1. 泊まってみよう沖縄のお家 やんばる民泊(ホームステイ)~国頭村安田、自然と人とが共存する村~

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泊まってみよう沖縄のお家 やんばる民泊(ホームステイ)~国頭村安田、自然と人とが共存する村~

【投稿日】2016年08月01日(月)| 沖縄発

沖縄県本島北部の国頭村(くにがみそん)、名護市(なごし)東海岸、宜野座村(ぎのざそん)、金武町(きんちょう)の各地観光組織が連携し民泊プロジェクトを実施。民泊体験を通して、やんばる東海岸の魅力を発信している。

「やんばる」とは、山や森林など緑豊かな自然が多く残っている沖縄本島北部を指す言葉。なかでも東海岸は西海岸と比較して居住人口も少なく、観光地としてはあまり知られていない地域になる。そのやんばる東海岸に位置する5つの地域(国頭村、東村、名護市、宜野座村、金武町)にある農家を中心とした一般家庭に宿泊し実際に民泊体験することで、民泊の良さを県外の人に知ってもらおうと、民泊ツアーが実施されている。今回は民泊を通して国頭村安田地域の魅力を紹介。

「ヤンバルクイナの郷」を宣言する村

国頭村安田地域に向かう道中で見つけたとび出し注意の看板

国頭村安田までは那覇空港から沖縄自動車道経由で約125キロ、車で約2時間30分。亜熱帯の木々が生い茂る山奥の中にある小さな集落だ。今回お世話になる「民泊 あらはの宿」の代表を務める宮城 秀子(みやぎ しゅうこ)さんとは、国頭村安田公民館で待ち合わせした。

宮城さんと会うとすぐに国頭村安田区は「ヤンバルクイナの郷」だと誇らしげに伝えられた。ヤンバルクイナはやんばるにしか生息しない飛べない鳥(クイナ)で、昭和57年(1982)に国の天然記念物に指定された。ここ安田区近隣の森には、多くのヤンバルクイナが生息し、宮城さんを含め、安田区のほとんどの住民は国頭村やNPOなどの団体と一緒にヤンバルクイナの保護活動を行っている。

近年、車にひかれるなどの交通事故や、人為的に移入されたマングース、犬や野ネコに捕食されるなどにより生息数が減少しているヤンバルクイナを保護するため、道沿いには「ヤンバルクイナのとび出し注意!」の看板を設置、マングースや野ネコの駆除など対策をしているのだ。

キョンキョンはヤンバルクイナ生態展示学習施設「クイナの森」のアイドル

「安田区に来たなら、ヤンバルクイナを見に行かないと!」と宮城さんに連れられて、ヤンバルクイナ生態展示学習施設「クイナの森」へ向かった。野生のヤンバルクイナはとても臆病な鳥で、人が近づくとすぐに逃げてしまうが、「クイナの森」にいるヤンバルクイナの「キョンキョン」は、人工で育てられたので、とても人懐っこく、愛嬌たっぷり。この日も関西から来たお客さんの顔をのぞいたり、水浴びしたりと、惹きつけた。キョンキョンの虜になり、滞在時間が1時間を超えてしまう人も少なくないという。そんな私もキョンキョンの写真を撮るのに夢中で、時計を見たらすでに50分が経過していた。

安田区は自然の恵みがたくさん

釣りが大好きだと語る宮城さん。地元ならではの体験ができるのも民泊の魅力

「民泊 あらはの宿」に到着すると、玄関には「めんそーれ(沖縄の言葉で“いらっしゃいませ”)」の手作りボードと、かぼちゃ、紅芋、月桃の葉っぱで作った3色団子と月桃茶で温かくお出迎えしてくれた。

民泊ではそこに住む人たちの生活を直で体験できるのが魅力のひとつ。普段、宮城さんが好きな釣りを一緒に体験することになった。釣り針やエサ作りを一から丁寧に教えてもらい、釣竿を持っていざ出陣。「民泊 あらはの宿」のすぐ向かい側にはマングローブが生い茂る海になっていて、宮城さんは暇があれば何時でもここで釣りをしているという。

「ここの人たちはみんな釣りが大好き。大量に魚が取れた日はみんなに魚を配る。そしたら今度は各自で育てた野菜をもらう。物々交換みたいなものだね。だから、今日もたくさん魚がほしいから、がんばりなさいよ」と発破をかける宮城さん。すると通りすがりのおばあ(おばあちゃん)も「魚が取れたらもってきなさい」とニッコリ。しかし、今回はその笑顔に応えられず、1時間30分粘ってボラが1匹釣れただけだった。

釣りの際中に、海の向こう側に生い茂る山の中から「キョキョキョキョー」と鳥の鳴き声が聞こえてきた。「クイナが鳴いているね」と宮城さん。鳴き声だけでクイナを認識できるのかとの問いに対し「この地域の人なら当たり前。鳴き声でクイナが危険なのかどうなのか、状態までわかるよ」と答えた。「クイナの鳴き声を聞きながら、海辺で釣りをする。安田区でしかできない体験だよ」。

