阿蘇温泉の
ツウな楽しみ方を現地編集部が徹底ガイド

阿蘇火山や九重火山の近くに位置する阿蘇温泉。熊本旅行で外せない観光地である阿蘇周辺には温泉が多く、熊本県内の源泉数のうち、実に約半数を阿蘇温泉が占めています。

熊本のシンボルである阿蘇山の麓に広がる「阿蘇内牧温泉」は、約80カ所もの源泉から湯量豊富な温泉が湧き出す一大温泉郷。温泉郷内には昔から「町湯」と呼ばれる共同浴場が点在し、「阿蘇乃湯」、割烹料理「がね政」に併設された「宝湯」、「大阿蘇温泉」、「湯の宿 入船」、「薬師温泉」、「七福温泉」と、それぞれの浴場で泉質の異なる温泉を満喫できるのが特徴です。

大浴場や露天風呂、貸切湯、足湯など多彩な風呂がそろう「阿蘇乃湯」、石造りの内湯や露天風呂が特徴的な「宝湯」、露天風呂と内湯、貸切風呂で3種類の異なる源泉を満喫できる「湯の宿 入船」、内牧温泉発祥の湯と伝えられる「薬師温泉」、昔ながらのタイル張りが目を引く「大阿蘇温泉」、シンプルな縦長の内湯が備えられた「七福温泉」などの共同浴場で、筋肉痛や関節痛、冷え性などに効くとされる効能豊かな温泉を堪能できます。

「阿蘇内牧温泉」が発見されたのは、1897年のこと。地元の方が井戸を掘っている際に、偶然発見されたと伝えられています。江戸時代以降は特に、阿蘇山の登山客や湯治客を中心に、阿蘇エリア最大の温泉地としての賑わいを見せていたそう。また、与謝野鉄幹と晶子夫妻、夏目漱石、種田山頭火など数多くの文人墨客に愛された温泉地としても名をはせており、夏目漱石は「阿蘇内牧温泉」を舞台にした小説「二百十日」をしたためたとされています。

阿蘇温泉でおすすめの宿泊施設は、阿蘇の見事な風景を愛でられる屋上露天風呂「嶽湯空拝」や日本庭園を望む露天風呂「峰望の湯」などが人気の「阿蘇プラザホテル」、12もの貸切風呂や客室専用の露天風呂、大浴場での湯めぐりが楽しみな「湯巡追荘」、「大阿蘇温泉」を有する「民宿 大阿蘇」、「阿蘇乃湯」を備えた露天岩風呂が好評の「旅の宿　阿蘇乃湯」、露天風呂付客室やあか牛など地元食材を生かした創作料理が魅力の「湯の宿 入船」、1日に2組のみが、京都祇園で腕を磨いた料理長が無農薬などこだわりの食材で生み出す料理と客室専用の岩盤浴や半露天風呂を堪能できる「はなれの宿 千の森」など。

温泉自慢の旅館や良質なお湯が満たす露天風呂付き離れを完備したの旅館、日帰り入浴と個室の休憩室での日帰り休憩プランを設けた旅館もそろっています。日帰りの共同浴場から宿泊者限定の旅館の風呂、客室露天風呂に至るまで、趣の異なる多彩な温泉を泊まり掛けで楽しめますよ。

「ホテルグリーンピア南阿蘇」の全室禁煙の部屋に宿泊する【一泊二食】温泉三昧プラン_会席料理+コーナーバイキングプラン、全室内風呂と露天付きの料理旅館「阿蘇乃やまぼうし」のスタンダードな囲炉裏プラン、公式サイトからの予約で3つもの特典が受けられる「源流の宿 帆山亭」の★～帆山亭人気№1♪～★スタンダードプラン、露天風呂男女や浴場男女など7つの温泉で2種類の源泉を満喫できる「黒川温泉　旅館　山河」の二種の源泉と旬会席プランをはじめとする素泊まりプランから朝食付宿泊プラン、料理プランに至るまで、手軽宿泊プランを備えた旅館やおすすめホテルが点在しているのも阿蘇温泉が人気な点。

サイトにホテル名を検索すると、宿泊プラン一覧や朝食付きプランなどが表示されますので見やすく便利です。

2016年に発生した熊本地震によって、一部の旅館が休業や改修を余儀なくされたり、道路や公共機関が影響を受けたりもしましたが、復興に向けて着実に歩を進めています。観光情報や交通情報など、気になる最新情報はサイトでご確認ください。

「街全体がひとつの宿通りは廊下 旅館は客室」という言葉を聞いたことはありますか。これは、黒川温泉のキャッチフレーズで、街全体が一体となって街づくりに取り込む黒川温泉の雰囲気を表すもの。

