北海道で最も高い標高に位置する自然湖の然別湖(しかりべつこ)には、真冬の1月下旬~3月下旬にかけて「幻の村」が出現します。アイヌ語で村を意味する「コタン」で展開されるのは、氷の建造物。開期中、約4万人のゲストが訪れ、年々注目度が高まっている氷のロングランイベントです。
標高810メートルと非常に標高が高く、全国有数の透明度を誇るこの湖は、氷点下の訪れと共に徐々に結氷し始め、12月下旬には完全に湖上が氷で覆われます。この湖上に現れるのが、「しかりべつ湖コタン」。建造物の全てが氷と雪だけで作られ、春の雪解けと共に湖に沈んでいきます。1月下旬から3月末までの、わずか60日間にだけ現れる、美しく幻想的な雪と氷の世界。
然別湖は大雪山国立公園の特別地域にも指定されている区域で、太古から受け継がれてきた自然が今なお色濃く残っています。水温の低い貧栄養湖のため透明度が高く、2013年7月の調査では、19.4メートルの透明度を記録しました。これは現時点での国内最高の透明度。また、清く澄んだ水の中で、数万年にわたり進化を遂げてきた魚・ミヤベイワナが生息しているのは、地球上で然別湖だけ。火山活動がもたらした大きな変化の中で、奇跡的に誕生した湖と独特な自然環境が広がっているのです。
然別湖の水は冬には完全結氷し、氷の厚さは最大で1メートルに達します。湖は風の影響などを受けるため、氷上の積雪は平均40センチほどですが、多いところでは2メートルの雪が積もります。