北海道発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
南に然別湖(しかりべつこ)、北の三国峠(みくにとうげ)を越えれば層雲峡。大雪山麓の森と川に囲まれた、東大雪観光ルートの拠点「ぬかびら源泉郷」の魅力は、“源泉かけ流し”にあります。また、源泉郷の周辺には旧国鉄士幌線が残したビュースポット「タウシュベツ橋梁」が。静かな、山の温泉街の楽しみ方を紹介します。
北海道の中央部に、日本最大の約23万ヘクタールもの面積を有する大雪山国立公園があります。この大雪山の深い山と森に囲まれている「ぬかびら源泉郷」が位置するのは、アイヌ語のノカ・ピラ(「形象のある崖」の意)が名前の由来とされているように、上士幌市街に比べ標高が高い場所。このため、冬期の気温は非常に低くなります。源泉かけ流しの温泉は、この地に与えられた恵みといっていいのかもしれません。その恵みである「ぬかびら源泉郷」の楽しみ方を紹介していきます。ライター/かとう けいこ 投稿/2016年 2月
[たびらいセレクション]
(かとうけいこ) かとう けいこさん
1956年に音更川(おとふけがわ)上流部にダム湖の糠平湖が完成し、森と湖の温泉街として生まれ変わった「ぬかびら源泉郷」。9軒の宿泊施設と数軒の飲食店等を有する温泉街であり、南は然別湖(しかりべつこ)、北は三国峠を越えて層雲峡と結ぶ東大雪観光ルートの拠点となっています。“源泉郷”の名が示すように、ほぼすべての宿の温泉が「源泉かけ流し」であるのが特徴。平成19年(2007)には、温泉文化を守り、糠平温泉が「温泉」であり続けるため、ぬかびら源泉郷の宿主たちによって、北海道庁にて「源泉かけ流し宣言」が行われました。これは、全旅館が、源泉からそのまま良質な状態で湯が注がれている「源泉かけ流し」であること、安全性の確認、衛生管理、良質な泉質の維持の誓い、貴重な温泉資源の保護など7項目からなる宣言です。温泉の泉質は炭酸水素塩泉で、泉温は50℃~60℃。神経痛・胃腸病等への効能が期待できます。湯温が高いため、多少加水している施設もありますが、温泉を循環している宿はありません。自然に湧き出た温泉をただ提供するのではなく、「源泉かけ流し宣言」をはじめとした質の良い温泉であり続けるために、さまざまな努力と取り組みが続けられています。源泉郷を守るプライドとポジティブなエネルギーが伝わってきますね。
ぬかびら源泉郷では、それぞれの宿が趣向を凝らした温泉体験を用意してくれます。「糠平館観光ホテル」には、趣のある仙人露天風呂があります。紅葉や雪など季節の移ろいを楽しみながら、静かな時に身をうずめて。大浴場、露天風呂ともに大自然を贅沢に感じることができますよ。牛すき焼き、冷しゃぶや帆立などの魚介という豪勢な食事付のプランもおすすめです。また、「中村屋」の露天風呂は男女混浴となっています(女性専用の時間帯もあり)。ちょっとした会話をしながら裸のつきあいを楽しむのも温泉の醍醐味(だいごみ)のひとつ。また7歳くらいまでの子どもにはオリジナルの作務衣が用意されており、家族連れには嬉しいサービスですね。もうひとつのおすすめ宿が「山の旅籠 山湖荘」。ここには、珍しい洞窟風呂があるんです。薄明りの洞窟の中で感じる源泉かけ流しの温もりをぜひ体験してみて。また他ではなかなか体験できない、囲炉裏での食事が楽しめるのもうれしいポイント。各宿のおもてなし、あなたはどの“一宿”を選びますか?
