「瀬底島」車で日帰りできる美しき離島

那覇空港から車で約2時間。沖縄県内でも有数の美しさを誇る瀬底ビーチをはじめ、風に揺れるサトウキビの葉や色鮮やかなブーゲンビリア、赤瓦の屋根の上にちょこんと鎮座するシーサーなど、沖縄の原風景に出合える瀬底島（せそこじま）。離島ならではの美しさに加え、沖縄の歴史も息づいていて、まさに“沖縄の魅力”を凝縮したような、そんな島です。

周囲7キロメートル、1時間もあれば自転車で1周できるほどの小さな瀬底島は、昭和60年（1985）に瀬底大橋が架けられ、車で気軽にアクセスできるようになりました。那覇からの日帰りも可能なので、のんびりとした離島の雰囲気を体験したい！という人にうってつけ。周辺には沖縄美ら海水族館やエメラルドビーチ、備瀬のフクギ並木などの人気スポットもあります。島内には幾つかのビーチがあり、中でも島の西側に位置する瀬底ビーチは、身近に楽しめる天然のビーチとして大人気。さらさらとした白砂と、コバルトブルーの透明度の高い海が美しいコントラストをつくり出し、海の向こうには、水納島や伊江島が望めます。美しい夕日を眺められるスポットとしても有名なので、天気の良い日にはぜひ訪れて。夕暮れ時には、近所のおばぁたちが夕涼みを楽しみ、休日になると元気いっぱいの子どもたちが熱帯魚と一緒になって泳いでいます。シュノーケリングも楽しめ、初心者にもおすすめのビーチですよ。夏の海水浴シーズンはマリンスポーツも盛んで、バナナボートやマリンジェット、ボートシュノーケルを楽しむ人たちで賑わいます。

瀬底大橋のすぐ下にある 「アンチ浜」は、上を大きな橋がわたり、対岸には本部の町並みが見える、独特の景観。マリンレジャーも充実。気軽に駐車できるスペースもあり、おすすめです。

「セソコ」という地名の由来は諸説ありますが、セは精（聖）、スクは海（遥か遠い場所）を意味していて、瀬底島は「遠くから神がやってきた聖なる地」を表しているという説があります。そんな説を信じたくなるような風景を、島のあちらこちらで見ることができます。島の中央にある瀬底土帝君（せそこてぃーてんく）は、中国の土地神が祀られた施設。18世紀中頃に造られたといわれ、唐からの使者をこの場所でもてなしていたといいます。また島内には15カ所ほどの拝所や御嶽（うたき）があり、中でも村落発祥の地とされるウチグシク、瀬底村初代交儀ノロ（村落の神事を司る神女）の骨神を祀ってあるといわれる宮島御嶽、アンチ浜の近くにあるアンチ御嶽 などは「瀬底七御嶽」と呼ばれ、今も地域の人々の手で大切に守られています。

瀬底大橋が開通するまで、沖縄本島との交通手段は船だけ。人々が頻繁に交流するのは難しかったため、瀬底島には今も島独自の文化が色濃く残っています。島を代表する伝統的な行事の一つが「ピージャーオーラサイ」。ピージャーとは、沖縄の方言でヤギを意味し、オーラサイは格闘のこと。つまり、闘牛ならぬ闘ヤギです。角のある雄ヤギが頭と頭をぶつけ合わせて戦う姿は迫力満点。角がぶつかった時の「ゴツン！」と響く音にも重みがあります。牛よりも軽やかに動き回るので、ダイナミックに飛びかかったり、前足を持ち上げて角を振り下ろすなど、ヤギの巧みな技も見もの。5月と11月の年2回開催されています。

3年に一度行われる 豊年祭も見どころのひとつで、豊年祭のメインイベントとして、大綱引きと組踊りが交代で行われます 。つまり、組踊りと大綱引きはそれぞれ６年に一度しか見られないということ。組踊りは、音楽、踊り、台詞で構成されている沖縄独自の歌劇。華やかな衣装に身を包み、三線の音色に合わせたゆっくりとした所作が特徴です。各所に迫力ある立ち回りや笑いが盛り込まれているので、観光客でも気軽に鑑賞することができます。

大綱引きは、祭りの1カ月以上前から綱の制作に取りかかります。ワラから編み上げ、豊年祭前日には島の中央にある公民館前の県道に運び、直径80センチ、長さは65メートルにも及ぶ綱に仕上げます。綱引き当日は、公民館付近を境に、南方組と北方組に別れ、綱を引っ張り合う。観光客も飛び入り参加できるので、旅の日程が合うならば、島民と一緒に綱引きを楽しんでみては。