熊本発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
紺碧の海と緑深い山々に囲まれた天草は、大小の島々から成る美しい諸島。周囲を三つの海に囲まれた漁場豊かなエリアなので、季節ごとにさまざまな魚介類が堪能できる場所だ。天草グルメの魅力を紹介する。
雲仙天草国立公園内にあり、大小120の島々からなる天草は、温暖な気候に育まれた“食材の宝庫”。周囲を有明海をはじめとする三つの海に囲まれていることから、水産資源が豊富で、水揚げされる魚介類のバリエーションの多さと味の良さには定評がある。天草で生まれ育った達人に、地元で味わう海の幸の魅力を教えてもらった。取材/熊本の編集プロダクション「ポルト」、2016年 6月九州ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(よしかわ しげふみ) 吉川 茂文さん
熊本県の南西部に位置する天草(あまくさ)エリア。上島(かみしま)や下島(しもしま)を中心に大小120の島々から成る諸島で、上天草市と天草市、天草郡苓北町の2市1町で構成されている。周囲を有明海と八代海(不知火海)、東シナ海の三つの海に囲まれた豊かな漁場では、季節ごとに多種多様な魚介類が獲れる。天草の海鮮を語るうえでまず挙げられるが、熊本の県魚でもある「車海老(くるまえび)」の存在だ。有明海や八代海では多くの車海老が水揚げされ、天草は全国有数の生産地として知られる。また、上天草市は車海老養殖の発祥地でもあるのだ。天草の車海老の旬は、天然ものが6月~8月、養殖ものが10 月~4月。どちらも甲乙つけがたいほど身が引き締まり、濃厚なうま味がある。ぷりぷりとした食感を味わうなら、まずは踊り食いがおすすめだ。
季節ごとに天草で水揚げされる魚介類の一部を紹介しておこう。春が旬の海の幸といえば、ムラサキウニやカレイ、イシダイ、クロクチ貝など。3月~5月中旬には、天草の飲食店や宿泊施設では「天草生ウニ三昧」が実施され、漁が解禁になったムラサキウニをウニ丼やウニ寿司などで味わえる。続いて初夏にはイサキやイシダイなどが出始め、夏になるとアカウニやハモ、マンビキ(シイラ)、イワイ、ヒラゴ(マイワシの子ども)、タレ(カタクチイワシ)、アカイカなどが登場する。特にアカウニは天草の夏を代表する味覚の一つで、濃厚な甘さが楽しめる。また、天草でよく食べられるマダコも夏が旬で、中でも天草沿岸で獲れる地ダコは身が締まり、歯応えが良くや濃厚なうま味を持つ。秋は、伊勢エビやミズイカ(アオリイカ)などが旬を迎える。天草が全国有数の漁獲高を誇る伊勢エビは、ぷりぷりした歯ごたえと上品な甘み。「牛深伊勢えび祭り」や「天草下田温泉伊勢エビグルメプラン」が実施される毎年8月下旬~12月がおすすめだ。この期間に、地元の飲食店や宿泊施設では伊勢エビ尽くしの豪華なコース料理が堪能できるため、遠方から訪れるファンも多い。冬になると、ウニの一種であるガンガゼのほか、ブリやカンパチ、キビナゴなどが水揚げされる。ここに挙げただけでは語り切れないほど、天草では多種多様な魚が獲れる。いつ訪れても、その時々で旬の海鮮が堪能できるのだ。
同じ天草の中でも、味わえる海鮮の種類はエリアごとに異なる。上天草市にある大矢野町(おおやのまち)の特産品が、7月~9月に旬を迎える「ハモ」。八代海で水揚げされるハモは脂がのっていて、側面がきらきらと輝いていることから“黄金のハモ”としてブランド化され、東京・築地をはじめ関東・関西圏の市場で高い評価を得ている。しゃぶしゃぶや湯引き、つみれ汁、天ぷらなどで味わうのがおすすめだ。天草の最南端にある牛深町(うしぶかまち)の牛深漁港では、大量の「キビナゴ」が水揚げされる。銀色に光る体長10センチ前後の小魚で、刺身や寿司、みりん干し、天ぷらなどさまざまな調理法がある。中でも達人のおすすめは、塩をまぶして七輪で焼く「キビナゴのプス焼き」。焼き上がりに“プスッ”と音を立てて腹(内臓)に穴が開くことから、この名が付けられた牛深の名物だ。同じく牛深町の特産に「シロサバフグ」がある。毒を持たない体長30センチ程度のフグで、体の側面が金色に輝くため地元では“キンブク”と呼ばれる。淡白な白身は一夜干しや唐揚げ、煮物などに最適で、高価なトラフグなどと比べるとリーズナブルで気軽に味わえる。河浦町(かわうらまち)や苓北町(れいほくまち)の特産品といえば、10月~3月が旬の「ヒオウギ貝(緋扇貝)」。鮮やかな色彩とホタテ貝によく似た形をしており、味もホタテ貝に似ているがより強い甘味を持つ。刺身やバター焼き、酒蒸し、フライなどがおすすめだが、カラフルな貝殻は記念に持ち帰るにもいい。
