1. ニブチの森散策(自然林探索)|久米島の歴史・生命力の偉大さに触れる島の学校「ニブチの森」を歩く

ニブチの森散策(自然林探索)|久米島の歴史・生命力の偉大さに触れる島の学校「ニブチの森」を歩く

【投稿日】2018年07月31日(火)| 沖縄発

久米島(くめじま)といえば、すぐに思い浮かぶのが美しい青い海。でもこの島の大切なルーツが、緑の山に眠っていることはご存知でしょうか。

久米島の北西部、標高約310メートルの宇江城岳(うえぐすくだけ)を源流とする渓流と湿地、森林を中心とする地域は、2008年にラムサール条約に登録されました。昔からこの地は「ニブチの森」と呼ばれ、かつて島の人々が営んできた生活の面影を垣間見ることができます。体験プログラム「ニブチの森散策」では、そんな深い森の中をガイドと一緒に散策しながら、森と共存してきた島の先人たちの軌跡を辿ります。

(ラムサール条約とは、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約のこと。沖縄県ではほかに漫湖や慶良間諸島海域などの5カ所が指定。登録されている面積は2.55キロ平方メートルで、島全体の4.3%を占めます)

森の達人・保久村昌欣(ほくむら しょうきん)さん

案内人は、森の達人・保久村昌欣(ほくむら しょうきん)さん。

久米島の森と共に育ったという保久村さんは、愛嬌たっぷりの人柄が魅力的です。体験者のペースに合わせて、森にまつわる歴史や自然のこと、時には他愛のない島での日常生活のエピソードなどを、穏やかな口調で語りかけます。

田んぼの跡

保久村さんと待ち合わせ場所で合流したら、さっそく森の中へ。すると道なき道を進む途中で、ところどころに石垣があるのに気づきます。これらの石垣は田んぼの跡なのだそう。

保久村さんは「西暦714年に久米島・石垣・奄美の人々が都に呼び出されたということが歴史に残っています。その頃の国の名前が「球美の島(くみのしま)」でした。「球美」とは、我々の言葉で「米」を意味する「くみ」のこと。そこから今の「久米島」となりました。久米島は米との関わりがすごく深い島なんですよ」と、教えてくれました。

また、この一帯は水が冷たく日陰になっていることから、米の出来がとても遅かったそう。それが「ニブチの森」と呼ばれる所以なのだそうです。

炭焼き窯の跡

洞窟のような穴は、炭焼き窯の跡なのだとか。昔の人々が、実際にここで生活していたことを示す重要なポイントを発見できるのも、ベテランガイドさんがいるからこそですね。

太陽の光に空けた緑の葉

森に息づく生き物たち

森林にこだまする鳥や虫の声、水の音、風の音。森の匂いや太陽の光に空けた緑の葉…。歩いているだけで、森に息づく生き物たちから自然のエネルギーをもらえそうです。

小さな落ち葉のようなモノ

道の途中で見つけた小さな落ち葉のようなモノ。保久村さんが指を差しながら「さぁ、一体これは何でしょう?」と問いかけます。

「リュウキュウヤマガメ」の赤ちゃん

実はこの生き物は、国の天然記念物にも指定されている「リュウキュウヤマガメ」の赤ちゃん。

このほかにも「ラムサール条約登録湿地」である「ニブチの森」では、日本で唯一の淡水性のヘビ・キクザトサワヘビをはじめ、久米島ボタルやクメジマミナミサワガニなど、貴重な野生生物が生息。この自然を大切に守っていきたいと感じさせる出会いとなりました。

板根(ばんこん)

大きなカシの木から、薄い板のように地上に突き出した板根(ばんこん)。島では昔、この板根を材料に、サバニ(沖縄伝統の小型漁船)の舵をつくっていたそうです。

木にできたコブ

普段は何も気にせず見過ごしていた、木にできたコブ。実はこれも、自然の生命力の証です。

保久村さんは「台風などで枝が折れて穴が開いてしまった木は、このままだと穴に水が溜まって木そのものが腐ってしまいます。だから木は、自分の自然治癒力を持って穴をふさごうとします。その、穴をふさいで完成したのが、このコブ。人間のように絆創膏を貼らずに自分の身体を自分で治すところに、生命力の偉大さを感じます」と、自然を慈しむようにほほ笑みます。

葉っぱで奏でる草笛音楽

約2時間半に渡るコースですが、途中でちょっと足休めする時間も設けています。休憩中に、保久村さんが葉っぱで奏でる草笛音楽も見所のひとつです。

自分の足で歩いて、見て、聴いて、感じて…と、自分だけの経験や思い出を得られるのが、このプログラムの一番の醍醐味。

森を歩く際には、動きやすく濡れてもOKな服装を着用して。長袖、長ズボンがベストです。足元は運動靴や履きなれた靴で参加しましょう。特に夏の暑い日には、熱中症対策グッズや水分補給用のドリンクなどの準備もお忘れなく。晴れの日とは違った魅力がある雨の日の散策では、カッパやタオルも持参しておくといいですよ。

ここで出逢えるのは、古くから島人と森が共存してきた面影、自然が持つ力や森を育てる小さな生き物たちなど。“島”そのものの姿に間近で触れる経験は、森を実際に歩いた人だけが得られる思い出です。

一年中、季節を問わずに催行する「ニブチの森散策」に参加して、ぜひこれらの貴重な経験を持ち帰ってみてはいかがでしょうか。

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体験プログラムの詳細はこちら

【プログラム名】
ニブチの森散策(自然林探索)

【料金】
4000円(税別)

【集合場所】
久米島町上江洲 だるま山公園駐車場

【電話番号(問い合わせ)】
098-896-7010(久米島町観光協会8時30分~17時30分)
※前日17時迄に要予約
※天候によっては中止(当日に判断)

【所要時間】
約2時間30分

【催行人数】
2名~(小学生以上)

【おすすめの服装】
動きやすく汚れてもいい服装(長袖、長ズボンがベストアイテム)、歩きやすく汚れても構わない運動靴など

【持ち物】
飲み物、熱中症対策グッズ(帽子やタオルなど)、虫除けグッズ、天候によってはカッパ

【駐車場】
あり

⇒公式サイトはこちら

【投稿日】2018年07月31日(火)【投稿者】たびらい編集部

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