熊本発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
平安時代から約450年にわたって、豪族・菊池一族の本拠地であった菊池市。この地には、白龍伝説で知られる「菊池温泉」が湧き出ている。温泉街には、10軒ほどの温泉旅館が点在し、良泉と自然の豊かさが魅力となっている。歴史ある城下町観光とともに、豊富に湧き出る温泉を巡ろう。
1954年に開湯し、2014年に60周年を迎えた菊池温泉。温泉の歴史は比較的浅いが、「日本名湯百選」に選ばれる良質な湯は、pH値9.0以上と高いアルカリ性で肌ざわりがやわらかい。美肌成分であるメタケイ酸を含み、湯上がりには肌がしっとりするという。また、この地は平安時代から450年にわたって菊池氏が栄えた城下町でもある。湯上がりに街を散策すれば、史跡や町割りなどから歴史情緒を感じることができる。そんな菊池の温泉街の楽しみ方を、この地で生まれ育った達人に聞いた。取材/熊本の編集プロダクション「ポルト」、2016年 5月九州ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(さくらぎ じゅん) 櫻木 淳さん
歴史と文化が息づく城下町にある「菊池温泉(きくちおんせん)」は、熊本県北を代表する温泉地の一つだ。市民の憩いの場である菊池公園の近くには、10軒余りの温泉旅館が点在している。2011年には、特に療養や保養に優れた温泉地として、「日本の名湯百選」に認定されている。菊池温泉の源泉の温度は42~46度と適度で、加水・加温なしのかけ流し。「湯量が豊富で、泉質も素晴らしい。他の温泉だと入った気がしないんです。学生のころは部活帰りに友人たちと、よく温泉に立ち寄っていましたね」と、達人・櫻木さんは言う。アルカリ性単純泉の無色透明の湯は、とろりとして肌触りがやわらかい。湯上がりには肌がしっとりすると言う人が多く、“化粧の湯”の別名でも知られている。初めて菊池温泉に漬かった人は、風呂上がりに“石鹸で洗ったみたいにすべすべになる”と驚くという。温泉の効能としては、美容のほかにも神経痛やリウマチ、筋肉痛、疲労回復などへの効果が期待できる。また、ほとんどの旅館では飲泉が可能で、口に含んでみるとなめらかな喉ごしと、ほんのりとした甘みを感じられる。飲泉は胃腸病や肝臓病などに効能があるという。
「菊池温泉の立ち寄り湯を利用するなら、ぜひ『周湯券(しゅうゆうけん)』を利用してほしいですね」と櫻木さんは言う。周湯券とは、菊池温泉観光旅館協同組合に加盟している10軒余りの温泉旅館で利用できる温泉入浴券で、3枚1組1000円。菊池温泉旅館組合や、「菊池夢美術館」内の観光案内所、「きくち観光物産館」などで購入できる。ほとんどの旅館の立ち寄り湯では、通常料金が500円ほどなので、周湯券を利用することでお得に入浴ができるのだ。「1人で3軒を巡れるほか、家族や友人などと3人で使うこともできます。有効期限はないので、その日1日で使い切れなくても大丈夫ですよ」(櫻木さん)また、温泉街には無料の足湯も3カ所設置されており、散策がてらの利用が可能。街中にある「横町ポケットパーク」と「切明ポケットパーク」の2カ所は、どちらも2012年に完成した公園で、もう1カ所は菊池公園内の「菊池夢美術館」に設けられている。こちらは地元の農産物や特産品がそろう「きくち観光物産館」に隣接しているので、土産物を購入がてら足湯に漬かってひと休みできる。また、菊池を代表する観光名所としては、「菊池渓谷」を忘れてはいけない。阿蘇の伏流水が瀬となって流れる景勝地で、菊池の市街地からは車で20分ほどのところにある。標高500~800メートルに位置する約1193ヘクタールの渓谷では、大小さまざまな渓流とうっそうと茂る広葉樹林が、美しい自然の景観をつくり出している。菊池渓谷は、夏の平均水温が13度という涼しさから、“天然のクーラー”が楽しめる避暑地として知られる。特に夏がおすすめだが、秋にも渓流に映える美しい紅葉を見ることができる。「日本名水百選」をはじめ、「日本の滝百選」や「水源の森百選」などに選ばれている。※菊池渓谷は2016年8月時点で、熊本地震の影響により立ち入り禁止。最新の情報については、公式ページ(http://kikuchikeikoku.jimdo.com/)で確認のこと。