天草ならではのディープな海の幸や、ユニークな食べ方もぜひ知ってほしい。「マダコ」は天草で日常的に食べられている魚介類で、海岸沿いに干しダコがずらりとつるされた光景は、天草の夏の風物詩だ。この干しダコで作る「タコめし」は天草の郷土料理となっており、小ぶりの地ダコを丸ごと煮た「タコステーキ」とともに、天草で昔から親しまれている家庭の味だ。天草の旅館や民宿で提供される場合は、タコの胴体に紅白のハチマキが巻かれて登場することも多い。天草市にある有明町の民宿では、「天草有明タコ八料理」としてタコステーキやタコめし、タコの天ぷらなど、タコ尽くしの料理を提供している。食事のみの利用も可能だ。また、茶褐色のまだら模様の体と鋭い歯を持つ「ウツボ」は、天草では昔から“きだこ”と呼ばれ、地元の食材として親しまれてきた。ウツボを食べることに少し抵抗がある人もいるかもしれないが、グロテスクな外見に反して、くせのない淡白な味わいだ。身はぷりぷりと引き締まり、皮にはコラーゲンが豊富に含まれている。旬は10月~12月で、天草のホテルや食事処で湯引きや鍋物、唐揚げなどで提供される。少し上級者向けの“現地の食”だ。
王道の海鮮グルメを満喫したら、海の幸以外のご当地グルメにも注目してみよう。日本最大級の大きさを誇る天草の地鶏「天草大王」は、昭和初期に一度絶滅した種を、長い年月をかけて復活させたもので、“幻の地鶏”とも呼ばれている。独特な歯応えと濃厚なうま味があるので、煮ても焼いてもだしにしてもいい。地元の専門店や居酒屋などでメニューに見かけたら、ぜひ味わってみてほしいおすすめ食材だ。また、「天草ちゃんぽん」は、長崎ちゃんぽん(長崎県長崎市)や小浜ちゃんぽん(長崎県雲仙市小浜町)と並ぶ「日本三大ちゃんぽん」の一つ。“島民食”と呼べるほど地元の人々に愛され、ちゃんぽん専門店はもちろん、中華料理店やラーメン店、食堂、居酒屋、喫茶店など、さまざまな店舗で食べることができる。スープや具材に特に決まりはなく、そのぶんメニューとしてのバリエーションは豊か。天草らしく海の幸がてんこ盛りになったちゃんぽんや、近年では天草大王のだしを使ったちゃんぽんなども登場。島内の観光案内所などには、「天草ちゃんぽんガイドブック」が置かれている。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
天草を訪れたら、ぜひ食べてほしい海の幸を紹介。
一度は絶滅したものの、長い年月をかけて復活した“幻の地鶏”、「天草大王」。その独特な歯ごたえと濃厚なうま味は、さまざまな調理法で味わうことができる。
天草の海の幸や山の幸が、ふんだんに使われた土産物を紹介。いずれも昔ながらの製法で作り上げた“伝統の味”だ。
天草には鉄道が走っておらず、JRあまくさみすみ線の三角駅が最寄駅となる。同駅近くの三角港からは、松島港を経由して本渡港までの定期船(天草宝島ライン)が運航している。空の便では、熊本空港・福岡空港・大阪空港のそれぞれと天草空港を結ぶ「天草エアライン」が運航している。ただし、定期船・航空機ともに便数が少ないので、天草旅行では事前に周到な計画を立てる必要がある。
・熊本空港から国道57号・324経由で約85キロ、約1時間50分・天草空港から国道47号経由ですぐ・熊本駅から国道266号・324経由で約100キロ、約2時間10分・松橋インターチェンジから国道266号・324経由で約70キロ、約1時間30分
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色彩豊かなヒオウギ貝(緋扇貝)
赤にオレンジ、黄色、紫……。別名“虹色貝”とも呼ばれる鮮やかな「ヒオウギ貝(緋扇貝)」は、河浦町や苓北町の特産品。ホタテ貝によく似た形をしており、味も似ているがホタテよりも濃厚で甘みが強い。刺身やバター焼き、酒蒸しなどがおすすめで、カラフルな貝殻は装飾品として土産物にもなる。
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