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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
北海道の南端に位置する松前町は、北海道で唯一、また、最後に造られた日本式城郭である福山城(松前城)をはじめ、古い寺社が立ち並ぶ寺町など、かつての城下町の雰囲気が感じられるスポットがたくさんある。長年ガイドとして松前の魅力を伝えてきた達人による松前歴史散歩のススメ。
渡島半島の南西部に位置する松前町。函館から国道228号線を南西に進むこと約2時間。北海道最南端の白神岬を過ぎ、町内に入ると、丘の木々の上に福山城の屋根と白い城壁が目に入ってくる。一般的に「歴史が浅い」といわれることも多い北海道において随一の歴史をもつ唯一の城下町であり、今でも江戸の風情が感じられる町並みが広がっている。幕末につくられた福山城とその北側に広がる寺町は、明治以前の北海道の歴史を理解するうえで重要な遺産として、2004年に「福山城(松前城)と寺町」として北海道遺産にも選定されている。松前城のある松前公園とその周辺は、江戸の風情を感じながら歴史散歩を楽しめるエリアだ。ライター/萩 佑 投稿/2015年 7月北海道ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(いしかわ ぶんめい) 石川 文明さん
親しみを込めて「松前城」と呼ばれることが多いが、正式な名前は「福山城」という。福山城の前身は、1606年に松前藩初代藩主・松前慶広によってつくられた福山館(だて)。この後、ロシアなどの外国船の出没を受け、北方警備を目的として、今から160年以上前の1854年に福山館を改修・補強して天守閣を持つ日本式の城郭としては日本で最後に築城された。幕末期には榎本武揚率いる旧幕府軍と新政府軍の戦いの舞台となり、旧幕府軍にいた新撰組副長・土方歳三により松前城は攻め落とされた。当時海上の軍艦から撃たれたといわれる砲弾の跡が3カ所石垣に残っている。「最近の調査でこの砲弾跡が当時のものであるということがわかる資料も見つかりました」と達人。その後、明治政府により主な建物や石垣は撤去されるが天守閣は残った。1941年、松前城天守閣は国宝に指定されるが、1949年の火災で本丸御門を残して惜しくも焼失してしまう。現在の天守閣は、町民や道内の小中高校生をはじめとする全国からの寄付金で1960年に再建されたもの。近年、木造の天守閣を復元しよう、という声もある。最近は全国各地から訪れる幕末・新撰組ファンも多いそう。ひっそりと残る痕跡から、当時に思いを馳せてみてほしい。
天守閣内部は資料館になっており、松前藩に関する貴重な資料の数々が展示されている。とくに目を引くのが「松前屏風」。宝暦年間(1751~1763)に松前出身の絵師・児玉貞良によって制作されたと言われている。高さ1.57メートル、幅3.65メートルの屏風には、松前城下の様子が生き生きと描かれている。達人によると、この屏風からいろいろな歴史の事実が見えてくると言う。例えば、屏風には非常に多くの人物が描かれているが、中でもお坊さんがたくさん描かれており、当時お寺が大きな力を持っていたことが分かるのだ。また、「中でたったひとりだけ鍬をかついでいるんですが、見つけられますか?」と達人。探してみると、屏風の端のほうに確かに鍬を持った人がひとり。「ここから当時の松前は商業中心で、農民は少なかったのではないかということがうかがえます」。お寺などの建物や街区が今でもそのまま残っているところも多く、「現在の町並みと比べながら見てみると過去とのつながりが見えてきて楽しい。この屏風一枚で朝まで話せますよ(笑)」。松前城を訪れた際は、ぜひ細部までじっくり見ていただきたい。