熊本県の北東部に位置する菊池の地では、阿蘇外輪山を源とする菊池川から豊富な水が流れ出し、肥沃な平野を形成。そのため、古くから熊本県内でも屈指の米どころとして作物を育んできた。またこの地は、平安時代末期から室町時代後半まで約450年にわたって活躍した豪族・菊池一族の拠点として知られる。菊池一族は源平合戦や元寇など、日本の歴上でも重要な戦に参加。その姿は、鎌倉時代後期の絵巻物『蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)』に描かれている。後醍醐天皇と足利尊氏が争った南北朝時代に、菊池一族は最も繁栄を誇ったという。そのことから、菊池市民広場には南北朝時代の英雄であった菊池氏の15代当主・武光の騎馬像が設置され、市のシンボルとして親しまれている。城下町として栄えた菊池の中でも、中心部にある隈府(わいふ)には、碁盤の目状に整備された町割りが今もなお残っている。菊池一族を祭る「菊池神社」の参道へ続く道には、樹齢600年以上といわれる「将軍木」や、国指定重要無形民族文化財の能場「御松囃子御能(おんまつばやしおのう)」など、菊池一族ゆかりの史跡が点在。どことなく中世の雰囲気を感じさせるスポットだ。そんな菊池の街を散策する際には、櫻木さんが会長を務める菊池人力車「俥楽の会」を、ぜひ利用してみてほしい。商工青年部を中心とした若者グループが運営しており、土・日曜と祝日の限定で、御所通りや酒蔵など約1キロのコースを案内してくれる。徒歩での散策とは全く異なる景色を眺めながら、菊池の街を巡ることができる。
菊池温泉の誕生は意外と新しく、開湯のための掘削工事が行われたのは1954年。ちょうど日本が高度経済成長期を迎えたころで、菊池温泉は一躍人気の観光地になった。温泉街には、「菊池温泉1号井」と呼ばれる菊池温泉発祥の地が今も残る。1954年、地中246メートルまで掘削工事が終了後、当初は「隈府温泉(わいふおんせん)」の名で浴場開きが行われた。菊池温泉という名に変更されたのは1962年。当時は慰安旅行や修学旅行など多くの団体客でにぎわい、1965年ごろには九州一円から観光客が押し寄せたという。菊池温泉の湧出には、白龍の伝説がある。菊池に住む村川翁が城山の一角に立っていると突然、白龍がのぼってきた。「こぎゃんきれいか龍は見たこつがなか(こんなにきれいな龍は見たことがないな)」とつぶやくと、横に立っていた美女が「あれは龍の親で、あそこに子どもの龍がいます」と指さした。見ると、もうもうと立ち込める湯煙の中に、多くの子どもの白い龍がいた。翁は温泉湧出の啓示と悟り、温泉を掘り当てたのだという。白龍は菊池の守護神といわれ、毎年8月には、この白龍伝説にちなんで「きくち夏まつり」が開催される。長さ約50メートルの巨大な“白龍”と、“子白龍”を男衆が担いで商店街を練り歩く勇壮な祭りだが、華を添えるのは迫力のある花火だ。きくち夏まつりの花火は、打ち上げ場所と会場の近さが特徴。会場では、まるで頭上から降り注いでくるかのような花火を鑑賞することができる。また、旅館によっては部屋から花火が鑑賞できることもあるので、宿泊予約の際には確認してみるのがおすすめだ。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
菊池には、泉質はもちろんのこと、料理やロケーションなどが自慢の温泉宿が勢ぞろいしている。いずれもお得な温泉入浴券「周湯券(しゅうゆうけん)」の利用が可能なので、立ち寄り湯めぐりも楽しめる。達人・櫻木さんのおすすめを紹介。
温泉街には徒歩や車で5分圏内という近場に温泉施設が点在している。街歩きを楽しんだ後は、立ち寄り湯でリフレッシュしよう。「菊池わくわく温泉」や「薬師湯温泉」は早朝から営業しているので、朝風呂も楽しめる。
ニューフェイスのB級グルメ「菊池の福丼」から、酪農王国ならではの多彩な「きくちあいす」、地元の人から愛される「肉めし」まで。菊池グルメを味わい尽くそう。
・熊本空港から国道325経由で約20キロ、約30分・JR熊本駅から国道3号、国道387号を経由して約30キロ、約1時間
・熊本交通センターから菊池温泉行きで約1時間10分
菊池人力車「俥楽の会」【営業時間】土・日曜と祝日の10時〜17時(※3日前までに要予約)【利用料金】1台3000円(約1時間)【電話番号(問い合わせ)】080-4289-0837
菊池公園で桜に包まれる
菊池は、桜を大切にする街だという。中でも菊池公園や菊池神社は、桜の名所として知られている。3月下旬から4月上旬にかけて、菊池市内を一望できる丘の斜面に22種類・約3000本の桜が咲き、夜にはライトアップもされる。
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