北海道発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
北海道を代表する工業都市として、明治時代から栄えてきた室蘭。噴火湾と白鳥湾の中にある天然の良港・室蘭港を中心に、そのまちは広がる。鉄のまち、ものづくりのまちとしての独自の魅力を、室蘭観光協会の仲嶋憲一さんに聞いた。
広い北海道の中でも、他には類を見ない魅力を備えたまち・室蘭。噴火湾に面し、14キロにわたって断崖絶壁が続く絵鞆半島(えともはんとう)に位置する地勢が、独自の歴史と文化を築いたといえる。天然の良港として知られる室蘭港を取り囲む工場群、港内で優雅にそびえる東日本最大の吊り橋・白鳥大橋、それらが彩る日本有数の夜景。鉄のまち、ものづくりのまちだからこそ非日常のグレートビューが楽しめるのだ。イルカや鯨が泳ぐ噴火湾、太平洋は豊かな漁場で、良質な魚介の旨さは定評。カレーラーメン、室蘭焼鳥、クロソイなど、個性的なグルメも満喫できる。工業と大自然が融合するまちをめぐる旅は、どこにもない魅力にあふれている。★たびらいイチオシの旅行プラン《札幌発》バスツアーで室蘭の工場夜景を見に行こう!ライター/高崎 克秋 投稿/2015年 10月北海道ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(なかじま けんいち) 仲嶋 憲一 さん
室蘭は「鉄のまち」「ものづくりのまち」として栄えてきましたが、その開拓の歴史は、1872年に開始した札幌につながる札幌本道の築造工事から始まります。その工事に伴いトキカラモイの桟橋工事が行われ、完成とともに室蘭~森の定期航路が就航し、室蘭港が開港。1873年には札幌本道が全通し、室蘭は海の玄関口として賑わうようになり、後に夕張などの炭鉱から石炭を積み出す港として発達しました。鉄のまちの礎を築いたのは、かつて北海道炭礦汽船株式会社(以下、北炭)の専務取締役だった井上角五郎。彼は、製鉄業こそ近代化の根幹であると考え、北炭が所有する鉄道の国有化による売却収入で、民間による製鉄事業を計画しました。1907年、兵器国産化を目指していた海軍の説得により、製鋼と兵器製造を行う日本製鋼所を設立。さらに、1909年には念願の製鉄事業を営む北炭輪西製鐵場(現在の新日鐵住金室蘭製鐵所)を設立。井上は「室蘭の製鉄業の祖」と呼ばれ、室蘭は鉄工業のまちとして発展を始めたのです。
室蘭で製鉄業が始まったのは、今から100年以上前。鉄鋼業の新日本鐵住金、日本製鋼所、造船業の函館どつく、石油化学工場のJXエネルギー株式会社室蘭製造所をはじめ、数々の工場や会社が港の周囲に林立しています。これらの工場群は、港の風景と相まって、北海道では唯一無二の美しい夜景を見せてくれます。闇に光り輝く工場の作業灯、煙突から吹き出す水蒸気。工場群が放つ鮮やかな光のグラデーションは、一般の人にとっては息を飲むような非日常の光景ではないでしょうか。室蘭は地形に高低差があり、海岸線が湾状になっているため、夜景は見る場所によってまったく違う表情を見せるのが特徴。見下ろす夜景、自分の目線にある夜景、見上げる夜景…さまざまな眺望が楽しめます。室蘭港の夜景を一望できる測量山展望台をはじめ、市内には夜景スポットが数々ありますので、いろいろな角度から楽しんでいただきたいですね。
室蘭の工場夜景ウォッチングは、自分の足で夜景スポットをめぐるのも醍醐味ですが、初めての方には夜景見学バスとナイトクルージングがオススメです。夜景見学バスは地元を知りつくした市民ガイドが同乗し、室蘭の夜景の見どころをナビゲート。コースには、通常は立ち入ることができない、工場を真上から見下ろす見学バス限定のスポットなどもあります。運行は、毎週土曜・日曜日限定。たっぷり2時間30分、夜景づくしのフルコースを満喫できます。ナイトクルージングは、海から工場群の夜景を堪能するツアーです。ポイントは、ライトアップされた東日本最大の吊り橋・白鳥大橋。雄大な橋の下を通るだけではなく、場所によって見え方が変わる橋の形状の美しさを間近に見ることができます。さらに、工場では最も光り輝くJXエネルギー株式会社室蘭製造所の迫力ある姿は圧巻。海から眺める工場群の夜景は、ダイナミックな魅力にあふれています。<室蘭夜景見学バス>【運行期間】11月15日(日)まで毎週土・日曜運行・1日1便【料金】大人1000円・小人(小学生以上)500円・幼児無料(税込)【問い合わせ】室蘭観光協会:0143-23-0102(要予約)<ナイトクルージング>【運行期間】11月まで・1日1便【料金】大人3000円・小人(4歳~小学生)1000円・幼児(3歳以下)無料(税込)【問い合わせ】スターマリンKK:0143-27-2870(要予約)
