平山温泉のツウな湯巡りへ
とろ～り美肌湯を徹底ガイド

熊本県北部に位置する山鹿市から北へ車で約10分、平山温泉はのどかな山里にあり、“山鹿の奥座敷”とも呼ばれています。旅館や日帰り入浴施設が点在し、観光名所的なものは決して多いとはいえませんが、それだけに、良質な湯を純粋に楽しめる温泉地です。

平山温泉の歴史は古く、起源は8世紀の延暦年間（782年～806年）といわれています。地元の集落で皮膚病が流行したときのこと。阿蘇大明神に祈りを捧げると、一夜にして山が開き、深い谷を埋めて、現在のような平坦地が出現。そこから熱い温泉が沸き出て、その湯を浴びた人々はたちまち皮膚病が治り、きれいな肌になったと伝えられています。山が平らな土地になったことから「ひらやま温泉」と呼ばれるようになったとか。

また江戸時代には、肥後藩初代藩主の加藤清正が汗疹（あせも）を治すために通ったともいわれています。平山温泉の湯は、周辺の温泉では珍しいアルカリ性単純硫黄泉で、この硫黄分が皮膚病に効果があること、谷あいに守られ警護もしやすかったことが、その理由のようです。

現在では、山鹿温泉と並んで“美肌の湯”として親しまれる人気の温泉地。山間には15軒ほどの宿が点在し、全室風呂付きの旅館から、手軽な価格でアットホームな雰囲気の民宿など幅広いタイプの宿がそろいます。日帰り入浴施設も多く、昔ながらの公衆浴場からおしゃれなスパまでバリエーションも豊富。

家族湯が多いのも特徴的で、「湯処　風月」や「旅館　いまむら」などは、貸し切り風呂を10部屋以上備えています。2018年に全館リニューアルしたばかりの「善屋」はモダンな家族湯が人気で、立ち寄りも可能だが、宿泊者優先なので訪れる際には事前に問い合わせを。

家族湯は内湯に露天風呂付きだったり、湯が入れ替え制だったり、施設によって異なるので、用途に合わせて選びましょう。

■湯処　風月
【住所】熊本県山鹿市平山5955
【営業時間】平日／9時～翌1時（30分前に受付終了）、土・日・祝／8時～翌1時（30分前に受付終了）
【定休日】不定休
【問い合わせ（TEL）】0968-43-0268

■家族温泉　湯の川
【住所】熊本県山鹿市小郡327
【営業時間】10時～22時（21時最終受付）
【定休日】木曜、第3金曜
【問い合わせ（TEL）】0968-44-5419

■家族湯　いまむら
【住所】熊本県山鹿市平山4156
【営業時間】10時～22時
【定休日】なし
【問い合わせ（TEL）】0968-43-8831（家族湯）、0968-43-8821（旅館いまむら）

せっかく訪れたからにはチェックしておきたい、平山温泉ならではのお土産やグルメ情報を紹介します。2018年8月より販売された「温みくじ（300円／税込）」は平山温泉の新名物。温泉水（湯）に浸すと、「大吉」「小吉」などの文字が浮かび上がるという、全国的にも貴重なおみくじ。温泉地ならではのアイデアが面白いのが特徴です。

おみくじは、結ぶことに意味があり、神様との縁を結ぶとされています。温みくじ専用の結び処が「阿蘇神社」にあるので、時間が許すならぜひ立ち寄ってみて。階段を上がって右手にある榊の木に、願いを込めて結ぶといいですよ。

平山温泉オリジナルの「うるおいシリーズ」は、美人の湯として知られる平山温泉の温泉水をベースにヒアルロン酸などの天然成分を配合した女性に人気の商品です。「うるおい化粧水」（1700円／税別）、「うるおい保湿ジェル」（2200円／税別）、「うるおい石けん」（900円／税別）の3種類があり、一番人気は化粧水。お手頃価格の「うるおい石けんや、温泉地にちなんだ「ロゴ入り桶」もお土産に購入する人も多いそうですよ。

平山温泉の春の風物詩といえば、一面に広がる菜の花畑。この菜の花を緑肥として利用した「菜の花米」は平山を代表するブランド米で、「九州米サミット」で最優秀賞を2回受賞しています。旅館や飲食店でも提供されることも多く、平山温泉観光協会などで購入できます。