夕飯はミジュンの刺身にお肉、山菜の漬物にボラのてんぷら。どれも新鮮でおいしかった

ほとんど坊主に終わったが、こんなこともあろうかと、昨日にミジュン(ニシン)を大量に獲っていた。ミジュンのさばき方を教わり、食卓にはミジュンの刺身やお肉、山菜の漬物、釣ったボラのてんぷらが並んだ。ミジュンの刺身は新鮮そのもの。釣ったばかりのボラのてんぷらもおいしかった。宮城さん曰く、新鮮な魚を毎日食べているため、寿司屋や居酒屋に行くと、提供されている魚の鮮度が食べてわかるようになるとのこと。また、山菜は道端に生えているものを宮城さんが摘み取ったもの。「安田区は自然の宝庫。食べる物には困らないよ」と話しながらどんどん料理を運んでくる。沖縄でよく言われる、かめーかめー(食べなさい、食べなさい)攻撃は続き、デザートにはパインがまるまる1個出てきた。

田舎ならではの珍事発生!?野生のヤンバルクイナに会いに!

ライトを照らすと2羽のヤンバルクイナを確認した

仕事から帰宅したお父さんに三線を習いながら、ゆっくりしていると、宮城さんが唐突に「野生のヤンバルクイナを見に行くよ」と外へ連れ出した。時間は23時。外灯も少なく、辺りは真っ暗。この日はくもりで見られなかったが、晴れた日には、満点の星空が一面に広がるという。もちろん車も通らないため、虫の鳴く音と、風で木々が揺れる音以外には何も聞こえずとても静か。この時間帯に野生のヤンバルクイナはハブなどに襲われないよう強靭な脚力を活かして、高い木々の上に登り、安全を確保した上で寝ている。それを観察するのだ。

懐中電灯で木々を照らしながら歩くが、一向に見つからず。「寒い時期は山の奥に行くので、もしかしたらこの辺にはもう残っていないのかもしれないね」と話す宮城さん。今回は会えないのかと思っていると、宮城さんが木々とは反対側の団地の方へ向かって行った。何をするかと思えば、団地のある部屋の扉を「ドンドン!」と叩き、そこに住む伊計(いけい)さんの名前を呼ぶ。外に出てきた奥さんに「旦那はいないの?」と聞く宮城さん。実はここに住む伊計 忠さんは安田区の区長を務め、ヤンバルクイナにはとても詳しいという。しかし、もうすでに就寝中で結局帰ることに。夜中に近所の人を無理やり起こすことに驚いていた私に「この辺はみんな家族。頼みごとも遠慮なく言い合える。ケンカすることもあるけどね」と説明した。

しかし、驚きはこれで終わらなかった。宿に帰るやいなや、伊計さんから「ヤンバルクイナを見つけたから外に出てきなさい」との電話が。就寝中にも関わらず起きてヤンバルクイナを探してくれたのだ。しかも、ものの10分足らずで。急いで向かうと、暗闇に人影が2つ。伊計さんと奥さんだ。現場はさっきまで捜索していた木々だった。「そこに2羽いるよ」と木々に向かって指を指す伊計さん。しかし、何も見えない。どこにいるのかと問うと、「シルエットが見えないの?じゃあライトを照らすよ」とライトを木々に向けると、ヤンバルクイナが2羽確かにいた。「暗闇でもシルエットはすぐわかる。何十年とクイナを見てきたからね」と達人は語ると、明日はパークゴルフがあるからとすぐに家へ帰って行った。

海も山も動物も人も災害も。自然と共存する村

朝一の安田地域の風景

2日目は朝から宮城さんと散歩に出かけた。漁港の方に向かうと、一日の始まりを告げる朝日と、多くの釣り人たちに出会えた。安田区の休日の何気ない風景に素直に「田舎っていいな」と思えた。宮城さんに伝えると、ありがとうと感謝しながらも「大変なことも多いよ」と私を防波堤の方に連れて行った。そこには台風でボロボロになったアスファルトと、壊れたバリケードが痛々しくあった。「土地が低いこの辺りでは、台風の影響で海水が集落まで入ってきて住宅が浸水してしまうこともある。台風で壊れて直せなくなった家もたくさんあった。それでも、ここの住民は出て行かないよ。私たちは海や山の自然の恵みをいただいているし、災害も自然。ここの人たちは自然と上手く共存していく生き方を望んでいるからね」と優しく話してくれた。

台風で破壊されたバリケード

濃い1泊2日の民泊ツアーが終了。宮城さんからミジュンや島にんじんなどのお土産をたくさんもらって、「民泊 あらはの宿」を出発した。車で道中を走っているとき、来たときよりも車のスピードを落としていることに気付いた。民泊を通して、やんばるの自然に対して少し優しくなった自分がそこにいた。

【場所】
国頭村字奥間1605(国頭村観光物産センター内)

【予約・問い合わせ】
合同会社 結くにがみ
TEL:0980-41-2537
E-mail:yanbaru@yui-kunigami.com

平成27年度やんばる観光連携事業
北部広域市町村圏事務組合

⇒民泊を行ったやんばるエリアの観光情報はこちら


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