1. 「月桃庵(げっとうあん)」女将の想いとシェフの技を加えた琉球会席で、沖縄食文化の歴史を紡ぐ

「月桃庵(げっとうあん)」女将の想いとシェフの技を加えた琉球会席で、沖縄食文化の歴史を紡ぐ

【投稿日】2019年08月22日(木)| 沖縄発

おいしい店がひしめきあう那覇市松山(なはし・まつやま)。この街に、凜と佇む一軒の琉球会席の店があります。
「月桃庵(げっとうあん)」は、もともと同市内で評判を集めていた老舗店が2017年に現在の場所に移転し、リニューアルオープン。あたたかな人柄の女将と一流シェフが、伝統的な琉球料理を中心に和洋をほどよく織り交ぜた品々でもてなしてくれます。沖縄都市モノレール・ゆいレールを利用すると、美栄橋駅(みえばしえき)から歩いて数分でたどり着けます。

月桃庵
この日の「前菜五種盛り」は、ミヌダル、ジーマーミ豆腐、ミミガーの和え物、もずく酢、豆腐餻(とうふよう)、つるむらさきの和え物が並びます(左上から時計回りの順)。どれも、沖縄に初めて訪れた方の目には新鮮に映ることでしょう。
中でも珍しいひと品が、出汁に漬けた豚肉に黒胡麻をまぶして仕立てた「ミヌダル」。こちらは東道盆(トゥンダーブン)という琉球王朝時代の宮廷料理のひとつで、県内でも現在では食べる機会が少なくなった伝統料理です。
(「東道盆」は、もともとは中国から伝わったとされ、琉球王府が中国からの使者や客人をもてなす際に使用されていた器や料理のこと。現在のオードブル皿のようなもの)

月桃庵
「花テビチ」と「ラフテイ」は、思わず見とれてしまうほど美しく盛り付けられています。
「花テビチ」は、豚足の骨を抜き、ニンジンやインゲンなどの旬の島野菜を詰めた料理長オリジナルの品です。人参やインゲンなどの鮮やかな色合いが、まるで器の中でお花が咲いているように見えます。口の中でテビチのとろとろ食感と野菜の甘みがやさしく溶け合う味わいを、じっくりと感じてみてください。

月桃庵
洋食のテイストも取り入れた「月桃庵」では、会食の場を華やかに演出する「ロブスターのウニソース焼き」を味わえるコースも用意。黄金色に香ばしく焼いたロブスターの傍には、季節の県産野菜を添えています。
「月桃庵」では、このほかの品々にも沖縄県産の野菜をふんだんに使用していて、そこには「おいしい島野菜を、これからもずっと途絶えることなく提供できるように。県産食材を積極的に使用することで、県内の農家さんを応援したい」という女将の想いが込められています。

月桃庵
靴をぬいで入る店内。中に入ると、木のぬくもりとやわらかな灯りに迎えられ、ほっと心が和みます。カウンターやテーブル、掘りごたつ席のほか、他のお客を気にせずに専用の入口から直接入れる個室も完備。さまざまなシーンで重宝しそうです。

月桃庵
女将の玉城(たまき)さんと、以前は県内のホテルで総料理長を務めていたという屋比久(やびく)さん。2人を結びつけたのは「今では滅多に見られなくなった伝統料理に、多くの人に親しんでほしい」「次の世代に琉球料理を伝えたい」という想いです。
さらに、玉城さんは「私がずっと大切にしているのが、“ご縁を絆に”というコンセプト。お客さまの『ただいま』という声が嬉しくて、嬉しくて。みなさんの我が家だと思って、ゆっくりくつろいでくださいね」と、ほほ笑みます。

今では県内のレストランや家庭でも、滅多に見られなくなった伝統的な琉球料理。沖縄の食文化のルーツに興味がある方や、家族や社員旅行でのここぞという時にもぜひ利用してみてはいかがでしょうか。中国の文化を受け継ぎ進化してきた琉球料理の真髄、さらに沖縄の食文化の新しい可能性を味わうには、うってつけの店です。

【店舗名】
月桃庵(げっとうあん)

【住所】
那覇市松山2丁目21-17

【問い合わせ(電話番号)】
098-917-2785

【営業時間】
18時~23時(料理ラストオーダー22時)

【定休日】
日曜日

【駐車場】
なし(近くにコインパーキングあり)

【ホームページ】
月桃庵

【投稿日】2019年08月22日(木)【投稿者】たびらい編集部

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