ぬかびら源泉郷をリーズナブルに楽しみたい人には、清潔に整えられている「東大雪ぬかびらユースホステル」や、糠平で最も歴史がある「元祖 湯元館」のライダーハウスがおすすめ。「グリーン糠平」は元営林署保養所の温泉宿で、長期滞在にも安心の穴場です。さまざまな温泉をめぐりたい人には、他の宿の温泉施設にも無料で入浴できるホテルへの宿泊がおすすめですよ。「糠平温泉ホテル」「糠平館観光ホテル」「中村屋」「ペンション 森のふくろう」他、提携している7つのホテルの宿泊者は、各温泉施設を相互利用できます。また、各宿泊施設では日帰り入浴も行っています(「グリーン糠平」を除く)。3軒の温泉を1200円で楽しめるお得な湯めぐり手形もぜひ利用して(入浴可能時間は施設によって異なるため、各施設に確認を)。もっと気軽に良質な温泉を体験したい人は、湯元館前の無料の足湯をぜひ。
ぬかびら源泉郷に来たならば、“幻の橋”とも呼ばれる糠平湖の「タウシュベツ川橋梁」を訪れてみましょう。ここは北海道遺産に指定されている旧国鉄士幌線アーチ橋梁群のひとつであり、めがね橋の愛称でも親しまれています。ダムの水が少ない1月頃から凍結した湖面に姿を現し、水位が上昇する6月頃から沈み始め、8~10月頃には湖底に沈む。息を飲む美しさで佇み、ある時は素朴な姿を見せ、またある時は姿を消す。季節によってその姿が見え隠れするため、幻の橋といわれているのです。かつて上士幌の大地には、帯広から十勝三股を士幌線が結ばれていました。もともと農産物の輸送や森林資源の建設やダム建設が目的でしたが、ダム建設が一段落してから衰退し、利用者も減っていきました。現在は旧士幌線のコンクリートアーチ橋、トンネルなどの構造物、幌加駅跡、またひがし大雪高原鉄道のトロッコなどによりその存在を知ることができます。糠平湖周辺の歴史に触れるなら、鉄道資料館、ぬかびら源泉郷ビジターセンター/上士幌町ひがし大雪博物資料館にも足を運んでくださいね。また登山を楽しむなら、雄大な標高2000メートル前後の独立峰ニペソツ山、石狩岳、標高1200メートル前後の白雲山や東ヌプカウシヌプリなどがおすすめ。比較的登りやすく、人で混み合うことも少ないので、エゾナキウサギや高山植物を見ながら静かに登山を楽しめます。
ぬかびら源泉郷周辺の、十勝グルメを味わえる店にも足を運んでみましょう。「トカトカ」は“十勝のパン”をキャッチフレーズに、地場産の食材を積極的に使った多彩なパンを提供しています。また店内では、地元の十勝ナイタイ和牛のハンバーガーやステーキを食べることもでき、大きなソフトクリームも人気のひと品。ログハウスの店内が木のぬくもりをくれるのはレストラン「三股山荘」。時が静かに流れるようでとても落ち着いた雰囲気です。看板メニューは、牧場のビーフライス。牛ひき肉と山いもを一緒に練り込んだ薄いステーキがライスにのった味わい深いひと皿ですよ。畑のランチや野菜カレーなど魅力的なメニューが揃っています。人気の手作りケーキもぜひ味わってみて。ぬかびら源泉郷直近でおすすめしたいのが、洋食店「ビストロふうか」。こちらはアットホームな雰囲気の居心地の良さが人気の一軒です。一番のオススメは手ごねハンバーグ。ドリアやパスタなどの洋食メニューもぜひ味わって。予算はだいたい1000円前後で楽しめます。■トカトカ【住所】 北海道河東郡上士幌町字上士幌東2線221-18【電話番号】 01564-2-5004 【営業時間】 9時~18時【定休日】 水曜日■三股山荘【住所】 北海道河東郡上士幌町字三股8【電話番号】 01564-4-2165【営業時間】 9時30分~18時(5月~10月中旬)、10時30分~17時(10月中旬~4月)【定休日】 火曜日プラス1日(火曜日以外のプラス1日の休みは変動)■ビストロふうか【住所】 北海道河東郡上士幌町糠平北区50-2【電話番号】 01564-4-2525【営業時間】 11時~16時 土日祝日前夜のみ17時~22時の営業あり【定休日】 月曜日観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
コアな鉄道ファンでなくとも楽しめるスポットが温泉周辺にたくさん!ぜひ立ち寄ってみて。
上士幌の特産品。見て、触れて、味わって!
広い大地、澄んだ空気、高い空を存分に楽しもう!
ぬかびら源泉郷の最寄のインターチェンジは道東自動車道の「音更帯広」。ここから約57キロ、1時間ほど走ります。周辺に鉄道路線はないため、車でのアクセスを。夏は南にある然別湖から幌鹿峠(道道85号線)~糠平温泉へのドライブも楽しめますが、この道は冬期通行止めとなるので注意が必要です。
【札幌から】道央・道東自動車道を経由し、「音更帯広」ICで下車。国道241・273号線を経由し、約250キロ、約3時間40分。【帯広市街から】国道241号線を上士幌町方面へ約38キロで上士幌町。そこから国道273号線を三国峠、上川方面へ約22キロの道のり。
帯広駅からバスで約1時間30分旭川駅からバスで約2時間30分
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夜、森のなかの源泉郷は別世界に変わる
ぬかびら源泉郷ではすべての宿で源泉かけ流しの温泉を楽しむことができます。澄んだ空気と緑の木々に包まれて入る露天風呂では、格別な心地良さを感じることができますよ。肌が滑らかになるという泉質も存分に味わってみて。昼の開放的な雰囲気はもちろんいいですが、夜はまた別世界。
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