1. 土を愛する陶芸家。やちむん土炎房で久米島の土に触れてみよう。|宇江城 昌順

土を愛する陶芸家。やちむん土炎房で久米島の土に触れてみよう。|宇江城 昌順

【投稿日】2020年03月02日(月)| 沖縄発

久米島空港の玄関で出迎えてくれる大きなシーサーを手がけた陶芸家 宇江城 昌順(うえしろ しょうじゅん)さんに会うため、工房「やちむん土炎房(どえんぼう)」にお邪魔しました。小高い丘の上に建つやちむん土炎房は、ギャラリーを併設した工房があり、シーサー作りや器作りの体験もすることができます。



 
「久米島にはいろんな種類の土が存在していますが、実は土にも性別があって、オスとメス、比重が違うんです。扱い方が異なるので、この土はオスだな、こっちはメスだな、と見極めながら配合しています。作るものによって使う土やブレンド比率を変える必要があって、例えば器を作る時とシーサーを作る時では使う土が全然違うんです。土の可能性は無限大ですよ。」と、嬉しそうに土のことを語る宇江城さんの“土愛”が相当強く、話を聞いているこちら側にもひしひしとその思いが伝わってくるようでした。



昭和32年生まれの宇江城さんは、陶芸家になる前は料理の仕事に就いていたそうです。決まったお皿に盛り付けなければいけないことに違和感を覚え始めたことがきっかけとなり、独学で陶芸の道を志しました。器作りをされる際は、どのような料理が合うかイメージをしているそうで、完成後は使い心地を自身で確かめると言います。「使ってみないと分からないからね。」と宇江城さん。改善点や「次はこうしてみよう」などのアイデアが浮かぶことも多いそうです。




宇江城さんが使う土は100%久米島産。細粒質で赤褐色をした粘土質の久米島の土と、自家製の釉薬を使って陶器類を製作します。「僕の肌を見てごらん。スベスベだろう?これも土のおかげだと思っていて、実は今、久米島の赤土を利用して何か商品化できないか模索中です」と教えてくださいました。



工房の外に出てみると、土の山を発見。この山は、宇江城さんがダンプカーを使って山から運んだもので、なんと10tトラック50台分!思い通りの作品が仕上がった時には、土のテッペンに上ってお酒を飲むのが楽しみなのだそうです。



「土と会話をしているんです。うまく焼けた時には土の神様に感謝の気持ちを伝えるし、失敗してしまった時には反省して『次はうまく焼くから』と土に約束しています。」

土と一緒に過ごす時間は、宇江城さんにとって最も居心地の良い時間なのですね。宇江城さんが手作りした土の神様は、土炎房の庭にも立っているので、工房にいかれる方はぜひご覧ください。



「観光で来られた方におすすめしたい場所はありますか?」と聞いてみると「島を見て回るだけでも面白いと思うし、原風景が残っている真謝(まじゃ)集落は散歩するのに良いですよ。それから夜のビーチ。暗いので懐中電灯を持参で。久米島は街灯が少ないので星がきれいに見えるんです。」と教えてくださいました。耳を澄ますと、聞こえるのは波の音だけ。ビーチも星空も独り占めしているような気持ちになるのだそうです。

そして、JTAに乗って久米島に来る方に、宇江城さんから耳寄りな情報をいただきました。「那覇から久米島に向かう時は右側に、島から那覇に戻る時は左側の座席に座ってください。上空からはての浜が見えるんです。」とのこと。また、那覇と久米島の間には慶良間諸島があり、美しい島が見られます。「那覇、久米島間はたったの30分だから、気軽に遊びに来てください」と宇江城さん。

忙しい日常から離れて、素朴な島を体感してみてはいかがでしょうか?特別なことをしなくても、島内を車で回るだけで疲れた心が癒されるはずです。



やちむん土炎房

【住所】
沖縄県久米島町字山城790-7

【営業時間】
9時~18時(体験受付17時まで)

【定休日】
不定休

【電話番号】
098-985-7457

■JTA×たびらい沖縄の挑戦
沖縄県内離島の魅力や、先人の業・知識を未来へ伝えていく若き島人にフォーカスした記事を「JTA×たびらい沖縄」のコラボ企画として取材中。現地までの道のりを、ワクワクさせるおもてなしと翼で届けてくれる「JTA」と、現地発信をモットーに沖縄ファンへ情報を届け続ける「たびらい沖縄」のコラボ記事を引き続きお楽しみください。

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【投稿日】2020年03月02日(月)【投稿者】たびらい編集部

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