早速リアルまもる君も、ヤギの親子に餌をあげてみます。豊見山さんは毎日朝夕の30分ほど、こうやってヤギたちに餌を与えながら体調を管理しつつ、触れ合っているのだそう。
餌をあげたら次はお散歩。ピンダアースチャンピオンの「シンメトリー」を連れてゆっくりと敷地内を歩きます。今回は特別に、お手製のトレーニング棒でピンダアースに向けた「まいだつ(闘山羊のワザ名)」の練習風景を見せてくれました。この練習を繰り返して、強いヤギへと成長させていきます。
「ヤギは私にとって大切なパートナーだよ。だから自分で育てているヤギは食べるなんて出来ない」と話す豊見山さん。自身も小さい頃から、多良間島でヤギと深く関わってきました。幼い頃は、ヤギを育て、絞める場面も対応してきたのだそう。当時、島民の中で娯楽として食用のヤギを戦わせていたのを思い出し、今またその面白さに惹かれて「ピンダアース」の普及活動を観光協会と共に行っています。「これからも多良間の文化として、ヤギを皆に知ってもらいたい」と最後に話してくれました。
「多良間島」ありのままの姿が愛おしい、自然と人情が溢れる島をめぐる
漁師町「伊良部・佐良浜」で
カツオ漁と仲買人の一日に密着。
宮古島の北西約5キロに位置する「伊良部島」。2015年1月には無料の日本一長い橋「伊良部大橋」が開通したことでも話題を集めている島で、島内には渡口の浜や佐和田の浜など宮古圏域の中でも人気の観光スポットが点在している島です。島での主な産業は「漁業」で、昔から「パヤオ漁」という方法での漁業が盛んに行われています。そんな漁師町に住む海人の日常をちょっと覗いてみましょう。
午前10時頃、佐良浜漁港へ行くと、ちょうどカツオ漁から戻ってきた漁船が港へ入って来ました。漁師達はカツオ漁に出るため朝1時に出航し、長くて午後2時まで漁を続けるのだとか。港に入るとすぐに水揚げをスタート。重さを図り仕分けをし、出荷の準備を行います。獲れたカツオは、その日のうちに沖縄本島のスーパーに並ぶというから驚き。新鮮なカツオを食卓や居酒屋で味わえるのは、佐良浜の漁師達の働きがあってこそなのです。
リアルまもる君は、漁港に併設されている池間鮮魚店にお邪魔して、今日揚がったカツオをさばいてみることに。仲買人の池間さんにコツを教わりながらチャレンジしますが、初めてのカツオ捌きでリアルまもる君も必死。捌き終えた魚は、柵や刺身などに切り分け、池間鮮魚店にて一般のお客様向けに販売されます。
実際に捌いたカツオを食べることに。新鮮だからこそ味わえる力強い歯ごたえと、しっかりとしたカツオの旨味に感動するリアルまもる君。自分で捌いたカツオだからこそ、おいしさもひとしおです。漁師の漢那さんに聞いた漁師飯「カツオのマヨネーズ和え」と、「カツオのアラで出汁を取った味噌汁」もいただいて大満足の様子。
今回、佐良浜の漁師やカツオ漁について教えてくれたのは普天間さん(右)。自身も県内外からくる子ども達に向け、佐良浜のカツオ漁や歴史などを伝えるために実際に漁船に乗り、漁師に密着取材を行っていた漁業組合の一員です。撮影現場では、カツオ漁のことだけでなく伊良部島の島民の暮らしや、伊良部大橋が開通するまでの島のエピソードまで教えてくれました。
カツオのさばき方を教えてくれたのは、仲買人の池間さん(中)。この仕事に就いてから10年、沢山のお客様が池間さんのさばくカツオを求めて池間鮮魚店にやってきます。時折、お客さんとして来たおじーと、島くとぅばを交えながら魚をさばく姿が男性顔負けのかっこよさ。「これからも、沢山の人に新鮮なカツオを味わってほしい」と話てくれました。
【体験の問い合わせ】
伊良部漁業組合(普天間 一子)
沖縄県宮古島伊良部字池間添248-37
TEL:0980-78-3119
携帯電話:090-9782-1185
池間島の歴史を感じる
町歩きを体験。
1992年に池間大橋が開通し、宮古島からのアクセスが良くなった池間島。島の魅力は、島全体が国指定鳥獣保護区に指定されるほどの、豊かな自然です。白砂が美しい天然のビーチはもちろんですが、島の中心には、野鳥の楽園と呼ばれる池間湿原があり、「日本の湿原500」にも選ばれています。今回はそんな島で、歴史と密接に関わりながら暮らす人々の生活に触れてみました。
まずは池間島自治会館にて、池間島観光協会の仲間さんに池間島の歴史と、施設内の保管されている昔の生活備品を紹介していただきました。今では何に使用していたのか想像も出来ないような生活備品に、リアルまもる君も興味津々。昔の人々の「暮らしの知恵」をここで感じます。
昔の池間島の形状や、地域の神事「ミャークヅツ」の裏伝説など、様々なお話を聞きながら実際に島を巡ります。二人が最初に訪れたのは、池間島の最高守護神「大主神社」。普段は絶対に入れない場所で、神事ミャークヅツが行われる日だけここに入れるのだそう。
大主神社をはじめ、他にも数百年前からの歴史のある道を通り、池間遠見台や地域の里神(さとぅがん)である御嶽を巡りますが、何も知らずに訪れると、ついつい見逃してしまいそうなスポットばかり。観光で訪れた際にはぜひ、仲間さんのガイド付きで町巡りを体験してみてくださいね。「なるほど!」と思える発見に出会えるかもしれませんよ。
幼い頃から池間島で育った仲間さん(右)。一時は仕事の都合により県外へと出たものの池間島の活性化のため島へと戻り、自身で「池間島観光協会」を作りました。今では沖縄県民向けの旅行事業「島あっちぃ」や、島での水難防止運動に取り組むなど、地域と旅行客を繋ぐ様々な活動をしています。また、「池間島に産業を生み出したい」と最近では、島でとれた素材(魚・植物)などを使った製品販売にもチャレンジしているそうです。
「池間島の歴史に触れつつ、知りたいことがあれば観光協会に立ち寄って、なんでも私に聞いてくださいね」と最後に仲間さんは話てくれました。
【体験のお問い合わせ】
池間島観光協会(仲間 広二)
沖縄県宮古島平良字池間510-1
TEL:0980-75-2305
携帯電話:090-4969-7280
宮古島大使リアルまもる君の編集後記
今回は島の「日常」の中でも、当たり前のように接していることにスポットを当て、様々な体験をしました。
サトウキビの収穫時期は、島のあちらこちらで大きなトラックで製糖工場に運びこまれる様子は常日頃見ていましたが、植え付けに想像以上のコツや手間があること。食堂や居酒屋でいつも食べているカツオは、凪の日も荒れた日も深夜に海に出ていく漁師の苦労があってこそのこと。パヤオ発祥が伊良部というのも驚きでした。また、ヤギに至っては胃腸のことも考えて数種類の草を食べ分けさせていることも初耳でした。観光や海水浴でよく行く池間島も、本来なら素通りしてしまうような場所に、伝統的な史跡や文化が数多くあり島の人に大切に引き継がれ守られていること。
当たり前と感じていたことがどれほど多くの人と手間がかかっており、長きに渡り先人達が培ってきたとても大切なことであるのか、今回の体験を通じてとても勉強になりました。
宮古島は海のイメージが強いですが、来島の際は今回紹介した「日常」にフォーカスし、普段の観光とは違った宮古島も楽しんで頂ければ嬉しいです。