佐賀インターナショナルバルーンフェスタ
現地編集部が徹底ガイド

1978年に福岡県甘木市で開かれた「バルーンフェスタin九州」。この大会は、「バルーンミーティング」と呼ばれる規模の小さいもので、当時参加したバルーンは5機、競技飛行もなかったそう。翌年は競技も行い、同じく福岡で開催しましたが、1980年からは佐賀平野に場所を移し、佐賀の熱気球大会としてその歴史を新たにスタート。参加機数、観客数共に年々増え続け、現在100機を超える大きな大会に成長しました。

1984年からはアジアで初めて国際大会を開催。ここで大会名称を「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」と改め、佐賀で現在まで続く名イベントとなり、1980年の熱気球大会から現在まで、競技を中心に開催されています。日本国内の熱気球チャンピオンを決める「熱気球日本選手権」も1984年以降、2018年まで、35回の選手権中26回を佐賀で開催。この熱気球日本選手権は、2年に1回開催されている「熱気球世界選手権」に大きく近づける競技大会でもあり、日本中でも特に優れたバルーンのパイロットがこの大会のために集まっているそう。

現在、バルーンフェスタのイベントのひとつとして親しまれている「バルーンファンタジア」は1992年からスタート。「スペシャル・シェイプド・バルーン」という変形気球が集まり、アニメや映画などキャラクターの姿をしたバルーンがパイロットたちの手によってゆうゆうと空に舞い上がります。子どもを中心に大人も思わず釘付けになってしまうこのイベント。キャラクターを形取ったバルーンだけでなく、その大きさに思わず声をあげてしまう子供たちもいるのだとか。現在では、バルーンフェスタの一番人気のイベントとなっています。

その他にも、子どものための「キッズ・デー」なども行われており、バルーンフェスタの人気はますます広がってきているそう。

今では、たくさんのバルーニスト（バルーンのパイロット）と大勢のボランティア、バルーンのファンたちに支えられ、大会期間中は来場者数80万人を超える、アジア最大級の熱気球国際大会となっています。

JRバルーンさが駅
【住所】長崎本線 鍋島駅～久保田駅間
（佐賀県佐賀市嘉瀬町大字萩野字黒木篭）
【営業期間】2018年10月31日（水）～11月4日（日）

バルーンファンタジア
【住所】佐賀県佐賀市嘉瀬川河川敷　ローンチサイト（競技エリア）内
【開催日程】2018年10月31日（水）～11月4日（日）午前のバルーン競技終了後～10時30分くらい

キー・グラブ・レース
【住所】佐賀県佐賀市嘉瀬川河川敷　ローンチサイト（競技エリア）内
【開催日程】2018年11月4日（日）15時～17時

ラ・モンゴルフィエ・ノクチューン（夜間係留）
【住所】佐賀県佐賀市嘉瀬川河川敷　ローンチサイト（競技エリア）内
【開催日程】2018年11月3日（土）、4日（日）18時30分～19時15分

バルーンフェスタが開催される嘉瀬川河川敷までは、車や電車、バスなどの公共交通機関でアクセスが可能です。車で訪れる場合は、大会期間中、バルーン会場を中心に周辺も含め平日は約4800台、土・日曜、祝日は約7000台以上の駐車スペースが用意されており、会場内は有料、会場周辺の駐車場は無料で利用できます。電車を利用の場合は、開催期間中に臨時の「JRバルーンさが駅」が開設されるので、JR佐賀駅で乗り換えて会場の目の前まで電車で行けますよ。バルーンフェスタ期間中は鳥栖駅～バルーンさが駅～肥前山口駅間に臨時列車「バルーンフェスタ号」も運転されます。高速バスでは九州の玄関口、福岡の天神から佐賀駅近くの佐賀駅バスセンターまで。会場周辺道路は混雑が予想されるので、公共交通機関を使って行くのがおすすめ。

空に次々と舞い上がり、川面に反射して映るバルーン。そのフォトジェニックな景色をもちろんのこと、バルーンフェスタの楽しみ方や魅力は他にもたくさん。

まず注目したいのは、競技イベント。バルーン競技は、乗り物競技において一般的なを「速さ」競うのではなく、一定の時間内での「正確さ」を競うものがほとんど。スタートしたら「ターゲット」と呼ばれるゴールへ向かって数キロメートル飛び、「マーカー」と呼ばれる砂袋を投下することが競技の基本。

バルーンフェスタが開催される佐賀平野の上空は、風向きや風速の異なる風の層が何層も重なっていて時間と共に変化するため、日本でも屈指の競技エリア。ターゲットに的確に近づくためには、上空に吹く風の性質を見極め、瞬時にその風に向かってバルーンを上下させる高度な技術が必要なため、観覧者も見応え抜群。次々と空に放たれ、それぞれのパイロットの思いを乗せて飛ぶバルーンをぜひ、一度会場で見てみてください。

また、バルーンフェスタで一番人気のイベントとなっているのは「バルーンファンタジア」。毎年変わる人気のキャラクターやかわいい動物たちの巨大バルーンを見ることができます。気象・風速など、条件がよければ、普段は入ることのできないローンチサイト（競技エリア）へ入ることができ、バルーンをもっと間近に見られることも。気温や風などの影響で、予定の時間を待たずにバルーンをたたむこともあるそうなので、会場入りは早めに。

