熊本発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
良質な温泉と浪漫あふれる町並みで知られる山鹿の夏の風物詩といえば、毎年8月15日~8月16日に開催される「山鹿灯籠まつり」。“よへほ”の調べとともに、夕闇に浮かび上がるのは、揺らめく灯籠の光と優美な乙女たちの姿。懐かしくも美しい日本の情景が広がる。
遥か古代から受け継がれてきた灯籠と、みやびな調べを奏でる“よへほ節”。かつては宿場町として、また交易の中継地として繁栄を続けた山鹿の町で、大切に守られてきた伝統の祭り「山鹿灯籠まつり」の魅力をひもとく。【日程】2019年8月15日(木) 奉納灯籠、奉納灯籠踊り、景行天皇の奉迎儀式、たいまつ行列、花火大会、灯籠踊り2019年8月16日(金) 千人灯籠踊り、上がり灯籠※花火は小雨決行(荒天の場合中止)九州ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(やまぐち えり) 山口 恵里さん
山鹿の夏の風物詩「山鹿灯籠まつり」が近づいてくると、どこからともなく“よへほ”の調べが町中を優しく包む。ぬしは山鹿の骨なし灯籠 よへほよへほ 山鹿千軒たらいなし よへほよへほ ―― この独特の囃子詞の“よへほ”とは、「どうぞ酔いなさい」という意味。その誘い文句の通り、祭りのハイライトである「千人灯籠踊り」では、踊り手の頭にのせた灯籠の灯りが幾重にも連なる。ゆらゆらと闇に浮かぶその様は、見る者を幻想の世界に手招きしているようだ。山鹿灯籠踊り保存会に所属している筆者も、当日は櫓(やぐら)にのぼり、千の灯りに心を委ね、夢中で舞い踊る。ちなみに「灯籠踊り保存会」とは、しきたりにより未婚の女性しか入れない。メンバーは、仕事や家事手伝いの合間を縫い、毎週2回の稽古を重ね、祭りの舞台を目指す。一糸乱れぬ動き、目線の落とし方、首をかしげる角度……。踊り子同士の息がピタリと合ってはじめて、優雅な所作とリズムが生まれる。とはいえ、1000人の踊り子たちが皆、そのような稽古を重ねている訳ではない。1000人のうち約800人が山鹿市内に在住の女性、残りの200人は市外からの一般参加者だ。数回の稽古をクリアすれば誰でも千人灯籠踊りに参加できるので、もしチャンスがあればぜひ参加してみてほしい。傍から見る優美な祭りの様子の美しさに加え、踊り子たちが一体となって舞い踊る千人灯籠を一度体験したら、二度、三度と必ず追体験したくなるはずだ。
和紙と少量の糊だけで作られる山鹿灯籠。現在の山鹿灯籠に近いものは、室町時代ごろに作り始められたと伝わっている。その灯籠の灯りの起源には、こんな伝説がある。「景行天皇が菊池川をさかのぼり、現在の山鹿大橋付近に上陸されようとしたが、一帯に霧が立ちこめ、天皇の行く手を阻んだ。その際、里人たちが手にかがり火を持ち、天皇ご一行を無事に案内した。その時以来、里人たちは行在所跡(現在の大宮神社)に天皇を祀り、毎年灯火を献上するようになった」日本書紀にその名を連ね、熊本県内各地にさまざまな伝説を残した景行天皇。例えば、あまりの美しさに乗っていた輿を止められたことに由来する宇土半島の御興来海岸。闇夜の海上で、天皇を導いたという不知火。天皇が祈ると水が湧いたという八代の水島などがある。山鹿灯籠の由来もその一つ。事実がどうであったかは神のみぞ知るといったところだが、ドラマチックな伝説により、趣が一層増してくる。
せっかく山鹿を訪れるのであれば、時間に余裕を持って予定を立てて、町をのんびりと散策してほしい。気軽に立ち寄れる日帰り温泉や、レトロな町並みを生かしたカフェ、国指定重要文化財の芝居小屋「八千代座」など、魅力あふれるスポットが並んでいる。特に山鹿温泉は、“山鹿千軒たらいなし”とうたわれたほど湯量が豊富。街の中心部にある山鹿温泉のシンボル「さくら湯」をはじめ、近隣には共同浴場や温泉旅館が数多くあり、はしご湯も楽しめる。細川藩の御茶屋を起源とし、1973年に惜しまれつつ取り壊されたが、2012年に見事復元されたさくら湯は、明治時代の建築様式による重厚感あふれる建物と、とろみのある優しい肌ざわりの湯で、心も体もほぐしてくれる。また、湯上がりには、かつて参勤交代の道として栄えた豊前街道の散策も楽しめる。京都の町屋よろしく間口が狭い商家や、100年以上の歴史を持つ造り酒屋、明治時代に地元の実業家集団“旦那衆”が私財をなげうって建築したという八千代座など、まるでタイムスリップしたかのような町並みが続く。なお、歴史ある建築物の中には、見学可能な施設も多く、現地のボランティアガイドと一緒に見どころを巡るツアーもある。予約の必要なツアーが多いので、希望する場合は事前に山鹿温泉観光協会のホームページをチェックしておこう。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
八千代座の舞台で灯籠娘から直々に踊りが習える「山鹿灯籠踊り体験」や、ミニチュアサイズの紙灯籠を作る「ミニ灯籠作り体験」など、灯籠まつりへの期待を一層高めてくれる体験を紹介したい。
夏の「山鹿灯籠まつり」と対を成す、冬の「山鹿灯籠浪漫・百華百彩」「山鹿風情物語」、春の「新酒まつり」など、山鹿の春と冬を満喫するためのまつりを紹介する。
初めて訪れる観光客でも訪ねやすい立ち寄り湯を紹介。こんこんと湧く湯を存分に堪能しよう。
ふらりと訪れたい、あふれる湯と優美な灯りが揺れる町。山鹿温泉観光協会までの交通アクセスを紹介。
・九州自動車道の植木インターチェンジから国道3号経由で約12キロ、約20分。・熊本駅から国道3号経由で約30キロ、約50分。◇たびらいレンタカー⇒熊本駅の格安レンタカーを予約する
熊本交通センターから山鹿行きバスで90分の山鹿バスセンター下車 山鹿温泉観光協会
山鹿灯籠まつりはバスツアーでも楽しめる。滞在時間がたっぷりとれて、移動を気にしなくて良いのが魅力。お酒も自由に楽しめるので、アルコール好きにもおすすめだ。⇒【山鹿灯籠まつり】を楽しむバスツアーを探す
“よへほ”の調べに合わせ、優美な舞いを披露
山鹿灯籠保存会に所属する灯籠娘たちの優雅な踊りに、ほうっとため息がもれる……。最も有名な“よへほ節”は、一見単純な振り付けのように見えるが、いつまでも眺めておきたい魅力がある。八千代座の舞台で披露する組み踊り、街道沿いの流し踊り、そして千人灯籠踊りと、同じ踊りが時間や場所によって表情を変えるのも面白い。
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