タウシュベツ川橋梁
いま絶対に見ておきたい幻の橋

昭和12年（1937）に建設された旧国鉄士幌線の橋梁で、沖縄県の面積にほぼ等しい大雪山国立公園の中にある橋です。JR北海道のフルムーン商品のポスターにも採用されたことがあり、平成13年（2001）10月には北海道遺産にも選定されました。戦前の産業史や土木史的な観点からも希少な橋として、大切にされています。また、風化したその佇まいが絵になると評判で、絶景スポットとしても旅行者に人気。

ダム湖・糠平湖の中に位置するため、その姿を拝めるのは水位が低くなる1月頃から9月頃まで。間近で見られるのは湖面が凍る厳冬期と4月下旬のGWから5月いっぱいですが、雪解けした湖面にアーチ橋が映える例年5月下旬も素敵です。長く残したい一方で、夏の間は湖の中に沈んでしまうため、橋の風化んでおり、崩落するのは時間の問題とも言われています。

国道273号には展望台があり、遠くに眺めることができますが、近くに行きたい場合は、地元のNPO法人・ひがし大雪自然ガイドセンターのツアーに参加するのがおすすめ。橋までの林道は限られた車両しか通行が認められていないのと、整備されていない道のりは危険が伴うためです。このツアーでは、タウシュベツ川橋梁にまつわる話をガイドから聞くことができるほか、野生動物との遭遇もありうるので貴重な体験になること間違いなしです。

旧国鉄士幌線は1000メートル進むと25メートル登るという急勾配と半径200メートルのカーブが続き、終着の十勝三俣駅は海抜661.8メートルという山岳鉄道でした。音更川（おとふけがわ）の渓谷に沿って作られたため、たくさんの橋が必要になったというわけです。 　　　　　　　　　

アーチ橋は工事費を抑えるために、現地で採れた砂利や砂を混ぜたコンクリート造り。役割を終えた今もたくさんの橋が残り、月日を経て風化した佇まいが大雪山国立公園の渓谷美にマッチしていることから、写真スポットとしても人気です。 　　　　　　　　　

ぬかびら源泉郷の中心から徒歩約15分で向かえる長さ63メートルの「糠平川橋梁」をはじめ、国道273号線沿いから眺められる長さ71メートル、コンクリートアーチ橋としては北海道一の大きさを誇る「第三音更川橋梁」、糠平湖上でのワカサギ釣りのアクセスポイントにもなっている長さ7メートルと小さな「五の沢橋梁」など周辺には6カ所～7カ所ほどアーチ橋が現存しています。タウシュベツ川橋梁のように湖内に沈む期間もないので、これらは年中眺めることができますよ。

上士幌町ぬかびら源泉郷には、昭和62年（1987）に廃線となった旧国鉄士幌線に関する資料館があります。糠平駅跡地に位置している館内では、路線図や歴史などの各種資料の閲覧が可能。また貴重な写真や発車時刻表、信号機などが展示されており、昔懐かしい品々に出合うことができます。士幌線現役時に撮影された、帯広駅から糠平駅までの約60キロを運転席からスクリーンで見られる体験展示は、鉄道ファンでなくても楽しめることでしょう。好きな区間だけ見ることもできるので、時間があまりない人にもおすすめです。

上士幌町鉄道資料館
【住所】北海道河東郡上士幌町糠平源泉郷
【交通アクセス】JR：根室本線帯広駅から車・バスで約60分
【駐車場】あり（無料）
【営業時間】9時～16時
【定休日】月曜日（7月・8月は無休）、11月～3月は冬季休業
【問い合わせ（TEL）】01564-4-2041

北海道で最も高い標高に位置する自然湖・然別湖（しかりべつこ）は、冬になると湖上が凍り、そこに60日間だけの“幻の村”が出現します。コタンとはアイヌ語で「村」という意味で、湖上には氷と雪だけで作られた建物が並びます。ここを訪れれば、氷上の住人気分が満喫できますよ。人気は、透明度の高い美しい湖から切り出した氷のブロックをひとつずつ積み上げたアイスバー。日中の時間帯はホットドリンク、夜は約20種類ほどのカクテルをオーダーすることができます。また、カクテルに使われるグラスもすべて手作りのアイスグラス。キラキラと輝くグラスに鮮やかなカクテルが注がれ、写真映りバッチリです。ドリンクは有料ですが、アイスバー内の見学は無料。中に入ってみると意外と温かいことに驚きますよ。週末はバー内でアカペラや管楽器のコンサートも行われるので、楽しみです。
　　　　　　　　　
目玉は、完全に凍った湖の上で入る氷上露天風呂！　脱衣場まで雪と氷で作られている、世界でも類を見ない露天風呂です。何もない白銀の世界を眺めながら浸かる露天風呂は格別。満天の星の下で入る、夜の露天風呂もおすすめです。このほか、凍った湖上で一夜を過ごすアイスロッジ、心に残る結婚式が挙げられるアイスチャペルなどもありますよ。 　　　　　　　　　
　　　　　　　　　
しかりべつ湖コタン
【開催日時】例年1月下旬～3月中旬の60日間
【住所】北海道河東郡鹿追町北瓜幕
【交通アクセス】車：道東道十勝清水ICから約50分
【駐車場】あり（無料）
【入場料金】無料（ドリンクや宿泊などは有料）
【問い合わせ（TEL）】0156-69-8181
【公式サイト】 http://www.nature-center.jp/kotan/ 　　　　　　　　　
　　　　　　　　　
北海道で見られる厳冬期の海の氷に「流氷」がありますが、ジュエリーアイスはロシアのアムール川から流れ出た真水が海水と混じり合い、海の中で氷となって知床や網走、紋別沿岸に漂着するもの。十勝のジュエリーアイスは、海へ流れ出た十勝川河口の氷が冬の荒れた天候によって再び浜に打ち上げられるものです。波や氷同士のぶつかり合いによって角がとれ、丸くなっているのが特徴で、流氷と違って透明でキラキラと輝いています。
　　　　　　　　　
近年このジュエリーアイスが人気を博しており、自家用車で自由に向かえるほか、十勝管内の温泉宿やホテル発着の周遊ツアーも。なかには、プロのネイチャーカメラマンによる撮影指導が受けられるオプションもあります。自然が生み出すものなので、ひとつとして同じ形がなく、実際に自分の目で見てみるとキラキラと輝いていて幻想的。大きさも様々で、手に持つこともできますよ。写真好きの人には特に訪れてほしいスポットです。浜辺は風が強く、体感温度が下がるため防寒着・手袋・カイロなどはしっかりと準備を。より輝くジュエリーアイスを撮影したい場合には水筒にお湯を持って行って、解けない程度にかけると良いそうです。 　　　　　　　　　
　　　　　　　　　
ジュエリーアイス
【開催時期】例年1月上旬～3月上旬※天候により変動
【住所】北海道中川郡豊頃町大津元町（大津海岸）
【交通アクセス】JR：根室本線新吉野駅から車で約20分
【駐車場】あり（無料）
【問い合わせ（TEL）】015-578-7202（豊頃町商工観光課）
【公式サイト】 http://www.toyokoro.jp/jewelryice/