
2016年の沖縄観光を振り返り。「入域観光客数増加」や「やんばる国立公園」、「世界のウチナーンチュ大会」、「USJ撤退」、「海水温度上昇」と大きな話題をさらったものから、「招かれざる客」、「ジーマーミー豆腐問題」まで、今年の観光トピックスをまとめた。
■入域観光客数、上半期過去最高を記録!下半期も好調
平成28年度の入域観光客数は4月~9月までの上半期で、461万8700人となり、過去最高を記録した。月別では、沖縄の観光が一番盛り上がる夏時期の7月に初の80万台を記録したほか、8月には単月の最高を更新(92万6000)するなど好調だった。
昨年と比べ台風の影響が少なかったこと、羽田=宮古路線の新規就航を含む航空路線の拡充(新規4路線、増便4路線)が影響したとみられる。下期でも10月、11月ともに過去最高を記録し、好調を維持している。
また、外国人観光客の伸びも好調で、とりわけ5月~8月まで4カ月連続で単月の過去最高を上回る客数を更新した。訪日旅行人気が継続していることに加え、航空路線、クルーズ船寄港の増加が要因。沖縄本島全域でWi-Fiの利用が可能、各観光施設で多言語翻訳サービスが増えるなど、受け入れ態勢も徐々に整い始めている。
外国人観光客が増える一方で、外国人によるレンタカーの事故や言語が通じず困る外国人が増えた。そのため、沖縄では外国人客を積極的に受け入れ、手助けをする「ウェルカムんちゅ」を推進。CMで沖縄県民の協力をあおぐなど、話題となった。
■今年も新ホテルが続々と誕生!歴史に幕を下ろした名称も
2016年は沖縄県内に多くの新しいホテルがオープンした。本島中部の読谷村(よみたんそん)では、全室プライベートプール付きの「ジ・ウザテラス ビーチクラブヴィラズ」が開業。「カフー リゾート フチャク コンド・ホテル」、「那覇セントラルホテル」、「ベッセルホテルカンパーナ沖縄」などには新館が誕生した。
また、リブランドするホテルも多く、恩納村(おんなそん)の「サンマリーナホテル」は6月に「シェラトン沖縄サンマリーナリゾート」として新たに営業を開始。シェラトンブランドの県内進出は平成4年(1992)以来、24年ぶり。
那覇市首里の「ホテル日航那覇グランドキャッスル」は7月に「ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城」としてオープン。「グランドキャッスル」という名称は、昭和48年(1973)、沖縄県内の建設大手「大城組」の創業者大城鎌吉氏が会長を務めたホテル運営会社「首里観光」が「沖縄グランドキャッスル」を開業して以降、長年地元で親しまれてきたが、リブランドにより、その歴史に幕を下ろすこととなった。
■「やんばる国立公園」誕生!
環境省は9月15日、沖縄県本島北部地域(やんばる)を「やんばる国立公園」へ指定することを決定。国内では33番目、沖縄県内では「慶良間諸島国立公園」、「西表石垣国立公園」に次ぐ3番目の国立公園が誕生した。
やんばる地域は、国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、ヤンバルクイナなど多種多様な固有動植物および希少動植物が生息。また、石灰岩の海食崖やカルスト地形、マングローブ林など多様な自然環境を有する地域でもあることから、国立公園化が認められた。
■5年に一度の「ウチナーンチュの祭典」開催
那覇市を中心とした県内各地で、10月27日から「世界のウチナーンチュ大会」が開催された。世界のウチナーンチュ大会は5年に一度、世界各国に住んでいるウチナーンチュが沖縄に集結する一大イベント。世界で活躍する県系人の功績を称えるとともに、世界のウチナーンチュと県民との交流、ネットワークの確立を目指した取り組みがなされ、ウチナーネットワークを発展させ次世代へ継承することを目的としている。
今年は過去最高の7297人の外国人参加者が故郷に集い、家族や親戚との再会を果たした。30日のグランドフィナーレでは、BEGINやかりゆし58など沖縄出身のアーティストがステージに登場し、熱い歌声を披露。最後は会場一体での合唱と踊りで締めくくった。
■USJが沖縄進出を撤回
大阪市の米映画テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の運営会社ユー・エス・ジェイが沖縄県内での新たなテーマパーク計画について撤回を発表。撤退の理由について、ジャン・ルイ・ボニエ最高経営責任者(CEO)は「大阪のユニバーサル・スタジオに集中投資を行うため」とコメント。沖縄振興に大きな影響を与えた。
■国内最大級のサンゴが死滅 海水温の上昇が原因
国内最大のサンゴ礁域として知られる沖縄県の石西礁湖で、半数以上のサンゴが死滅していることが環境省の調べで発覚した。原因として、今年は海水をかき混ぜ、温度を調整してくれる役割を果たしていた台風が少なかったことから、海水温が上昇したためとみられている。沖縄県民や全国の沖縄ファンにとって、ショックな出来事となった。
■招かれざる客、ジーマーミー豆腐など沖縄観光珍事件!?
上記の通り、大きなトピックスがあった今年の沖縄観光。最後は編集部が気になったニュースを紹介する。まずは、北谷町(ちゃたんちょう)で起こった「サメ事件」だ。2016年10月、北谷町にある人気のビーチ「サンセットビーチ」に2匹のサメが出現。体長は1.5メートルから2メートルと大きく、種類は最も危険とされるオオメジロザメだった。安全確保のため、ビーチを閉鎖。招かれざる客の襲来により、ビーチ周辺は騒然となった。
また、沖縄の郷土料理でピーナッツ(落花生)が原料の「ジーマーミー豆腐」を食べた観光客が急性アレルギー反応を起こし、病院に搬送される事例が増えてきたことも話題に。沖縄県は名称から原材料の判断が難しいと判断し、観光客に向け、日本語・中国語・韓国語・英語の計4か国語で注意を促した。
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