1. 紬の発祥地、久米島。天職で輝く桃原禎子先生

紬の発祥地、久米島。天職で輝く桃原禎子先生

【投稿日】2020年02月28日(金)| 沖縄発



スー、トントン、スー、トントン。



真謝(まじゃ)集落にある「久米島紬(つむぎ)の里 ユイマール館」に足を踏み入れると、機織りの音が軽快なリズムで鳴り響いていました。織子さんは、久米島紬保持団体会員で講師をしている桃原 禎子(とうばる ていこ)先生。桃原先生は、国認定伝統工芸士です。




久米島で織られている紬「久米島紬」は完成度の高さから、琉球王朝時代には、王府に納める税金の代わりとして納めることが課せられていたそうです。実は久米島紬が日本の紬の発祥地と言われており、現在は国の重要無形文化財にも指定されています。




原料の糸は、島に自生する月桃やサトウキビ、フクギ 、シャリンバイ、ヤマモモ、ソテツなどの植物や泥を染料とし、素朴で優しい、落ち着いた風合いに仕上げます。



昭和29年に久米島で生まれた桃原先生がこの道に進もうと決めたのは21歳の頃だったそうです。高校を卒業後に本土へ渡り、縫製の仕事に就いていたそうですが、病気を患ってしまった祖父の看病のために島に戻り「この島でできる仕事は何だろう?と考えた時、紬作りしかありませんでした。経験はありませんでしたが、母親が紬を織っていたので、子どもの頃から染織が身近にあったんです。ですから、私が紬の道に進むことは自然なことでした。」と桃原先生。沖縄本島の南風原(はえばる)にあった工芸指導所で1年半ほど染織を学んだ後に島に戻り、久米島紬を生業とする立場になりました。



この道40年以上の桃原先生に「大変なことは何ですか?」と質問をすると「実は大変と思ったことは一度もないんです。」という答えが返ってきました。「1日中糸を触っていても飽きないんです。一応土曜・日曜は休みということにしているのだけれど、自然とユイマール館に足が向いていて、気づくと織り機の前に座っているんです。」と桃原先生。手が勝手に動いているそうで、「あれ?私、織っていないんだけど、いつの間にか1本出来上がってる!これ本当に私が織ったの?ということもあります。」と話します。

そんな桃原先生が手がけた紬に魅せられて久米島を訪れる人も多くいらっしゃるそうで、「島に初めて来る人に“これだけは味わってほしい”というものはありますか?」と聞いたところ「南島食楽園(居酒屋)の海ぶどうの卵焼き」と即答。久米島海洋深層水を使用して作った海ぶどうが入った卵焼きは、程よい塩気とプチプチとした食感が楽しめるそうです。「それから久米島そばもね!」と続けます。島の製麺所で加工された麺はすべて“久米島そば”の麺として扱われているそうで、やや平たく、黄色っぽい色味をしています。「“どこが美味しい”というのはないけれど、どこで食べても美味しいし、島のJAでも麺が売ってるから、食べてみて」だそう。久米島土産としてクール便で送るのも良いかもしれません。

「昔は久米島から沖縄本島に行くのによくフェリーを使ったけど、4時間ぐらいかかるし、JTAが早くて便利。30分かからないから日帰りも出来るし、行って、用事だけサッと済ませて帰ってくることもあります」と、利便性に優れた飛行機を薦めます。「フェリーの方が安いけど、何しろ時間がかかるから。今の人たちは忙しいし、移動時間は短縮して、その分島の観光を楽しんだ方がいいんじゃない?」と桃原先生。




久米島紬の里 ユイマール館は、織子さんが作業する様子を見学することができるだけでなく、機織りや染物体験もできるので、興味のある方はぜひ。お天気に左右されない体験ものなので、雨の日でも楽しめます。



【施設名】
久米島紬の里 ユイマール館

【住所】
沖縄県島尻郡久米島町字真謝1878-1

【営業時間】
9時~17時

【休刊日】
元日、旧1月16日、旧盆、町産業まつり

【電話番号】
098-985-8333

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【投稿日】2020年02月28日(金)【投稿者】たびらい編集部

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