1. 登別温泉 北海道を代表する名湯の楽しみ方

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

登別温泉 北海道を代表する名湯の楽しみ方

  「登別温泉」は、江戸時代から市民に愛され続けている北海道の屈指の温泉地。温泉入浴を楽しむ以外にも、地面から水蒸気や火山ガスが噴出する「地獄谷」など、観光スポットも多数ある。そんな登別温泉の楽しみ方を紹介。

地獄谷

  江戸時代から存在が知られていた登別温泉。明治時代に温泉宿が設けられてからは、北海道を代表する保養地・観光地の一つとなった。登別という地名は、アイヌ語で(水色の濃い川)を意味する「ヌプル・ペツ」という言葉から。温泉の成分が流れ込んだ、水色の川を表現した地名である。登別温泉街の北東に位置する地獄谷は、1万年近く前にあった笠山が爆発してできた爆裂火口跡。噴気孔や湧出孔があり、多種類の温泉が毎分3000リットルも湧出し、登別温泉の約4分の3の源泉地である。地獄谷に一歩足を踏み入れると、もうもうと立ち上がる熱湯や水蒸気そして火山ガスが噴出し、あたり一帯には硫黄の臭いが漂う。地獄谷は平成16年(2004)北海道遺産に選定された場所でもある。


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朗らかな人柄が旅人を優しく癒してくれる
(こまつ けいこ)
小松 慶子さん

登別温泉の達人
  登別市出身。現在は登別温泉街にある「ブックカフェ ひかりや」のオーナーを務める。15歳で地元を離れ、札幌市で進学、就職を経験。趣味としていた旅行で各地を巡り歩いているうちに「旅の地で拠点となる基地があるとなんて嬉しいのだろう」と強く感じるようになり、登別に帰郷。旅行の基地となる現在経営中のカフェをつくった。手作りの料理が好評でファンも多い。

開湯150年以上。多彩な源泉が湧く温泉地

第一滝本館

  2013年に開湯155年を迎えた「登別温泉」は、江戸時代に滝本金蔵という人によって切り開かれた温泉地だ。あるとき滝本金蔵は皮膚病に苦しむ妻を連れて、登別温泉に湯治に訪れた。そこで滝本金蔵は、妻の病を快癒した登別温泉の効能に驚いた。そして、当時殆ど開発されず道路も無かった登別温泉を実費で開発。現在では、北海道を代表する名湯として知られるようになったのだ。有名な温泉地となった今でも大半の宿が源泉掛け流しで、湯の良さを守り続けている。
 登別温泉の主力源泉は一号乙泉(硫黄泉)で、地獄谷から引いている。しかし地獄谷には他にも多種多様な湯が沸き、そのすべてを列挙するより、ない泉質を挙げる方が早いほど。単純泉と炭酸泉、そして放射能泉以外のほとんどの湯が揃っている。宿によっては、複数の湯に浸かることができるようになっている。特に、滝本金蔵が開祖の第一滝本館では、大浴場だけで七種類の源泉が揃う。一箇所の浴場にこれだけの多種多様な源泉の湯が揃うのは、日本でもここだけである。

世界的にも類を見ない規模の“大湯沼”を観光

大湯沼

  大湯沼地獄谷の北に位置し、湖底から熱泉が湧き出し沼の深い所では湯温130度の硫黄泉が激しく噴出している。表面でも約40~50度、灰黒色をした熱湯の沼は立ち昇る湯気で全貌を見る事は難しいが、大湯沼は、周囲1キロメートル、深さ22メートルのひょうたん型をしている。日和山の爆裂火口跡に湯がたまったもので、沼の背後にある日和山の山頂からは現在も湯気が上がる。これほど大規模な湯の沼は世界的にも類がなく、学術的にも貴重とされている。
 大湯沼周辺には大正時代の小爆発で生じた「大正地獄」や大湯沼と同じ日和山の爆裂火口跡の一部である「奥の湯」などの小さな湯沼が存在。大正地獄は約10日間の周期で湯の量を増減させている間欠泉で、湯量が減少するときは地鳴りとともに温泉の色が七色に変化する。流れ出した湯は、大湯沼からの湯と合流し湯の川をつくっている。

天然の足湯を楽しむ、コバルトブルーの川

大湯沼川天然足湯

  大正地獄すぐ近くに、大湯沼から溢れ出る湯の流れを利用した、大湯沼川天然足湯がある。丸太で作られたデッキに座って足を浸すことができる。まさに源泉かけ流し足湯である大湯沼川は、酸性度の高い湯が流れている川で、途中で大正地獄から流れ出たお湯と合流する。川沿いにある登別原始林は天然記念物に指定された植物の宝庫だ。新緑や紅葉を楽しむことができ、川床には酸性湯に生える緑の苔が木もれ日に映えて、コバルトブルーを帯びた美しい水色の川が趣き深い景観を形成している。周囲は熱気に満ち深い硫黄の匂いも立ち込め、眼下に広がる風景の美しさに感動を覚える観光客も多い。
 少し熱めの温泉は身体の芯までぐっと効き、場所によって温度が変わる。足湯を楽しむなら、好みの場所を探して足を浸けるのがおすすめだ。川底には天然の石が広がり、座ったまま足を動かすと足つぼの刺激にも。自然から与えられたマッサージも楽しめる。

