積丹観光-うに丼と魅惑のシャコタンブルー
北海道内で唯一の海中国定公園に指定されている透き通った海と、断崖絶壁・奇岩・大岩の絶景を楽しめる積丹半島。「生うに」をはじめとした新鮮で豊富な海鮮グルメも楽しもう!
![神威岬の先端にある奇岩「神威岩」と積丹ブルー 神威岬の神威岩]()
積丹は北海道西部、後志地方にある積丹半島の日本海に面する地域。新千歳空港から車で3時間ほどの距離にある。積丹半島は、北海道で唯一の「海中国定公園」。青く透き通った「積丹ブルー」といわれる海で知られ、奇岩や大岩が点在し、入り江と断崖絶壁が続く。
積丹半島は古く、江戸時代からニシンの漁場として栄えていたといわれている。半島を周回できる国道229号線が平成28年(1996)に開通されると、積丹は札幌から半日で楽しめる絶好のドライブスポットに。と同時に、夏の海の青さ「積丹ブルー」の美しさを全国区に押し上げることにもなった。
生うにをはじめ、アワビ・サクラマス・ヤリイカなどの海鮮物を、積丹ではそれぞれ旬の時期に味わえる。また、積丹ブルーを間近で楽しめる水中展望船「ニューしゃこたん号」や海のアクティビティも人気急上昇中。 魅力満載の積丹をよく知る達人に、楽しみ方を聞いた。
取材/カルチャーランド 更新/平成28年(2016)11月
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積丹観光の魅力と岬の歩き方、楽しみ方
![岬と積丹ブルーを背景にエゾカンゾウが花咲く 積丹ブルー]()
積丹には大きく分けて3つの岬が存在する。最も観光客が訪れる余別地区にある「神威岬」、島武意海岸、女郎子岩、灯台などのスポットがある入舸地区の「積丹岬」、宝島や美国港を望むことができる美国地区の「黄金岬」。見どころは積丹町の中でもきれいに3カ所に分かれており、しかもその3カ所が積丹ブルーの中でも最も透明度が高いとされる認定を受けている。
どのポイントもとても美しい景色が望めるのだが、駐車場から岬の突端や散策路を歩かなければならないので、歩きやすいスニーカーやトレッキングシューズがあると便利だ。観光スポットとして最も有名な神威岬は先端まで徒歩約20分ほどで、途中、岬の尾根を伝いながら積丹ブルーの絶景を楽しめる。
積丹の岬の中でも特にオススメなのが「島武意海岸」。ここは「日本の渚百選」にも選ばれた名所で、澄んだターコイズブルーの透明度の高い海の景色を堪能したい人たちが必ず立ち寄る絶景ポイント。駐車場から人の背丈ほどの非常に低いトンネルを歩いて抜けると、ブルーの海が視界に一気に飛び込んでくる。このギャップが多くの人が息を呑むポイント。また、階段を下りて実際に海岸まで出られる点もおすすめする理由だ。
黄金岬もまた、岬へは気持ちのいい「チャシナ小道」と呼ばれる林道を10分ほど歩く。先端にある展望台に登れば、岬の先端にあるシンボル「宝島」と黄金岬の絶景が広がっている。 積丹に来たならば、この3つの岬ははずせない。季節によって美しい花が見られ、初夏に咲くオレンジ色の「エゾカンゾウ」は積丹を代表する花だ。
夏が旬! 獲れたての「生うに」を味わおう!