その他、体験イベントとしてパイロットやクルーと一緒にバルーンの立ち上げを体験できる「気球教室」も。バルーンのパイロットやクルーたちが気球の仕組みや特性などを分かりやすく説明してくれる珍しいイベントです。バルーンの観賞と合わせてぜひ参加してみて。

会場内には、佐賀の特産品を一堂に集めたバルーンモール「うまかもん市場」も。新鮮な佐賀の農産物や水産物を使った料理がそろいます。開催期間中の7時30分～17時まで開かれており、バルーンイベントの合間にも好きな時間にゆっくりと楽しむことができます。佐賀市ならではのおいしいものや体に良いものなどを33品を集めた佐賀市6次産業認定品「いいモノさがし」認定品の販売もされており、有明海の初摘み海苔を使った塩のりや佃煮などを販売している「有明の風」など、あらゆる佐賀に根ざした会社のおいしいモノを購入することができます。佐賀の山や海で取れた食材を一気に味わえる「うまかもん市場」。ぜひ地元の味を堪能してみてください。

横にあるイベントステージでは、毎日日替わりでさまざまなショーやコンサートも行われており、バルーンフェスタをさらに盛り上げます。 また、夜には幻想的なバルーンの姿が見られる「ラ・モンゴルフェ・ノクチューン」も合わせて開催。意味は「夜間係留」で、夜は周りが見えず飛ぶことのできないバルーンを地上で留めてバーナーを灯し、その巨大な提灯のような姿を楽しむというもの。日が沈んだ後の夕闇の中、バーナーの赤い炎に照らされるバルーンは幻想的。昼間とはまた違った表情をみせてくれます。このイベント見どころは、バンドの生演奏に合わせての「バーナーオン」。イベントの最後、一斉点火（バーナー・オン）で嘉瀬川河川敷に花火が打ち上がります。

期間中1日を通して行われるイベント。バルーンを身近に体感し、その「感動」をぜひ体験してみてください。

バルーンフェスタに来たら、一緒に訪れたいのが「佐賀バルーンミュージアム」。風や天候の影響を受けることは免れないバルーンですが、ここに来ればいつでもバルーンを身近に体感することができます。

「バルーンはどうやって飛んでいるのか」、「バルーンフェスタで行われる競技はどんなルール？」など初めてバルーンにふれる人にもわかりやすく理解できる展示がたくさん。

280インチの大きな画面に映し出された色鮮やかなバルーンを、臨場感あるリアルな映像で体感できる「スーパーハイビジョンシアター」のほか、本物のバスケットとバーナーを使って操縦の疑似体験ができる「バルーンフライトシミュレーター」が。バルーンのパイロットになった気分を味わうことができます。建物2階には、大空で挑戦し続けてきた「バルー二スト」たちの夢や功績などを知ることができる展示コーナーや、1960年頃に日本で初の有人飛行を成功させた熱気球の「イカロス5号」の実物もあります。

また、館内ではクイズラリー展示も。5ヵ所のラリーポイントのクイズに挑戦し、得点が多ければ「バルーン博士」の称号がもらえます。見て、学んで、体感でき、子どもから大人まで楽しめる佐賀バルーンミュージアム。バルーンフェスタの前に来て予習しておくのも、後に来て改めてバルーンについて深く知るのもいいですよね。ミュージアムは1年中開いているので、バルーンフェスタのない季節でももちろん、佐賀観光のひとつとして訪れることもできます。バルーンに興味がある人もそうでない人も、一度訪れてみる価値ありの観光スポットです。

お土産は、「佐賀工房 バルーンミュージアム店」で。バルーンをモチーフにした有田焼のワインキャップやキーホルダーなど、バルーンミュージアムならではのグッズが多くそろいます。地元の工芸品や名物なども売られているので、ぜひ帰りにのぞいてみて。

佐賀駅周辺でのランチは、食事からコーヒー・スイーツまで味わえる「アリユメ」へ。ビルの地下という立地と、昭和49年創業の老舗のカフェならではの趣ある空間が、路面店やチェーン店などとはまた違った自分だけが知っている隠れ家に来たような気持ちにさせてくれます。人気メニューの「シシリアンライス」に加え、食事の後、一杯ずつ立ててくれるハンドドリップコーヒーやベークドチーズケーキ」もぜひ味わっておきたいメニュー。地元で長く愛されるお店で、日常を忘れてゆっくりと自分だけの時間を過ごしてみては？

食事とスイーツで休憩したら、近くの観光地でもうひとつ押さえておきたいのが「佐賀城本丸歴史館」。ここでは、日本の近代化を先導した江戸時代末期、科学技術などによって時代が移り変わる時代の佐賀の歴史を学ぶことができます。日本で初めて佐賀城本丸御殿の一部を復元したという建物は圧巻。木造復元建物としては日本最大級の2500平米の広さを誇ります。注目は45メートルにわたって続く畳敷きの長い廊下と320畳の大広間。その奥行きと広さ、心地よい和空間を体感してみてください。

そのほか、本丸御殿を3D画面で体験できる「バーチャル佐賀城」や、江戸時代の佐賀藩主だった鍋島直正とARでツーショット写真が撮れる「からくりウィンドウ」など、歴史や和を感じる建物の中で、最新の技術を使っての体験や、クイズやゲームで楽しみながら「幕末維新期の佐賀」について学ぶこともできます。