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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
函館市の代表的な観光エリア・元町。多数の教会や西洋文化と日本文化が混じり合った街並み が石畳の坂道に沿って建ち並び、「異国情緒漂う」という表現がぴったりと当てはまる景観を作り出している。元町の魅力とおすすめの観光スポット、そして元町エリアのめぐり方を紹介する。
函館山の麓に位置した坂の街・元町は、日本で最初に開港した都市としての面影を強く残すエリア。早くから外国人が居住していたことから西洋文化が根付き、“和”と“洋”が混じり合う独特の文化・景観を形成してきた。異なる宗派の教会や寺院が建ち並び、かつて役所や外国の 領事館として使われていた建物は観光施設として再利用されている。また元町エリアには、古民家を改装したカフェも多くある。季節や時間によって様々な表情を見せる元町は、訪れる度に新たな魅力を発見できるスポットだ。ライター/函館・みなみ北海道観光情報誌「函館comodo」編集部 壁下優子投稿/2015年 6月北海道ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(つちだ たかし) 土田 尚史さん
1854年の日米和親条約により、1859年に国際貿易港として箱館(現在の函館)が開港。函館の中心地だった元町には多くの外国人が住み始めた。「函館の人は新しいもの好きで、どんどん外国の文化を取り入れました」と達人。西洋建築や1階が和風で2階が洋風の和洋折衷建築、純和風建築など様々な建物が並んだ。教会も多く、異なる宗派の教会がこんなに近くにあるのは世界的にも珍しいのだとか。中でも有名なのが「カトリック元町教会」「函館ハリストス正教会」「函館聖ヨハネ教会」だ。大三坂沿いの「カトリック元町教会」は、六角屋根の上のニワトリが目印。「ローマ法王から贈られた日本唯一の祭壇があるので、ぜひ拝観を」と達人は提案する。 カトリック元町教会から少し坂を登った先にあるのが、緑色の屋根と白い壁が美しい、日本初のロシア正教の教会「函館ハリストス正教会」。鐘の音色が「日本音風景100選」に選定されていて、市民からは「ガンガン寺」と呼ばれている。この鐘の音は、毎週土曜日の17時頃と日曜日の午前中に鳴らされる。チャチャ登りという坂をはさんで函館ハリストス正教会の向かいにあるのが、英国聖公会の「函館聖ヨハネ教会」。茶色の屋根と外壁の十字架が特徴で、屋根も十字型。函館山山頂から、その十字型の屋根が見られる。
元町は函館山の麓にあるため坂が多い。元町の坂は、度重なる大火の経験から、街づくりの一環として真っすぐに伸びているのが特徴だ。中でも代表格といえるのが「八幡坂」。石畳の道が海に向かって真っすぐ伸び、正面に青函連絡船・摩周丸が見える函館屈指のビューポイント。過去には函館の観光ポスターやCMのロケ地となったこともあり、元町観光の定番だ。教会が並ぶ「大三坂」は「日本の道百選」に選ばれた坂。坂道の両脇に植えられたナナカマドが紅葉のトンネルを作る秋の景観が達人のおすすめだ。「大三坂」をさらに登ると「チャチャ登り」が。「チャチャ」とはアイヌ語で「おじいさん」の意味。おじいさんのように腰を曲げるほど急な坂道というのが由来だ。「坂の上から、教会を目の前に函館の街並が広がる絶景が見られます」と達人。他の主要な坂にも、名前の由来が紹介されたサインが立っている。坂道が多いと観光が大変だと思う人も多いだろう。達人曰く、目的地に最短距離で行こうとせず、平坦な道を通りながら遠回りするのが疲れづらい元町散策のポイント。石畳の道が多く、細いヒールはつまずきやすいのでペタンコ靴がベターだ。観光ルートは「函館市地域交流まちづくりセンター」を起点に、大三坂を登り、元町公園へ向かい基坂を下りると主要な観光施設を効率良く見学できる。「函館市地域交流まちづくりセンター」では観光情報も紹介。パンフレットを手に入れ、コインロッカーに荷物を預ければ散策がラクになる。
