湯布院と言えば、個性的な美術館やおしゃれなギャラリーが点在するなど、アートな街のイメージが強いですが、一方で豊かな自然に囲まれた町でもあることをご存じですか。湯布院のシンボルである「金鱗湖」など、人気スポットから少し離れた場所では、今でも田んぼや畑などの懐かしい風景が広がっています。現在でこそ、「東の軽井沢、西の湯布院」と称されるほど全国的に高い人気を誇っている湯布院温泉ですが、人気に火がついたのは、平成に入ってからです。バブル期に突入すると、多数の温泉地が団体客などを取り込むために、大型の宿泊施設や歓楽街を競って建てていたといいます。
そんな中で湯布院温泉が目指したのは、滞在型の保養温泉地づくり。「亀の井別荘」、「湯布院
玉の湯」、「山荘無量塔」の「湯布院御三家」に代表されるように、湯布院温泉には、山間の緑豊かな敷地を贅沢に使った離れの高級旅館が多いのが特徴です。「温泉保養地」として名高いドイツのバーデンまで視察に行ったり、「ゆふいん料理研究会」を結成し宿の垣根を越えて料理人が情報を交換したり、音楽祭や映画祭などの地域に根ざしたイベントを開催したりと、温泉街が一丸となって創意工夫を凝らしてきたことが実を結び、自然と温泉と食とアートという多彩な魅力を兼ね備えた「湯布院温泉」を実現することができたのです。