※平山温泉観光協会に隣接していた平山温泉の直売所「湯の里」は2018年12月末で閉店。平山温泉のお土産は、平山温泉観光協会もしくは各温泉施設などで手に入れましょう。

馬さし屋松明は、鮮度抜群の馬肉が豊富にそろう馬肉専門店。看板商品は「馬うまコロッケ」（150円／税別）で、馬肉をじゃが風に柔らかく煮込んでおり、馬肉がゴロゴロ入っているのが特徴的。「ヘルシーメンチカツ」「ハムカツ」「チーズカツ」といった手作り惣菜や、「馬刺しの燻製」「馬タンの燻製」などラインナップも豊富。馬刺しは持ち帰りや発送も可能なので、お土産や贈り物にもおすすめ。出来たてのコロッケなどはイートインもできますよ。

地どり庵　三蔵は炭火焼きの地鶏専門店で、県外からの客が多い名店。地鶏本来の味を堪能できるべく、焼き加減、調味料、器など一つひとつに店主がこだわっています。一番人気は炭火焼きの「三蔵セット」（1600円／税抜）で、鶏もも肉・豆腐・スープ・ごはん付き。生産者が手間ひまかけて育てた天草大王の炭火焼きセット（2380円／税抜）もおすすめです。

■温みくじ／うるおいシリーズ／ロゴ入り桶／菜の花米
【住所】熊本県山鹿市平山5955
【問い合わせ（TEL）】0968-44-0522（平山温泉観光協会）
【営業時間】10時～16時

■馬さし屋松明
【住所】熊本県山鹿市平山65
【営業時間】9時半～18時半
【定休日】木曜
【問い合わせ（TEL）】0968-44-5856

リピーターが多いと山鹿エリアで人気のツアーが「米米惣門ツアー」。豊前街道の下町惣門地区は古くから米の集散地として栄え、古き良き街並みが今なお残っています。地元の人が“米”をテーマに案内する散策ツアーで、麹屋、酒屋、せんべい屋、お寺など60分ほどで回りますが、移動距離は200メートルほどなため、子どもでもお年寄りでも気軽に参加できます。参加費も、お土産付きで600円とリーズナブル。

山鹿の一大イベントで、九州屈指の夏の風物詩「山鹿灯籠（とうろう）まつり」。国指定の伝統的工芸品「山鹿灯籠」は、木や金具を使わず、和紙と少量ののりだけで作られていますが、とにかく繊細。まつりでは、この金灯籠を女性たちが頭上に載せて優雅に舞い踊り、山鹿の町を幻想的な灯りで彩ります。通常、8月15日・16日の2日間で開催され、花火大会などの催しも多数行われます。

天長2年（825）に空海によって開かれた「金剛乗寺」は、かつては西の高野山と称されるほどの規模を持つ真言一派の大寺院でした。参道には、山鹿市指定文化財の古い石門があり、めがね橋築造技術を生かした円い形が特徴的。

金剛乗寺の住職によると「正面に梵字のア、背面にバンが彫られていて、アは胎蔵界、バンは金剛界の大日如来を指しています。近代になり交通の利便性を考慮して下の部分が埋められましたが、門は本来は真円の形をしています。月輪門あるいはア字観門と言うべき門です。“これより仏の体内に入る”ことを意味しています」とのこと。また、円形の形が「縁」に通じることから、縁結びのパワースポットとしても知られています。

山鹿市にある「矢谷渓谷」は、初夏には新緑、秋には紅葉など四季折々の景色を楽しめます。夏は涼しく避暑地としても親しまれており、渓谷の水流が岩を削ってできた天然の滑り台（ウォーターシュート）がスリル満点で、子どもたちに大人気。また、ヤマメ・マス料理も有名で、周辺には釣り堀で釣った魚を食べられる食事処も。夏季限定で、ロッジやバンガローなどを備えたキャンプ場も利用できますよ。

■山鹿灯籠まつり
【開催場所】山鹿小学校グラウンド（千人灯籠踊り）
【問い合わせ（TEL）】0968-43-1579（山鹿市商工観光課山鹿灯籠まつり実行委員会）

■護国山 金剛乗寺・石門
【住所】熊本県山鹿市山鹿1592
【受付時間】8時～18時
【問い合わせ（TEL）】0968-43-3539

■矢谷渓谷キャンプ場
【住所】熊本県山鹿市菊鹿町矢谷2005-2
【営業日】5月連休と7月1日～9月30日
【問い合わせ（TEL）】0968-48-9156