港を見下ろす高台にある元町公園。ここにはかつて役所があり、行政の中心地だった。室町時代の地方豪族・河野政通(こうのまさみち)が、「函館」の由来といわれる「箱型」の「館」を築いた場所でもある。公園でまず目に入る、薄いカーキ色の洋風建築。これは1909年に建てられた旧北海道庁函館支庁庁舎。現在は1階が観光案内所、2階が函館市写真歴史館となっている。開港場だった函館は、横浜や長崎と並び、早くに写真技術が伝えられた。函館市写真歴史館では昔の撮影機材や日本最古の銀板写真(複製)など、約300もの資料で函館の写真文化の歴史を紹介している。函館市写真歴史館を出て右側にあるレンガ造りの建物は、1880年頃に建てられたといわれる旧開拓使函館支庁書籍庫。「ここではレンガとその積み方を見てください」と達人。大半が1列に短い辺と長い辺を交互に並べる「フランス積み」という積み方。だが、増築された入口の下屋部分は1列に長い辺のみ、その上は短い辺のみと重ねる「イギリス積み」になっている。なぜ違うかというと、建築当時は「フランス積み」が主流で増築時は「イギリス積み」が主流だったから。日本のレンガ造りの歴史を伝える貴重な建物なのだ。レンガの一部には、明治7年~9年の製造年と函館製造といった製造場所が刻まれ、今でもその刻印が残っている。
「元町には幸せが隠れた場所が二つあるんですよ」と達人。まずひとつが、「函館ハリストス正教会」から「元町公園」までの通りにある石畳。この通りの中に、ハート型をした石畳があるのだ。何かご利益があるというわけではないようだが、カップルや若い女性にかわいいと人気。場所のヒントは、函館西高等学校を過ぎて数メートル以内。達人がガイド中にどの辺りにあるかヒントを出しても、なかなか見つけられない人が多いのだとか。周りの風景を楽しみながら探すのは難しいかもしれないが、転ばない程度に足下を注視して見つけよう。もうひとつが、先に紹介した元町公園の正面入口にある階段の壁に埋め込まれたレンガ。旧開拓使函館支庁書籍庫と同様、いくつかに明治7~9年までの製造年が刻印されていて、現役で使われていることから「触ると長生きする」といわれている。なかには、多くの人に触られ刻印が薄れ黒ずんだレンガも。刻印がキレイに残っているものもあるので、元町公園を訪れたら一風変わった長寿祈願をしてみてはいかがだろう。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
どの景観を切り取っても絵画のような美しさを持つ元町の中でも、達人おすすめの景観スポットを紹介。
北海道の表玄関として早くから発展してきた函館には「日本初」のものが多くある。元町にある「函館ことはじめ」を紹介。
元町には大正~昭和初期の建物が多く現存し、それを活用したカフェも多い。なかでも達人おすすめの古建築カフェを紹介。
元町エリアには市電やバスでも行くことができる。自動車で向かうこともできるが、有料駐車場を使うことになる。JR函館駅や市電の最寄駅から遠くもないので、徒歩や公共の交通機関で向かう方が良いだろう。オススメは、徒歩で景観を楽しみながら向かうこと。そして帰りに市電やバスなど公共の交通機関を使うと、散策で疲れていても安心して戻ることができる。
JR函館駅からJR函館駅を出たら、すぐ右手側へ。朝市の前を通過してまっすぐ進んでいくと、二十間坂通りに入る。そのまま進むと二十間坂の麓にたどり着き、そこはもう元町エリア。八幡坂や元町公園へ向かうには北側に進むことになる。
JR函館駅や湯の川方面から向かうなら「函館どつく方面行き」に乗って「十字街」または「末広町」電停で下車。山側に日和坂という坂道があるので、そちらへ向かえば元町にたどり着く。
「函館市地域交流まちづくりセンター」を起点にして、元町観光をするのが達人のおすすめ。ここへ向かう際は、JR函館駅から市電で行くとわかりやすい。【函館市地域交流まちづくりセンター】住所/北海道函館市末広町4-19電話/0138-22-9700開館時間/9時~21時休館日/12月31日~1月3日(月1回程度臨時休館する場合有り)駐車場/有料駐車場有り
5系統「函館どつく前行き」または2系統「谷地頭行き」で約5分、「十字街」で下車し徒歩で約1分。
JR函館駅から「元町・ベイエリア周遊号」で約12分、「十字街」で下車後すぐ目の前。
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異国情緒漂う元町でお気に入りの雑貨を
かつては、ロシアや欧米諸国の要人たちが街を歩いた元町エリア。特にロシアは、開港の50年以上前に函館に入港した最初の外国船がロシア船であり、現在では専修学校が設立されるなどゆかりの深い国。先述の「菊泉」の向かいにある「チャイカ」は、そんなロシアの空気を感じられるロシア東欧雑貨輸入品店。ロシアの名陶インペリアル・ポーセレンの食器やマトリョーシカ、伝統工芸品、ロシア紅茶を揃えるフランスのKUSMI TEAなどがずらりと並ぶ。函館に住む多くのロシア人がこのような雑貨に囲まれ、お茶をしていたのかもと想像しながら、お土産を選ぶのも楽しいと達人は提案する。
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