1. 泊まってみよう沖縄のお家 やんばる民泊(ホームステイ) ~東村やいちゅんしり~

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泊まってみよう沖縄のお家 やんばる民泊(ホームステイ) ~東村やいちゅんしり~

【投稿日】2016年08月02日(火)| 沖縄発

「泊まってみよう沖縄のお家 やんばる民泊(ホームステイ)」という民泊企画は、沖縄県本島北部の各観光組織が連携し「大人の民泊」をコンセプトに発足したのが始まり。民泊体験を通して、やんばる東海岸の魅力を知ってもらおうというものだ。

「やんばる」とは、山や森林など緑豊かな自然が多く残っている沖縄本島北部を指す言葉。今回はそのやんばる東海岸に位置する5つの地域(国頭村、東村、名護市、宜野座村、金武町)にある農家を中心とした一般家庭に宿泊し実際に民泊体験することで、民泊の良さを県外の人に知ってもらおうと企画された。ちなみに、「民泊」といっても、実際はホームステイに近く、受け入れ先の民家も旅館業法の許可を得ているので、今話題になっている「民泊ビジネス」とは全く異なる。

今回はモニターとして東村で過ごした感想とその魅力を紹介。

花と水とパインと

東村は「花と水とパインの村」と呼ばれている。「花」というのはツツジを指す。「つつじエコパーク」では5万本のツツジが植えられており、毎年3月の開花時期には「東村ツツジ祭」が開催される。

水というのは水源地「福地ダム」と湧水の両方を指している。東村は渇水に苦しむ沖縄では珍しく水資源に恵まれた土地で「東村の水」というミネラルウォーターが販売されているほど。ちなみに、その販売で得られた収益の一部は、国指定天然記念物「慶佐次湾(げさしわん)のヒルギ林」の環境保全活動に役立てられている。

そして、パイン。なんと、東村はパイナップルの収穫量日本一を誇る土地だ。生食用ばかりではなく、シロップ漬けの缶詰や規格外のパインを活用したタコライスソースなど加工品の販売も盛んだ。

⇒「おうちでつくろっ! タコライスソース」の記事はこちら

ほかにも、プロゴルファーの宮里藍がバンカーの練習をした砂浜や悪夢のような根を持つサキシマスオウの木など見どころは多い。

ヒルギ林=マングローブ
東村民泊2

宿泊先にお邪魔する前に、慶佐次湾(げさしわん)でカヤック体験を行う。「慶佐次湾のヒルギ林」は国指定の天然記念物にも指定されており、生態系に負担の少ないカヤックが一番間近で楽しめるのだという。

「マングローブという木はありません」

開始前にインストラクターにこう言われて、きょとんとなる。さっき、「約1キロにわたってマングローブが広がっているのは本島ではここくらい」と言ったじゃないか。

説明を要約するとこういうことらしい。

マングローブという木が存在していると思っている人が非常に多いが。マングローブというのは、「熱帯、亜熱帯地域の河口汽水域の塩性湿地に成立する森林のこと」で要するに川の下流にある塩水が混じっている場所にある森林をマングローブと呼んでいるそうだ。私たちの頭の中にある「マングローブ」は「ヒルギ」という名前の植物らしい。

カヤック体験をしたのは潮が引き始めたころで、目視でも水位が下がっているのが確認できた。完全に潮が引くとカヤックは出来ないが、膝くらいの浅さの方がマングローブに生息する生き物やヒルギの特徴である独特な形の根をより間近で観察できるのだそう。

「あそこにベニシオマネキがいますよ」と声をかけられるが全く見えない。他の参加者たちも見つかる、見つからないが半々で、私は最後まで見つけることができなかった。きっと、見えている世界も違うのだろう。

それでも、私の見えている景色も素晴らしいものだ。視界だけではない、川で冷やされたひんやりとした風、パドルが水を流すときの涼し気な水音。遊歩道を歩いた時とは全く違う情報を五感が拾うのだ。

てぃあんだー
東村民泊5

「東村はきっと、うちなんちゅーでも知らない人がいるよ」と笑うのは宿泊先のお父さん。ご家族で民宿を営んでいるだけあって、出された料理はどれも本当においしかった。
夕食にいただいたのは、魚の揚げ物、島ラッキョウのてんぷら、煮つけ(沖縄の煮つけは大根やニンジン、ゴボウなどの野菜のほかに豚足が入っている)。野菜はどれも自家栽培したもので、県外には出回らない赤土大根も食べることができた。

ただ1つ心残りなのが、ご家庭では黒米(沖縄でよく見かけるお米。赤飯のようなのご飯が炊ける)を食べているのだが、私用に白米を用意していただいていたこと。自分だけ色の違うご飯を食べるのはなんだか申し訳なかった。

「内地の人は黒米とかテビチが苦手な人も多いからね」というが、それでは民泊の意味がない。ないちゃー(沖縄県外の人を総称して呼ぶ)達よ民泊で出されたものはすべて食べて欲しい。そう思った。

赤土と共に生きる人たち
東村民泊3

次の朝、朝食のポーク卵おにぎりとみそ汁を食べ終えると、自家栽培しているというコーヒーをいただく。香ばしい香りが特徴でえぐみが全くない。寝起きの脳をゆさぶる苦味さえなければ、ほうじ茶だと思っただろう。

「帰る前に畑に行きましょうね」

そうお父さんに誘われて荷造りをした私はコーヒー園に向かった。

「食べてみてください」

そういわれて差し出された8粒の実を半分だけ口に入れると、カキやアケビ、チェリモヤのような甘みが口に広がった。そう、コーヒーの果実は甘い。私たちが知っているコーヒー豆は果肉を取り除いた種子を乾燥させて焙煎したもの。生の果実は赤く熟すとさくらんぼに似ていることから、コーヒーチェリーとも呼ばれているらしい。そんな、お父さん自慢のコーヒーは5、6年前から栽培をはじめ、今では生産が追い付かないほどの人気なのだという。

コーヒー園から帰ると自分の車に乗り換えて、家路につく。前日のカヤックで疲れていたからか、それとも帰りたくないのか、家路が行きよりも長く感じた。

ふと、「うまや ぬてぃしり ちゅやふいらてぃしり」(馬は乗って知れ、他人は交際して知れ)という沖縄のことわざを思い出した。「東村やいちゅんしり」(東村は行って知れ)そう一人でつぶやく。

口の中に残ったコーヒーの種をどうしようか考えながら、次は、水着を持ってきて…と次回のことを考えている自分がいたからだ。


【企画】
平成27年度やんばる観光連携事業
北部広域市町村圏事務組合

【東村の実施団体】
NPO法人 東村観光推進協議会

【電話番号】
0980-51-2655

【メールアドレス】
info@higashi-kanko.jp

【住所】
東村平471-24

平成27年度やんばる観光連携事業
北部広域市町村圏事務組合

⇒民泊を行ったやんばるエリアの観光情報はこちら


東村民泊4

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