
首里の赤田と呼ばれる地域には「みるく(弥勒)様」と呼ばれる神様の信仰が今も受け継がれている。みるく様は平和と豊年を呼び寄せる神として豊年祭に登場し、音楽隊や子供たちが後に続いて旧暦の7月(現在は旧暦のお盆に近い日曜日)に街を練り歩く。
首里・赤田のみるく信仰の歴史は、今から三百年ほど前にさかのぼる。当時、僧侶が中国に渡り「弥勒」の掛け軸を持ち帰って首里城内に奉納した。赤田の人々はありがたい掛軸をもらったと喜び、以来毎年7月にお祭りを行うようになった。
さらに首里に天然痘やはしかが流行した年、赤田には重い患者が出なかったことから「みるく様のおかげだ」と、ますます厚い信仰が寄せられるようになった。その後、掛け軸に描かれた姿から立体の張子を仕立て、みるく行列を行うようになったと考えられている。