田の原川沿いに2軒の共同浴場や20数軒の旅館、土産店などが立ち並ぶ「黒川温泉」は、戦前までは山間の鄙びた湯治場のひとつに過ぎませんでした。しかし、1986年には、大人1人に付き1000円、3才～小学6年生までの子供1人に付き700円の入浴料を支払うことで、黒川温泉3軒の露天風呂巡りを満喫できる黒川温泉オリジナルの「入湯手形」が登場。

また、華美な看板や白いガードレールを取り除き、温泉街全体を落ち着いた色の看板や建物に統一するなど、周囲の豊かな自然との調和がとれた山里の雰囲気を生かした温泉街へと生まれ変わりました。嬉しいことに、日本の主だった10種類の泉質うち、弱アルカリ性単純泉や弱酸性単純泉、硫黄泉、ナトリウム炭酸水素塩泉、ナトリウム塩化物泉、含鉄泉、硫酸塩泉と7種類もの温泉をひとつの温泉街で味わえるという点も魅力。「入湯手形」でお得に湯巡りが楽しめたり、浴衣と下駄で温泉街を散策できたり、随所でやわらかい表情の田の神様に出合えたりと、黒川温泉ならではの懐かしい雰囲気が多くの人を魅了。現在では国内屈指の人気を誇る温泉地として知られています。

黒川温泉と同じ南小国温泉郷に属する満願寺温泉は、鎌倉時代の元寇の役に際し、国家の安泰を願っていた鎮西奉行の北条時定によって、1274年に創建された満願寺を中心に発展してきました。満願寺川沿いに共同浴場や宿泊施設が点在するレトロな雰囲気の温泉地で、疲労回復やリウマチなどに効果があるとされるアルカリ性単純泉を満喫できます。

多くの人で賑わう黒川温泉から少し離れた山間にひっそりと佇む小田温泉は、田園や山など日本の原風景ともいうべきのどかな光景が広がる秘湯。開湯は1970年代と、周辺の黒川温泉や満願寺温泉と比べると、比較的新しい温泉地です。小田川沿いに点在する小田温泉の旅館の中でも人気が高いのが、隠れ家のような雰囲気を漂わせる全室露天風呂付離れ形式の「彩の庄」。露天風呂付離れや源泉かけ流しの温泉で、ぜいたくな大人の時間を過ごせると評判です。

雄大な自然に囲まれた阿蘇の楽しみと言えば、やはり豊かな自然を体感できるアウトドアです。おすすめなのが、熱気球や天空ヨガなどの自然を生かした体験ができる「阿蘇ネイチャーランド」。

40メートルの高さまでゆっくりと上昇する熱気球は、バルーン内の空気をガスバーナーで熱したり、バーナーの炎を調節したりすることで、熱気球を上り下りさせる乗り物。風の影響を強く受けるため、飛行できるのは風のない日の早朝のみです。ゴォーというバーナーの音や市街地や山並みなどの眼下に広がる美しい景色、雲の上から拝む日の出などが熱気球の醍醐味。

6月下旬から9月末にかけて開催される天空ヨガは、朝の数6時に「阿蘇ネイチャーランド」に集合し、約20分かけて阿蘇五岳や大観峰を一望できる秘密のスポットへと移動。凛とした空気や心地よく降り注ぐ朝日などに包まれた約50分の癒しの時間を過ごせます。

数多くの温泉地を擁する阿蘇周辺には、内牧地区や赤水地区、坊中地区といった阿蘇温泉観光旅館協同組合に属した温泉地を中心に、観光の拠点に最適な温泉も点在しています。阿蘇温泉観光旅館協同組合に加盟の旅館に宿泊の際には、宿泊者限定の「乙姫スターライトトレッキング」は必見。「乙姫スターライトトレッキング」とは、珍しい夜の乗馬体験のこと。夜空に煌めく満天の星や爽やかな夜風が特別な時間を演出してくれます。阿蘇温泉観光旅館協同組合に所属している湯宿やホテル一覧は、公式サイトからチェックしてみてくださいね。

また、JR阿蘇駅から徒歩約1分という好アクセスを誇る阿蘇坊中温泉の市営温泉「夢の湯」や、美人湯と評判の温泉を源泉かけ流しで満喫できる阿蘇乙姫温泉の貸切家族風呂「湯ら癒ら（ゆらゆら）」、杖立川沿いに多彩な家族風呂が並ぶ杖立温泉の「観音岩温泉」、全室に設えられた露天風呂や内湯付きの露天風呂で美人の湯を楽しめる白水温泉の「竹の倉山荘」など、観光がてらにぜひ立ち寄りたい個性的な温泉がそろっています。アウトドア体験と温泉という、阿蘇ならではの自然の魅力を体感できる時間を過ごすのも思い出になりますよ。