西都原古墳群 神話が息づく花と歴史の名所
日本有数の古墳群として知られる宮崎の特別史跡公園、「西都原古墳群(さいとばるこふんぐん)」。ここは、天孫降臨の神話が息づく地。花の名所としても有名で、四季の花に迎えられながら、古代の風を肌で感じることができる。
![古墳群を彩る桜の花と菜の花 古墳群を彩る桜の花と菜の花]()
“神話のふるさと”として知られる宮崎県。その中央部に位置する西都原には、大小さまざまな古墳が点在している。季節の花が咲き乱れ、春夏秋冬それぞれの景色を楽しむことができる。雄大で開放的な風景が持つ包容力こそが、古代から連綿と流れる歴史の息吹なのかもしれない。
また、パワースポットとしても人気が高く、エネルギーを得ようという人々が各地から訪れる。花と歴史の名スポットで、古代からのエネルギーを体感しよう。
取材/宮崎の地元情報誌「じゅぴあ」編集部、平成27年(2015)7月
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日本一の規模を誇る西都原古墳群
![第一支群。古墳時代を通して、各種の古墳が築造された 第一支群。古墳時代を通して、各種の古墳が築造された]()
西都原古墳群の最大の魅力は、“地上のロマン”と“地下の真実”の共存にある。地上のロマンとは天孫降臨にはじまる神話で、地下の真実とは古墳だ。
西都原台地には、南北4.2キロ、東西2.6キロにわたって300基以上の古墳が点在する。台地の上に立つと、さまざまな形の古墳を一望できる。このような楽しみ方ができる古墳群は全国でも珍しいという。古墳の規模も形も、それぞれに特徴があり、中には内部の様子が見学できる古墳もある。
古墳は一見すると、ただの“小高い丘”に過ぎない。しかし実際には、1700年前~1400年前に亡くなった人々の墓。地元の人々の間では、幼いころから古墳を守るための言い伝えが受け継がれ、そのためか盗掘も少なかったという。地元に愛され、守り継がれてきた“日本一の古墳群”を、見て、触れることで、古代に生きた人々の生活に思いをはせてほしい。
考古博物館で古代の人々の生きた証に触れる
![西都原考古博物館(写真提供/宮崎県立西都原考古博物館) 西都原考古博物館(写真提供/宮崎県立西都原考古博物館)]()
西都原古墳群を旅するなら、西都原考古博物館は外せない。西都原台地一帯は古墳に囲まれ、まるで“フィールドミュージアム”。
しかも、この博物館では、ただ出土品を陳列するという展示方法をとっていない。出土品から当時の暮らしや、その背景を探るという一連のストーリーで、古代人の姿を浮かび上がらせている。また、出土した実際の土器に触ったり、収蔵室の内部をガラス越しに見たりもできる。入場は無料。
3階からは、東側に宮内庁が管理する陵墓参考地の「男狭穂塚(おさほづか)」と「女狭穂塚(めさほづか)」が望める。喫茶店のワンコインランチ「古墳丼」や「ランチDE古代」もおすすめだ。
四季折々で変わりゆく花風景
![桜の花と菜の花に囲まれた古墳は、全国でもここでしか見られない 桜の花と菜の花に囲まれた古墳は、全国でもここでしか見られない]()
西都原古墳群といえば、花の名所としても有名。古墳を背景に、菜の花や桜、ミツバツツジ、あじさい、ヒマワリ、コスモスと、四季折々のさまざまな花を楽しめる。
中でも多くの観光客を惹きつけるのは、30万本の菜の花と2000本の桜が咲く春。毎年3月下旬から4月上旬の桜の見ごろにあわせて「花まつり」が開催され、期間中は3万人もの観光客が訪れるほか、夜桜も楽しめる。菜の花はすべて800人に及ぶ市民ボランティアの手によって植栽されたもの。地元の人々に愛され、守られてきた花の景色だ。
桜や菜の花、コスモスを楽しむなら、西都原ガイダンスセンター「このはな館」周辺がおすすめ。ひまわりなら「鬼の窟古墳」周辺が、桜だけなら考古博物館へ向かう桜並木が美しい。
古事記と日本書紀の伝承地をたどる「記紀の道」
![ロマンあふれる神話の道「記紀の道(ききのみち)」 ロマンあふれる神話の道「記紀の道(ききのみち)」]()
ここ西都原には、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメにまつわる恋の物語が伝わる。二人が初めて出会った「逢初川(あいそめがわ)」から、新婚生活を送った御殿「八尋殿(やひろでん)」、三皇子を出産した「無戸室(うつむろ)」、三皇子の産湯に使われた「児湯の池(こゆのいけ)」など、古事記・日本書紀の伝承地を散策することができる。
「記紀の道(ききのみち)」は古事記と日本書紀の神話をたどる道で、コノハナサクヤヒメを祭る「都萬神社(つまじんじゃ)」をスタートし、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメが眠るとされる男狭穂塚・女狭穂塚までの4キロほどの行程。西都原ガイダンスセンター「このはな館」と都萬神社に道順の案内表があるので、ぜひ利用してほしい。また、ボランティアスタッフによるガイドも、事前予約をすれば頼むことができる。
【ガイド予約専用ダイヤル(問い合わせ)】
0983-43-5116(西都原考古博物館運営支援事務局)
幻想的で壮大な炎の祭典「西都古墳まつり」は必見
![炎を囲んで繰り広げられる勇壮な武人の舞 炎を囲んで繰り広げられる勇壮な武人の舞]()
「西都古墳まつり」は、コノハナサクヤヒメが3人の皇子を出産するとき、産屋に火を放ったという伝説にちなんで、毎年11月の第1土・日曜に開催されている。最大の見どころは土曜の夜で、古代の衣装をまとった参加者によるたいまつ行列が行われる。1000人に上る参加者が手にたいまつを掲げて都萬神社を出発し、記紀の道をたどる。およそ1キロにわたる炎の行列は、見る者を圧倒する光景だ。
祭りのメインでは、コノハナサクヤヒメが出産した出口のない産屋「無戸室」を再現して造った小屋に点火。燃え盛る無戸室を囲んで、コノハナサクヤヒメに扮した女性による「女人の舞」とニニギノミコトに扮した男性による「武人の舞」が繰り広げられる。
ちなみに、たいまつ行列には地元以外の一般客や観光客なども参加できる。参加を希望する場合は、10月から電話予約がはじまるので、西都市観光協会まで問い合わせを。
【たいまつ行列の電話予約(問い合わせ)】
0983-41-1557(西都市観光協会)