桜の名所としても有名な松前公園。約250種、1万本の桜が咲き誇り、毎年4月下旬~5月中旬にかけて松前公園で開催される「さくらまつり」には、各地から大勢の人が訪れている。松前の桜の品種には「早咲き」「中咲き」「遅咲き」があり、4月下旬頃から約1カ月以上にわたって様々な種類の桜を楽しむことができるのも松前ならでは。松前の桜のなかでも特に有名なものがいくつかあり、龍雲院の「蝦夷霞桜」、光善寺の「血脈桜」、天神坂門の「夫婦桜」は“三大名木”といわれ親しまれている。松前の桜は、松前藩の時代、本州からわたってきた人々が、遠く離れた江戸や京都を懐かしんで植えたのがきっかけと言われている。桜は長い間、まちの人たちによって大切に現代まで守り育てられてきた。達人おすすめの撮影スポットは、城の堀に架かる橋のところ。「特に橋の入口のところから天守閣に向かって撮るのがおすすめ。天守閣と堀、そして色のちがう数種類の桜が非常にバランス良く入るので、いい写真が撮れると思いますよ」。
松前城の北側には道内で唯一の寺町が広がっている。寺町はもともと城の山側を守るとともに、城から見て鬼門(北東)にあたる位置に配置することで仏の加護を求めるものであった。戊辰戦争の際の火災や移転などにより多くは失われ、現在は阿吽(あうん)寺、龍雲院、法幢(ほうどう)寺、法源寺、光善寺の5つの寺院が残っている。集中的に配置された寺とそれらをつなぐ石垣と石畳が続く寺町の風景は過去にタイムスリップしたかのような情緒があふれる。どことなく京都や鎌倉のような雰囲気も。また、周囲には樹齢数百年はあるかと思われる大きな木々が鬱蒼と生い茂り、ところどころ柔らかい木漏れ日が差し込む。「北海道にもこんな場所があるということはあまり知られていない。もちろん桜の時期もいいですが、この木々があるから夏でも非常に涼しいので、暑い時期の散策もおすすめですよ」と達人。1時間ほどあれば5つの寺を見てまわることができる。道の駅や松前藩屋敷、松前公園内の観光案内所で配布しているパンフレットには、周辺の地図やそれぞれのお寺の見どころも書かれているので、それを持って歩くのがおすすめだ。
北前船による本州との交易で大いに栄えた松前藩。そんな藩政時代の姿を今に再現したのが「松前藩屋敷」だ。蝦夷地に出入りする荷物や人をあらためた「沖口奉行所」、松前城下に多く住んでいた近江商人の家を再現した「近江屋」、その他武家屋敷や番屋など計14棟が立ち並ぶ。石川さんらガイドの方の解説が受けられる「松前藩屋敷ガイド」、甲冑の着付や松前名産の「松前漬」づくりなどの体験メニューも人気だ(いずれも要予約)。「まず、ここで松前の歴史の全体像をおさえておくと、実際に寺町を歩いた時にぐっと理解度が高まるので、松前に来たらぜひ最初にお立ち寄りください」。体験メニューは5月~10月まで、松前藩屋敷ガイドは4月~11月までの期間に行われている。江戸時代の面影を実際に体験してみてはいかが。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
松前城の北側に広がる北海道で唯一の寺町。達人による寺町の歩き方を紹介。
五感で堪能してほしい、松前のイベントがある。
松前の地元の資源を活かした達人おすすめのお土産を紹介。
北海道で唯一の城下町であり、今も江戸の風情が感じられる町並みをもつ松前町。松前城は、歴史散歩が楽しめるほか“松前城下”の名がつけられた人気イベントも盛りだくさんだ。このイベントに合わせて、観光するのも良いだろう。ただ、道南観光の中心地となる函館からは距離があり、松前には電車が停まる駅がない。JRとバスの組み合わせ、またレンタカーなどを使用した旅行プランがおすすめだ。
JR函館駅から。国道228号線(追分ソーランライン)を経由して約2時間、約95キロ
JR函館本線・函館駅から約50分「木古内駅」下車→バス(函館バス)約90分「松城バス停」下車、徒歩約7分
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法幢寺の苔の絨毯
松前城の北側に広がる寺町の中に、松前家の菩提寺である法幢寺がある。静謐な境内の一角に広がる苔の絨毯。樹齢百年以上はあるかと思われる大きな木々の下に敷き詰められたきれいな緑が印象的で、どことなく京都のお寺のような雰囲気も感じさせる風情あふれる風景だ。
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