
かつて北大東島で栄えた燐鉱石(りんこうせき/主に化学肥料の原料として重要視される)産業の跡地であり、跡地一帯が「北大東島の燐鉱山由来の文化的景観」として、2018(平成30)年に沖縄県初の国の重要文化的景観に選定されました。そのダイナミックかつノスタルジックな光景を見に、多くの人が訪れる人気観光スポットです。

その歴史はかつて南北大東島を開拓した玉置商会が、南大東島は甘藷(かんしょ)作農事業を主に推進したことに対し、北大東島では燐鉱石発掘事業を中心に行ったことからはじまります。事業は1919(大正8)年から1950(昭和25)年まで続き、遺跡エリア周辺には、採掘した燐鉱石を運搬したとされるトロッコのトンネル跡や、運搬した燐鉱石をドライヤー機で乾燥させる乾燥工場跡、乾燥した燐鉱石を天日干しにして収容する貯蔵庫跡など、数多くの燐光生産施設が廃墟として残っています。
2020(令和2)年より整備基本計画が策定されており、現在は燐鉱石産業に関わる施設一連の補強工事を行っています。第一弾として施工されたのは、1番注目度の高い貯蔵庫跡。台風などの環境圧により朽ちている箇所の修復が2021(令和3)年に完了し、2022(令和4)年以降は、現在崩落の可能性により立入禁止となっているトンネル内や乾燥工場跡の補強工事を予定しています。今後は一連の史跡を歩きながら巡る動線造りを計画しているため、どのタイミングで行っても貴重な景観を見ることができそう。年々生まれ変わりながら歴史を刻む、燐鉱山遺跡を見に、ぜひ足を運んでみてくださいね。