1. 平山温泉 “奥座敷”のとろり美肌の湯

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

平山温泉 “奥座敷”のとろり美肌の湯

  まるで美容液のようにとろりとした湯が近年注目を集め、一躍人気の温泉地となった平山温泉。その歴史は古く、起源は8世紀の延暦年間といわれる。静かな山あいに湧く“美肌の湯”は、とにかく泉質の良さが魅力。“山鹿の奥座敷”で、心も体も癒やされよう。

宿泊も日帰り利用もできる「すやま温泉」

  山鹿温泉と並ぶ山鹿市の名湯、「平山温泉」。日本の原風景が広がる山里にあり、“山鹿の奥座敷”とも呼ばれる。硫黄成分を含むとろみのある湯は、昔から医治効果があるとされ、特に皮膚病への効能が期待できることから、肥後藩初代藩主・加藤清正が湯治に通ったと伝えられる。熊本の山間にある名湯の魅力を紹介する。

取材/熊本の編集プロダクション「ポルト」、2015年 12月


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野中孝久さん
(のなか たかひさ)
野中 孝久さん

平山温泉の達人
  山鹿市商工観光課に勤務する職員。山鹿市の鹿北町出身。平山温泉の泉質やロケーションに魅了されて、ずっと通い続けている。大の平山温泉ファンでもある。

のどかな山里にある“山鹿の奥座敷”

田園風景が広がる平山温泉郷では、秋には稲穂がたわわに実る

  熊本県の北部に位置する山鹿市から北へ、車で約10分。平山温泉は、のどかな田園風景が広がる山里にある。“山鹿の奥座敷”と呼ばれ、良質の温泉が湧き出ているが、「温泉以外何もない、純粋に温泉を楽しむ場所」と達人・野中さんは言う。

まるで美容液のようにとろりとした湯が近年になって注目を集め、一躍人気の温泉地に。しかし、起源は8世紀の延暦年間といわれるほど、その歴史は長い。

平安末期、地元の集落に悪性の皮膚病が流行した際、阿蘇大名神に祈りを捧げると、一夜にして高い山が開けて平坦な地が出現。そこから湯が湧き出し、その湯を浴びた人々はたちまち皮膚病が治ったと伝えられる。また、江戸時代には肥後藩初代藩主の加藤清正が、汗疹(あせも)を治すために通ったという。

公衆浴場からお洒落なスパまで。幅広い温泉施設

地元の人々の憩いの場、「平小城温泉 城山公衆浴場」

  平山温泉では、静かな山あいの温泉地に約15軒の宿が点在している。全室風呂付き離れの旅館から、手頃な価格でアットホームな雰囲気の民宿まで、幅広いタイプの宿がそろう。立ち寄り湯が可能な宿も多いので確認してみよう。

また、日帰り入浴施設や家族湯も比較的充実している。日帰り施設は、昔ながらの公衆浴場から女性好みのお洒落なスパまでバリエーション豊富。家族湯も、内湯と露天風呂付きだったり、湯が入れ替え制だったりとそれぞれ特徴がある。旅のプランや好みに合わせて、さまざまな温泉の楽しみ方ができるのも平山温泉の魅力の一つだろう。

すぐれた泉質でしっとり肌になる“美肌の湯”

無色透明でぬめりのある平山温泉の湯

  平山温泉の魅力を尋ねると、「一番の魅力はなんといっても泉質ですね」と達人・野中さんは言う。平山温泉の湯はアルカリ性単純硫黄泉で、周辺の温泉でも珍しく硫黄分を含んでいる。この硫黄分が皮膚病に効果があることから、先述したように、かの加藤清正も湯治に通ったという。

無色透明でぬめりのあるやわらかな湯は、漬かるとしっとり肌になるとの評判だ。湯の温度はややぬるめなので、少し長めに漬かるのがおすすめだ。
「ぬるいお湯にゆっくり漬からないと、どうも温泉に入った気がしないんですよね」
野中さんも、そう言って笑う。

平山温泉ならではの土産物を

平山温泉のロゴ入り桶は、土産物として購入も可能

  せっかく平山温泉を訪れたなら、土産物には地元ならではのものを。平山温泉の春の風物詩といえば、一面に広がる菜の花畑。見ごろが終わった菜の花を緑肥として利用した「菜の花米」は、平山を代表するブランド農産物。「九州米サミット」で過去に最優秀賞を2回受賞している。宿や食事処の料理で菜の花米のごはんが提供される場合も多いので、気に入ったら購入もできる。

