熊本発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
熊本を代表する郷土料理、「からしれんこん」。しゃきしゃきとしたレンコンの食感と、つんと鼻に抜けるからしみその辛さ。主に酒のさかなとして、熊本県内で広く親しまれている食べ物だ。その魅力を、からしれんこんの“達人”に紹介してもらおう。
麦みそに和からしを混ぜた“からしみそ”をレンコンの穴に詰め、黄色い衣を付けて油で揚げる熊本名物「からしれんこん」。江戸時代、病弱だった初代熊本藩主・細川忠利公の滋養強壮食として考案されたという。からしれんこんのおいしさの秘密から、おすすめの食べ方までを紹介する。取材/熊本の編集プロダクション「ポルト」、2016年 7月◆その他のおすすめ熊本観光情報→熊本グルメのおすすめ情報10選九州ローカル案内役が厳選おすすめホテル特集
[たびらいセレクション]
(むらかみ のりとし) 村上 範年さん
しゃきっとしたレンコンの歯触りと、つんと鼻を抜けるからしみその辛み。この絶妙なコンビネーションが魅力の「からしれんこん」は、熊本を代表する郷土料理として広く親しまれている。どちらかというと、家庭で作る料理というよりは、お店で購入して、晩酌のお供に家庭で楽しむことが多い。熊本では専門店だけでなく、地元のスーパーや物産館などでも、からしれんこんが売られているのをよく見かける。郷土料理店はもちろん、和食屋や居酒屋のメニューに並んでいることも多い。中には自家製のものを揚げたてで提供してくれる飲食店もある。また、正月にはおせち料理の一品として欠かせない食べ物だ。どの専門店のからしれんこんも同じような色と形をしているため、見た目ではほとんど区別がつかないのだが、実は店ごとに独自のこだわりが詰まっている。レンコン選びでは甘みや食感を追求し、フヨウ種やメイケイ種などから、理想のからしれんこんに最適な品種が選ばれている。熊本県は全国有数のレンコンの産地であるため、県内の契約農家のものを使用している店も多く、中には自らレンコン栽培を行っている専門店も……。ほかにも、味の決め手となるからしみその配合や、辛さと食感のバランスを考えた衣の厚さ、レンコン特有の粘りが出ないようにさくさくの食感に仕上げる揚げ方の工夫など、店ごとのこだわりは尽きず、奥が深い。
からしれんこんは現在も、昔ながらの製法で一つ一つ手作りされている。作り方は至ってシンプルで、まずはレンコンをきれいに水洗いしてゆで、空気が入らないようにからしみそを回すように押し付けていく。ところでレンコンには、穴が大きな“頭”と、小さな穴がたくさんある“お尻”があることをご存じだろうか。からしれんこんのからしみそを詰めるときは、レンコンの断面を確認し、“頭”を下側にして少しずつ詰めていかなければならない。「空気に触れて、からしみその風味が飛んでしまわないように、スピーディに詰めるのが肝心です」と達人・村上さんは説明する。そうして穴がぎっしり詰まったレンコンを寝かせた後、黄色の鮮やかな衣をつける。この黄色は、ウコンやクチナシなど、天然の色素で着色されている。最後にからりと揚げれば完成だ。「揚げたてのうまさは格別ですよ」と言う村上さんの店では、「カラシレンコン作り体験」を実施しており、2名以上で予約すれば誰でも体験が可能。レンコンにからしみそを詰めて揚げる工程に挑戦した後には、ぜひ揚げたてを味わってみてほしい。
からしれんこんの最も一般的な味わい方は、輪切りにしてそのまま酒のさかなにする方法で、日本酒や焼酎、ビールなどとの相性が抜群だ。達人・村上さんが、家庭でのおいしい食べ方を教えてくれた。「冷蔵庫で保存して、食べる分だけ幅1センチ程度にスライスし、ラップに包んで電子レンジで温めてください。女性の肌と一緒で、なるべく水分を逃さないことが大切ですよ(笑)。温めると辛味が引き立ち、揚げたてに近い味わいになるんです」(村上さん)好みでしょうゆなどをつけてもいい。また、辛さがあまり得意でない人は、マヨネーズをつけてサラダ感覚で食べるとまろやかな味わいに。そして、もしからしれんこんが余ったら、程よいサイズに刻んでチャーハンの具材にするのもおすすめだ。“和”のイメージが強いからしれんこんだが、村上さんはさらに斬新な洋風の食べ方を提案する。「からしれんこんは野菜なので、トマトやアボカドなど、ほかの野菜とも相性がいいんです。例えばクラッカーの上にからしれんこんとミニトマト、とろけるチーズ、ケチャップをのせてオーブンで10分ほど焼けば、洋風おつまみに変身。ワインに合いますよ」また、からしはマスタードに近いので、パンとも好相性だという。からしれんこんをレタスやトマトと一緒にはさんで、サンドイッチにすることもできる。
