熊本発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
“ヨイサーヨイサー”、“サッサヨイヨイー”という軽快な掛け声が印象的な「牛深ハイヤ節」は、江戸時代後期に牛深の地で誕生した民謡。それが、牛深漁港へ寄港した船乗りたちによって、全国各地に広がっていったといわれる。牛深ハイヤ節に踊りが加わった「牛深ハイヤ踊り」を存分に味わうなら、何といっても「牛深ハイヤ祭り」へ足を運んでほしい。
江戸時代後期から天草市牛深町に受け継がれている民謡「牛深ハイヤ節」は、南国特有のリズムと独特の節回しが特徴。穏やかな天然の良港を有する牛深は、かつて九州各地への中継基地として船の往来が盛んで、多くの船乗りたちでにぎわっていた地だ。そんな船乗りたちをもてなすために地元の女性たちが唄ったことが、牛深ハイヤの始まりといわれる。このハイヤ節に踊りを加えたものが「牛深ハイヤ踊り」。毎年4月に開催される「牛深ハイヤ祭り」では、軽快なハイヤ節にのせて踊りが披露される。中でも躍動感あふれる「総踊り」は圧巻だ。取材/熊本の編集プロダクション「ポルト」、2016年 6月九州ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(はやみず じゅんこ) 早水 純子さん
伝統芸能として牛深で唄い継がれてきた牛深ハイヤ節に踊りを加えた「牛深ハイヤ踊り」を継承していくために、1972年から始まったのが「牛深ハイヤ祭り」だ。現在の牛深ハイヤ祭りは、毎年4月の第3金・土・日曜の3日間にわたって開催され、市内外から訪れる大勢の観光客でにぎわう。牛深ハイヤ祭りの一番の見どころは、何といっても土曜の19時からと日曜の13時からの2回で行われる「ハイヤ総踊り」だ。ハッピに身を包んだ数千人の老若男女が、三味線や太鼓の囃子とともに町を練り歩く。軽快なハイヤ節のリズムにのせて、“ヨイサー、ヨイサー”という掛け声とともにダイナミックな踊りが披露され、牛深の町全体が熱気に包まれる。夜に行われる土曜と、昼に行われる日曜では、祭りの雰囲気は全く異なる。可能であれば地元に宿泊して、二つの異なる表情を堪能してほしい。
ハイヤ総踊りでは両日とも、「飛び入り丸」という一般参加者向けの団体が用意されており、観光客の飛び入り参加が可能。総踊りの開始直前には、牛深ハイヤ保存会による講習会が行われるので、振り付けを知らなくても安心して参加できる。せっかく現地を訪れたなら、祭りの熱気を全身で感じてみてほしい。また、牛深ハイヤ祭りでは総踊りのほかにも、さまざまな催しが行われる。土・日曜の2日間に開かれる「牛深名産ハイヤ市」では、牛深の新鮮な魚介を使った料理のほか、多彩な海産物が販売される。日曜に牛深港周辺で行われるのは、「漁船団海上パレード」。鮮やかな大漁旗を掲げた数十隻の漁船が、水しぶきをあげながら海上を疾走するパレードは必見だ。
熊本県の南西部にあり、上島(かみしま)・下島(しもしま)を中心に、大小120の島々から構成される天草。周囲を有明海、八代海(不知火海)、東シナ海と三つの海に囲まれ、風光明媚な景観が広がっている。天草の最南端に位置する天草市牛深町は、県内最大の漁業基地である牛深漁港を有する港町。深い入江を持つ牛深漁港は、かつては碇いらずの穏やかな天然の良港であったため、古くから豊かな海産物の産地として、また海上交通の要衝として栄えてきた。そんな牛深の漁業の歴史に触れられるのが、観光施設「うしぶか海彩館」内にある「漁業史資料館」だ。15~16世紀の大航海時代にスペイン人のアビラ・ヒロンによって書かれたという『日本王国記』にも、「牛深のそれ(港)はどういう船にも向く良港である」と紹介されている。
天草市牛深町で、全国のハイヤ系民謡のルーツといわれる牛深ハイヤ節が誕生したのは、江戸時代後期のこと。当時、海上交通の重要な拠点であった牛深には、海産物などを運搬する帆船が多く出入りしていた。時化(しけ)待ちや風待ち、積荷の売買などで牛深港に寄港した船乗りたちをもてなすために、酒宴の席で牛深の女性が唄ったものが、牛深ハイヤ節の始まりといわれる。船乗りたちによって、このハイヤ節が全国各地の港へと広められ、さまざまなアレンジが加わって各地に定着していった。牛深ハイヤ節をルーツとする民謡は、こうして約40カ所に唄い継がれていったという。中でも、新潟県の「佐渡おけさ」や徳島県の「阿波踊り」などがよく知られている。ハイヤの語源は「ハエ(南風)」で、牛深を出港して北上する帆船に欠かせない風のこと。このハエがハエヤになり、さらにハイヤに変化していったと考えられている。「ハイヤで今朝出た船はエー どこの港にサーマ入れたやらエー(ハエの風で今朝出港した船は、どこの港まで行き着いただろうか)」という唄い出しには、船乗りの身を案じる牛深の女性たちの思いが込められている。「うしぶか海彩館」側から牛深ハイヤ大橋を渡りきった場所には、「ハイヤ節発祥之地」の石碑が建立されている。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
天草市牛深町を訪れたら、ぜひ立ち寄ってほしい絶景スポットや観光施設を紹介。新たな牛深の魅力を発見しよう。
透明度の高さで知られる天草市牛深町の海水浴場。夏場には多くの海水浴客でにぎわう三大海水浴場を紹介。
漁師町・牛深を訪れたら、海産物は外せない。昔から愛されている郷土の菓子や、透明度の高い地元の海水で作った天然塩も注目。
“天草最果ての地”ともいえる天草市牛深町。車で訪れる場合は、熊本市内からだと約3時間かかる。途中、天草上島を通過する際は、松島有明道路(合津インターチェンジ~上津浦インターチェンジ間)を利用すると移動時間を若干短縮できる。また、天草空港(天草市五和町)と熊本空港・福岡空港・大阪空港を結ぶ「天草エアライン」を利用する場合は、天草空港周辺でレンタカーを借りるといいだろう。空港周辺からだと牛深町まで約1時間で到着する。九州南部から訪れる場合は、九州新幹線・出水駅(鹿児島県出水市)からシャトルバスで約30分の蔵之元港(鹿児島県長島町)へ行き、蔵之元港からフェリーで牛深港へ渡るのが便利だ。
・熊本空港から国道57号・324号・266号経由で約145キロ、約3時間・天草空港から国道266号経由で約145キロ、約1時間・熊本駅から国道324号・266号経由で約125キロ、約2時間50分・松橋インターチェンジから国道324号・266号経由で約120キロ、約2時間40分
“大漁”への願いを込めたキャラクターが誕生
牛深ハイヤ祭りのマスコットキャラクター「あかねちゃん」(中央)は、牛深の特産品であるイワシをモチーフにした女の子。ハイヤ踊りの衣装に身を包んだ愛嬌たっぷりのゆるキャラだ。“あかね”は牛深の言葉で“大漁”を意味し、漁師町ならではの思いが込められている。
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