1. ふるさとの味を守り続ける、若き「カツオクリエイター」|友利真海

ふるさとの味を守り続ける、若き「カツオクリエイター」|友利真海

【投稿日】2019年10月11日(金)| 沖縄発

2015年に開通した「伊良部大橋」を渡って、宮古島から車で行ける離島・伊良部島は、青く美しい海に代表する手つかずの自然が今なお残る人気の観光地です。そんな伊良部島は、実は「カツオの一本釣り」で栄えた歴史を持つカツオの名産地でもあります。



そんなカツオの“ふるさと”で奮闘し、島の名物であり伝統でもある「なまり節(カツオの燻製)」を作り続けているのが、友利 真海(ともり まさうみ)さんです。



友利さん一家は平成元年に「友利かつお加工場」を創立。もともと昭和の終わりに、工場をたたむ人がいて、その方から譲ってもらったのが、はじまりでした。真海さんは、大学を卒業して別の仕事に就きましたが、2年ほど経ったある日、真海さんのおじいの体調が悪くなり、島に帰り稼業を手伝うことになりました。



「はじめは1日10匹ほどカツオをさばく練習を1週間。父親に教わりながら毎日やりました。ある程度できたかなと思ったタイミングで、急に『あとはよろしく頼む』っておじいに言われたんです」




カツオを茹でる釜は、昔は薪だったので火力の調整が大変だったそう。ちょっとでも油断すれば身がぐちゃぐちゃになったりして商品になりません。燃料は伊良部島の木麻黄(モクマオウ)を使用します。朝も5時から仕込みが始まり、友達との深酒もできません。たまに、お酒を飲んで遅くなるとおじいによく叱られたと笑います。



カツオは島にとって“ふるさと”の味。注文をしてくれる島のおじい・おばあたちは、方言で注文をするので、最初は何を注文しているのかわからなかったと語ります。仕事を覚えるのも大変ですが、どちらかというと方言や家の場所を覚えるのに苦労したそうです。それでも、若くして「なまり節」という伝統を守る真海さんを、おじい・おばあは随分と褒めて、行商の帰りには栄養ドリンク持たせてくれたりしたそうです。



ところが伊良部島も過疎化が進み「なまり節」だけの商売に限界を感じるようになっていました。そんなときに、伊良部大橋の建設が始まり、これをチャンスとばかりに直売所「海跨」をオープンさせた真海さん。

これが大当たりし、宮古島からのお客さんや観光客がどっと訪れたそうです。今では、「なまり節」を使ったサンドウィッチが商品化されるなど、広がりを見せ始めています。



そんな「友利かつお工場」ですが、もう一つ大きな特徴が。それは「手火山式」という日本古来の伝統的な工程を、今なお守り続けていることです。そのことが次第に島の名物として知られるようになり、取材も増えてきたといいます。



昔からの技法を使い、島の伝統を受け継ぐ「友利かつお加工場」の「なまり節」をぜひ食べに来てください。

【店名】
友利かつお加工場

【商品名】
鰹なまり節 350円~

【住所】
沖縄県宮古島市伊良部字池間添249-1

【問い合わせ(電話番号)】
0980-79-0584

【営業時間】
9時~18時

【定休日】
日曜・祝祭日

みやこ下地島空港ターミナル内にて現在、友利さんのカツオなまり節を用いたサンドウィッチも販売中。


■JTA×たびらい沖縄の挑戦
沖縄県内離島の魅力や、先人の業・知識を未来へ伝えていく若き島人にフォーカスした記事を「JTA×たびらい沖縄」のコラボ企画として取材中。現地までの道のりを、ワクワクさせるおもてなしと翼で届けてくれる「JTA」と、現地発信をモットーに沖縄ファンへ情報を届け続ける「たびらい沖縄」のコラボ記事を引き続きお楽しみください。

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【投稿日】2019年10月11日(金)【投稿者】たびらい編集部

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