![積丹のキタムラサキウニを使った生うに丼。甘みが特徴的だ 生うに丼]()
積丹といえば「生うに」はハズせない。夏の味覚の王道とも言われている。積丹半島のウニの好物は粘りの強い細目昆布。この雑味の少ない優しい味の細目昆布の特徴がウニの味に出る。純な味と濃厚クリーミーな甘みが際立っているのが積丹うになのだ。
積丹は、北海道で唯一の「海中国定公園」に指定されており、透明度の非常に高い美しい海だ。 この積丹町内で水揚げされた「うに」は、その大半が地元で消費されるため、まさに“産地でしか味わえないうに”。ウニ丼を提供する店舗は、すべて地元積丹で獲れたものを使用しているため、どこで食べても濃厚な甘さ、深いコクを堪能できる。6月から8月末までの解禁期間は、観光スポットの岬も素晴らしい景色を見せてくれる時期。
積丹の「うに」は、キタムラサキウニとエゾバフンウニの2種類。エゾバフンウニは全体の1割程度と、漁獲量が少なく夏の積丹でも出回る量が少ない。現在、ウニ丼はキタムラサキウニが主流で、限定品としてエゾバフンウニの丼を提供する店舗がある。ただ、どの店も時期には売り切れが続出するので、予約してから向かおう。
地元漁師もおすすめ、知られざる絶品の白身魚
![北海道でもなかなか出回らない絶品の白身魚・ハツメ 積丹の白身魚ハツメ]()
「うに」の時期をはずしても、心配しないでもらいたい。4月中旬から5月中旬頃までサクラマス・ヤリイカなどが入ってくる。市場にもあまり出回らないサクラマスは脂の乗りが素晴らしい。ヤリイカは北海道の中でも最も高級といわれるイカ。9月頃にはブリやマグロが、そして10月~12月にはアワビが旬になる。エゾアワビは型は小ぶりでも身が肉厚。 また、冬にはニシンやアンコウなども採れ、1年を通して新鮮な海鮮物を楽しめるのだ。
積丹では、このほかにメバルの仲間である「ハツメ」が獲れる。地元では「大羽(おおば)」と呼ばれるのだが、実はこの魚、獲れても地元で消費されるか、北陸や関西方面に出荷されてしまう。そこで、北海道に住んでいてもスーパーなどではまず見かけない貴重な魚だ。味は淡白な白身魚だが、適度に脂が乗っていて、煮ても焼いても、そして刺身でもおいしい。時期は「うに」と近い6~7月が旬。積丹の飲食店で見かけた際には、ぜひ味わってみて。
「積丹ブルー」の海を間近で体験!
![海へ出れば間近で透き通った積丹ブルーを見ることができる 積丹ブルー体験]()
「見る」「食べる」を満喫したなら、今度は「体験」を楽しんでみよう。 積丹の青い海を間近で見られる体験を紹介したい。大きく分けると積丹ブルー体験は4つあり、「水中展望船」、「和船クルーズ」「シーカヤック」「ダイビング」に分けられる。
美国港から出航する水中展望船「ニューしゃこたん号」 は、なんと海底を覗くことができる唯一のクルーザー。実際にウニや海藻が揺れる様子を目にできると同時に、海上からも青い海と風を感じられる。カモメの群れに出合った時には、パンを手のひらに乗せてみよう。マジック芸のようにパンだけをくちばしで器用に取っていくカモメとのふれあいも、また魅力だ。この水中展望船は、4月下旬から10月下旬まで毎日運行している。
「和船クルーズ」も美国港から出航していて、大型船では入れない細い入江に入って海中を覗いたり、奇岩、断崖まで近づくことができたりと、迫力ある海の魅力を体感できる。「シーカヤック」は4つの体験の中で積丹の海を一番身近に感じられる。船外機の音がせず、聞こえるのは波音や鳥の鳴き声などダイレクトな自然の音のみ。「ダイビング」はその名の通り直に海を感じられるのが魅力だ。海上から確認できない岩などもあり、トドにも出合える可能性も! せっかく積丹半島を訪れるのなら、このどれかはぜひ体験してもらいたい。
奇岩・大岩の伝説を知って、積丹をより深い旅に
![悲しい乙女の伝説が伝えられている女郎子(じょろっこ)岩 女郎子岩]()
岩がそそり立つ変化に富んだ海岸線には多くの奇岩・大岩が存在する。
積丹岬から伸びるシララの小道と呼ばれる遊歩道からは、写真の「女郎子岩(じょろっこいわ)」を望むことができる。沖に向かってすっと立つ着物を羽織った女性の姿に見えるこの岩にも伝説が残っている。奥州から逃れて来た源義経は、この入舸地区までたどり着き、首長の娘シララと恋仲になったのだが、追っ手から逃れるため月夜の晩に家来たちとひそかに出航した。それを知ったシララは絶壁の上から泣き叫んだが船が遠く離れるのを見て身を投げてしまった。そのシララの姿が、この岩の名の由来なのだ。
神威岬の「神威岩」にも、また義経伝説が残っている。この場所に伝わる娘の名前はチャレンカ。彼女もまた義経を強く慕ったようだ。義経が北へ向かって旅立ち、後を追ってチャレンカも神威岬にたどり着くが既に義経は出航してしまった後。悲しみにくれたチャレンカは海に身を投げた、その姿がやがて岩と化したと伝えられている。
車を停めて散策する時間を多めにつくったならば、目にする奇岩の数々が、特別な思い出と記憶を残してくれるはず。積丹半島の岩には数々の伝説が残されており、その背景を学びつつ眺めて見ると、また違った視点で楽しむことができるだろう。