内部に入れる石造りの古墳

西都原古墳群のなかでは唯一、開口した横穴式石室を持つ円墳、「鬼の窟古墳(おにのいわやこふん)」。7世紀初頭に造られたといわれるが、墳丘の外側に土塁がめぐる形式の古墳は全国でも珍しい。
神話では、コノハナサクヤヒメに求婚する鬼が、コノハナサクヤヒメの父・オオヤマツミの命によって、一夜で造ったと伝えられる。石室は中に入って見学が可能で、入ってすぐの天井には空洞がある。これにはいわれがあり、娘を鬼の嫁にはさせたくないオオヤマツミが、鬼が寝ている間に石室の岩を一枚引き抜いて放り投げたという伝説が残る。引き抜かれたとされる巨石は、石貫神社の参道入り口に鎮座している。
伝説の結末は、石室の天井に穴があることをオオヤマツミが鬼に指摘。不完全な窟だとけちをつけ、鬼の求婚を断ったという。