水の乏しかった水納島の生活を支えたふたつの井戸

水納島は、沖縄本島北部、本部半島南西の海上約8キロに浮かぶ周囲約4.6キロ、面積0.54平方メートルの小さな島。無人島だったが、明治の中頃に隣の瀬底島から移住して人が住み始めた島だ。もともと水資源の乏しかったことから「水がない島(水無島)」が島名の由来とされる。
集落から南へと向かう道を進むと、突き当たりに石積みの丸い井戸が現れる。その奥には島の始まりの神様が祀られている拝所があり、そこから200メートルほど離れたところには四角い井戸もある。丸井戸の方が最初にできた井戸で、島の男性の水浴びの場であった。四角い方の井戸は女性たちが洗濯したり、汗を洗い流したりするのに使っていた。井戸は両方とも海と通じているようで、塩分の混じった水なので、飲み水は雨を貯めて使っていた。また潮の干満で水面が上下する。昔は家畜に飲ませたり、洗い物をしたり、畑に撒いたりと、大切に使われていた。しかし現在は、沖縄本島からの海底送水管が水を供給しているので、生活用水としては使っていない。
この拝所と井戸およびその周辺は、聖なる場所として島の人が年に3~4回きれいに清掃し、きちんと守っている。琉球王朝を創始した尚円王の生地で神聖な島とされている伊是名島(いぜなじま)と首里を結ぶ延長線上に水納島が位置していることから、この拝所もユタに「拝みに行きなさい」と言われて、県内各地から拝みに来る人が多い。島の人にとってはとても大切な聖域なので、見学する時には島の歴史に思いをはせつつ、敬虔な気持ちを忘れないようにしたい。
【交通】
那覇空港から渡久地港へ車で160分 渡久地港から高速船で水納島へ約15分 水納港から歩いて10分 ※うっそうとした木々の間を歩いていくのでハブに注意
【住所】
本部町瀬底
【問い合わせ先・電話番号】
なし
【駐車場】
なし
【利用料金】
無料
【設備】
なし