日没後は「鬼火の路」を散策

鬼火の路、幻想と神秘の谷

  地獄谷の入り口から鉄泉池へと続く木製の遊歩道。日が落ちた後は、遊歩道がライトでほのかに灯される「鬼火の路」があらわれる。地の底からもうもうと立ち上る白煙と山肌をかすかに照らす先には、幻想的な地獄谷の爆裂火口跡が。揺らめく灯りで照らされる景色は、都会の喧騒を忘れさせてくれる。浴衣を身にまとい、下駄をはいてカラコロと音を鳴らしながら歩く人も多いそうだ。


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登別温泉のおすすめスポット

達人おすすめの温泉3選

  北海道屈指の温泉地、登別温泉に住む達人がすすめる、温泉を紹介。

おすすめポイント
  登別温泉を築いた滝本金蔵が開祖の「第一滝本館」は創業155年以上の歴史ある温泉宿。一箇所の浴場に7種類もの源泉が揃うのは、日本だけでもここだけ。そして、登別温泉の開拓を行った「夢元さぎり湯」。昭和36年(1961)にはじまった『たったひとつだけの温泉銭湯』である。古くは登別と登別温泉を結ぶ軌道を計画し、馬車鉄道を開通させた事に始まる。地元市民が集まる、歴史が詰った大切な場所だ。登別温泉から車で20分程の山間に位置するのは、達人おすすめも湯処、カルルス温泉「森の湯山静館」はカルルス温泉唯一の飲泉を所持する。無色無臭の単純泉であるカルルス温泉は、北海道ではじめて国民保養温泉地に指定された湯処。「森の湯山静館」の艶やかな森の露天風呂からは夜空いっぱい満天の星が望める。

登別温泉のグルメ3選

  温泉街に立ち並ぶ老舗の純喫茶と新しいカフェなど、おすすめのグルメスポットを紹介。

おすすめポイント
  創業60年、常連客が訪れる老舗「喫茶田園」は昭和の匂いが漂う洒落た店内がとても魅力的。なんとなく懐かしい味が地元市民にも人気を集める。大正時代より営んでいる老舗土産店「蝦夷民具こまつ」の一角にある達人の店「ブックカフェ ひかりや」は、平成24年(2012)4月にオープンした店。地元周辺の食材を使った手作りメニューが人気だ。洒落た佇まいの「Garden by Till」、広々とした店内ではカフェタイムをゆっくり過ごす事ができる。店長の創作料理が人気だ。美味しいランチや珈琲を飲みながら、温泉街のカフェで落ち着いた時間が楽しめる。

登別温泉の冬の観光イベント

  湯けむりと舞い降りる雪に囲まれながら、登別温泉の冬を味わう人気イベントを紹介。

おすすめポイント
  登別温泉街にある泉源公園では、湯煙と硫黄の匂いが漂う中イルミネーションが開催される。雪景色の真っ白な世界に立ち上がる湯気、そして散りばめられた青い光がロマンチック。また、北海道の厳冬真っただ中に繰り広げられるのは、湯への感謝と祈りをこめた祭り「登別温泉湯まつり」。そして新年の幕開けを祝う「元旦縁起もちつき」では、縁起餅が観客にふるまわれる。

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登別温泉へのアクセス

  自動車、バス、JRで行くことができる。春~秋は、自動車でドライブを楽しみながら行くのがおすすめ。ただし冬場は路面が凍結した山道をス通ることになるため公共の交通機関を使うのがおすすめだ。

自動車(レンタカー)の場合

  道央自動車道・登別東ICから約10分でたどり着く。JR登別駅から向かう場合は車で約15分。

バスの場合

  ・JR登別駅前から
JR登別前 バス停留所(N1)より「登別温泉行き」に乗車し終点まで。約15分。

 ・新千歳空港から
登別温泉まで直行する高速エアポート号に乗車。約1時間。

JRの場合

  ・札幌から
JR札幌駅から特急に乗車。約1時間20分

 ・苫小牧から
JR苫小牧駅から特急に乗車。約30分

 ・新千歳空港から
JR新千歳空港駅から特急に乗車。約50分

登別温泉のQ&A

Q 自然へ出掛ける時に準備するものは?
A 動きやすく、夏以外は肌寒いので長袖がおすすめ。帽子をかぶり、季節によって防寒具の準備が必要な場合も。自然の中には虫もいるので、虫除けがあると便利です。タオルを首に掛けると虫除けにもなり、色々使えます。水分補給に水やお茶を持参しましょう!
Q 防寒具は用意した方が良いですか?
A 春は結構寒いので、ジャンバーやコートがあるとあたたかく膝掛けを準備しておくと役立ちます。秋は9月の中旬までは薄手の長袖で大丈夫ですが、過ぎると結構寒いです。最近は薄手のダウンやベストなどもあるのでおすすめです。
 冬はかなり寒いです。もこもこの防寒着であたためましょう!手袋やあたたかい帽子は必需品!マフラーで口を覆うと風邪予防にもなります。靴は膝下か膝までの防寒靴がおすすめで、短いと雪が入ります。靴の中がもこもことあたたかい素材の物だと足が冷えません。また、靴の素材がスエード等の裏皮素材の物は雪がしみ込んで来るので、防水スプレーを掛けておくと良いですよ。
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