からしれんこんは、いつごろから熊本で親しまれてきたのだろうか。その由来は、約380年前の熊本藩初代藩主・細川忠利の時代にさかのぼる。病弱で食が進まない藩主の身を案じた禅僧・玄沢和尚(げんたくおしょう)は、栄養価の高いレンコンを食べるよう忠利公にすすめた。けれども藩主は、「蓮根は泥の中で育った不浄なもの」と箸をつけなかったという。そこで一計を案じた和尚は、藩の料理人・森平五郎に増血作用があるレンコンを使って健康食を作るよう命じた。平五郎は加藤清正公が熊本城の外堀で非常食として栽培していたレンコンを使い、麦みそに和からし粉を混ぜて穴に詰め、衣をつけて揚げたものを忠利公に献上。忠利公はこれを大変気に入って常食としたため、体が丈夫になったという。からしれんこんはその後、輪切りにした切り口が細川家の家紋の“九曜紋(くようもん)”に似ていることから、明治維新まで門外不出の秘伝料理とされた。一般の家庭に広く伝わるようになったのは、明治時代に入ってからのことだ。ちなみに、藩の料理人であった森平五郎の子孫は、明治時代にからしれんこんの専門店を開く。それが現在の「森からし蓮根」であり、今は18代目がその伝統の味を守り続けている。
伝統の味が受け継がれつつも、時代の移り変わりとともに、からしれんこんにもさまざまなバリエーションが生まれている。例えば、カレーや桜、わさび、紫イモ、柚子などの多彩な風味が登場。いずれも衣に色付けされているので、見た目にも華やかだ。また、10年ほど前に達人・村上さんが開発したメニューが、「からし蓮根コロッケ」と「カラコロバーガー」だ。きっかけは、“からしれんこんを食べたいけど、歯が悪くなって食べられない”というお年寄りの声だったという。そこで、少し歯ごたえが残る程度にミンチ状にすり下ろしたレンコンにからしみそを混ぜ、パン粉をまぶして揚げたコロッケを考案。他店のコロッケを食べ歩き、研究を重ねて試行錯誤の末に生み出された渾身のメニューだという。この自慢のコロッケとたっぷりのキャベツを特製のバンズにはさんだものがカラコロバーガーだ。にんにくみそベースのソースが、コロッケの味わいをさらに引き立てる。「私が目指しているのは、“進化”というより“新化”。これからも“新しく化けた”商品や食べ方を提案していきたいですね」と村上さんは意欲を見せる。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
伝統の味を守り続ける老舗のからしれんこん店を紹介。
オーソドックスでシンプルなからしれんこんはもちろん、アレンジを加えた変わり種もある。奥深いからしれんこんの味わいを追求しよう。
熊本城の正面にある熊本市中央区新町は、約400年前に加藤清正が熊本城の築城とともに造った城下町。現在も往時の風情が残る新町界隈の老舗店を紹介する。
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“名物”のカラコロバーガー
熊本観光の途中で小腹が空いたら、村上さんが考案した「カラコロバーガー」はいかがだろう。その名の通り、からしれんこんのコロッケをサンドした“ご当地バーガー”で、粗挽きにして歯触りを残したレンコンとからしみその風味が合わさると、まるで本物のからしれんこんさながら。辛味は抑えられているので、子どもからお年寄りまでおすすめできる。
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