また、土産物といえば、熊本名物・「いきなり団子」も忘れてはならない。団子の皮に温泉水を使ってまろやかな食感に仕上げるのは、平山温泉ならではのひと工夫。菜の花米も、いきなり団子も、ともに平山温泉観光案内所横の直売所「ひらやま湯の里市」で買うことができる。

「馬さし屋 松明」で購入できる「馬うまコロッケ」もおすすめだ。中には肉じゃが風に味付けした馬肉がたっぷり。店内にはイートインスペースもあり、揚げたてあつあつのコロッケがその場で味わえる。もちろん持ち帰りも可能だ。

⇒達人コラム「いきなり団子 熊本の郷土おやつの味わい方」


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平山温泉のおすすめスポット

平山温泉のおすすめ家族湯3選

  家族湯が比較的多いのも平山温泉の魅力。露天風呂付きや、湯を入れ替るものなど、特色のあるおすすめの家族湯を紹介。

  • 夜はライトアップの光があたたかな木の壁を照らす
  • 100%掛け流しの「春日」の湯は、とろとろなめらか
  • 青々と繁った木々を眺められる「いまむら」の露天
おすすめポイント
  平山温泉の家族湯はバラエティに富んでいて、クオリティも高い。「家族温泉 湯の川」は全室に内湯と露天風呂付き。「家族湯 春日」は待ち時間が少ない穴場。「家族湯いまむら」は湯が入れ替え制なので、いつでも一番風呂が楽しめる。

平山温泉のおすすめ立ち寄り湯3選

  日帰り利用が可能な旅館の温泉から、ノスタルジックな雰囲気が漂う公衆浴場まで。平山温泉の懐の広さを感じさせる立ち寄り湯を紹介。

  • 落ち着いた雰囲気の「湯の蔵」の大露天風呂
  • 熱めと適温で湯船が二つに仕切られた「すやま温泉」の女湯
  • しっとりとした湯触りが魅力的な「城山公衆浴場」
おすすめポイント
  「湯の蔵」は露天風呂が広く、ゆったり寛げる。「すやま温泉」は、タイル張りの浴槽が懐かしい雰囲気。平山温泉の中でも、昔ながらの風情が残る「平小城温泉 城山公衆浴場」はマニアックなおすすめ。泉質も魅力で、湯が“重たい”。地元の常連客との触れ合いも楽しめる。

平山温泉のおすすめグルメ3選

  ヘルシーな豆腐料理から、いきなり団子やだご汁といった熊本の郷土料理まで。こだわりのグルメを楽しもう。

  • やまと旅館の「食事処わらび」では、豆腐のほか馬肉料理も並ぶ
  • 「ひらやま湯の里市」には新鮮野菜を使った漬物がずらり
  • 地元のお母さんたちが作る「だっこひゃーご」のだご汁
おすすめポイント
  もともとは豆腐屋だった「やまと旅館」では、併設の食事処で味わえる豆腐料理が評判。地元の人にも人気が高い「湯の里市」の漬物は土産物におすすめ。地元の主婦が腕を振るうのが、農家レストラン「だっごひゃーご」。気軽に“おふくろの味”を。

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編集部の視点
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平山温泉への交通アクセス

車(レンタカー)で

  九州自動車道・植木ICから国道3号経由12キロ、約20分
 JR熊本駅から国道3号経由30キロ、約50分
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バスで

  熊本交通センターから山鹿行きバスで約1時間30分の山鹿バスセンター下車

平山温泉のQ&A

Q 土産物を購入できる場所は?
A 平山温泉観光案内所の隣にある「湯の里市」。地元の新鮮な農産物から特産品、温泉水を使ったオリジナルのスキンケア商品まで、さまざまなものがそろっている。
Q おすすめの土産物は?
A 菜の花を有機肥料として活用した「菜の花米」。過去の「九州米サミット」で二度の最優秀賞を受賞した品だ。平山温泉の温泉水を使った「いきなり団子」も人気だが、午前中に売り切れることも多いので、早めの購入がおすすめ。また、天然杉で作られたオリジナルの風呂桶などもある。
Q 食事できる場所はある?
A 旅館や家族風呂、スパ施設などに食事処が併設している場合が多い。また、農家レストランやカフェも。まずは平山温泉観光案内所で周辺マップなどを手に入れよう。
Q 季節ならではの楽しみ方はある?
A 春は一面に黄色い菜の花が咲く。また、平山温泉の周辺には清流が流れており、ホタルの里としても知られる。毎年5月下旬にはゲンジボタルが舞う。
平山温泉の宿を探す、予約する。

たびらいの「推し宿」

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 また、希望の宿が満室表示されている場合には、スタッフが宿に直接交渉をしてくれるリクエストサービスも。

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