ものづくりのまち・室蘭をもっと深く知る、工場見学は現場の様子を体感できる貴重なプログラム。工場群では、新日鐵住金室蘭製鐵所、日本製鋼所室蘭製作所、JXエネルギー株式会社室蘭製造所で見学を受け付けています。いずれもビデオによる製造過程の説明と、実際に工場内の施設をまわって見学。スケールの大きな現場の様子を、直に見ることができます。ただし、見学は団体に限られ、学生対象など年齢制限を設定しているところもあります。見学には事前の申し込みが必要ですので、ホームページ等でご確認ください。また、青少年科学館では、室蘭工業大学の学生が先生になって教えてくれる夢工房企画や、ご家族で実験や工作ができるファミリーサイエンスなどの企画を実施。ボルタ工房では、実際にハンダごてなどを使ったボルタ製作体験や、室蘭の工場群をイメージしたミニチュア工場模型をつくる体験ができます。ものづくりのまちだからできる体験いろいろの室蘭。さまざまなプログラムを、お子さまと一緒に楽しんでほしいですね。
今や室蘭を代表するものづくり製品となったボルタ。鉄のまち・室蘭を盛り上げようと、輪西商店街の若手経営者たちによりNPO法人テツプロが結成され、2005年に生まれました。ボルタは、ボルトやナット、ワッシャーをハンダづけしてつくる人形。考えるボルタ、告白するボルタ、サッカーなどのスポーツするボルタ、楽器を演奏するボルタ…など、現在では100種類のポーズがラインアップされています。ボルタ工房では、ボルタの製作体験ができます。実際にやってみると、これが結構ハマルんです。初めての方は、まず簡単な3ポーズからひとつをセレクト。スタッフの指示に従って、ペンチを使いながら手や足になるパーツを製作し、それらをハンダづけしてボルタの完成です。ボルタ製作を体験した方には修了証(初級)が発見され、3回目以降には100種類のレギュラーボルタの中から好きな1ポーズを選ぶことができます。ハンダづけ作業に没頭する時間は、なかなか楽しいですよ!観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
室蘭の市域は、絵鞆半島を中心に広がり、市街を見下ろす高台が数々ある。人気の夜景スポットから見える眺望はいろいろ。さまざまな角度から、ものづくりのまちならではの夜景を楽しもう。
ものづくりのまちとして独自の歴史・文化を築いてきた室蘭は、食の味わいも個性的な魅力にあふれている。カレーラーメン、室蘭焼鳥、クロソイの3大グルメは、ここだけの旨さ。地元の人が愛する、絶賛の味をご賞味あれ。
室蘭は、ふたつの湾に囲まれた海のまちであり、鉄鋼業で栄えたものづくりのまちであり、芥川賞作家ほか多くの作家を輩出した文学のまちでもある。室蘭の歴史と文化、新発見。学びと体験のスポットを探索しよう。
車でのアクセスは、道央自動車道を利用。登別室蘭ICで降りて東室蘭経由で向かうルートと、室蘭ICで降りて白鳥大橋を渡って市街へ入るルートがある。JRでのアクセスは、特急利用で東室蘭駅に下車。室蘭駅へは普通列車での乗り換えとなる。
新千歳空港から室蘭(約1時間14分/約95キロ)、札幌から室蘭(約1時間43分/約131キロ)、いずれも道央自動車道利用。
札幌から東室蘭(特急・約1時間30分)、南千歳から東室蘭(特急・約1時間)、函館から東室蘭(特急・約2時間)
「登別温泉」は、江戸時代から市民に愛され続けている北海道の屈指の温泉地。温泉入浴を楽しむ以外にも、地面から水蒸気や火山ガスが噴出する「地獄谷」など、観光スポットも多数ある。そんな登別温泉のホテルをご紹介。登別のホテルランキングを見る
北海道唯一の工業都市は、イルカが訪れる大自然のまちでもある
春から秋にかけて、室蘭近海では20種類近くのイルカやクジラ、オットセイなどの海洋動物が見られる。時には、500~1000頭ものカマイルカの群れや、イルカの仲間では最大の種であるシャチの姿も。北海道唯一の工業都市・室蘭が面する噴火湾は、貴重な海洋生物が生息する豊かな自然の宝庫だ。
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