1. 小樽三角市場、駅前の小さな市場で新鮮体験

達人指南

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小樽三角市場、駅前の小さな市場で新鮮体験

  JR小樽駅から徒歩2分。絶好のアクセスの「三角市場」は、小樽や北海道近海で獲れた鮮魚が並ぶ市場。6店舗もある食事処では、カニ、ウニ、いくらなどが豪快に乗った海鮮丼を食べることができる。見る、買う、食べる、多彩な楽しみ方がぎゅっと凝縮されたコンパクトな市場だ。

三角市場内観

  北海道小樽市のJR小樽駅の隣、土地と屋根が三角形になっていることから命名された「小樽三角市場」。この市場は50年以上の歴史をもち、ゆるい坂道形状が特徴の小樽の名物市場だ。

抜群の鮮度をもつ海鮮と、リーズナブルな価格設定が評判を呼び、土産や中元・歳暮を買い求める北海道内・外の観光客、さらにはアジア圏からの外国人観光客などで連日賑わいを見せる。カニやウニ、ホタテやイクラなど、旬の鮮魚や加工品の販売店をはじめ、海鮮丼が食べられる食堂の存在も大きな魅力。この三角市場の歴史と楽しみ方を探ってみた。

ライター/相馬 りえ 投稿/平成27年(2015)12月

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三角達人
(つなぎし あきお)
綱岸 明夫さん

小樽三角市場の達人
  小樽駅前三角市場 理事長。有限会社綱岸水産 代表取締役。高校まで小樽で生まれ育ち、大学進学で東京へ行ったが、22歳の時に小樽へ帰郷。それ以降、40年間三角市場で働く。先代の父から綱岸水産を引き継ぎ、現在3代目の息子と共に店頭に立つ。

ひも解くと興味深い、小樽三角市場の歴史

三角市場外観

  小樽三角市場は、終戦直後の昭和23年(1948)頃、小樽駅前で7~8軒の露店商が店を出したのが始まりであり、道内各地から買い付けに訪れる行商が集う朝市として発展した。昭和32年(1957)、露店商30軒ほどで任意組合を設立し現在の市場を建設。靴や衣料、惣菜店に至るまで、計50店舗以上の店が軒を連ねる時代もあった。だが、時代の流れとともに一般市民を対象とした小売りにシフト。さらに大型スーパーの駅前への参入とバブル時代が、三角市場の大きな転換点となる。

バブル絶頂期にカニブームが到来。客の「新鮮なカニを食べたい」という要望に応え、三角市場の多くの鮮魚店が活ガニを取り扱い始めた。同時期、鮮魚店の店員自らがカニを茹で、地方発送するだけにとどまらず、鮮魚店の奥で“茹でたてアツアツ”のカニの提供を開始。「お客さんがゆっくりと食事できるスペースを設けたい。そんな思いが、鮮魚店直営の食堂経営につながりました」と達人は言う。

現在、鮮魚店を筆頭に15店舗が軒を連ねる市場には食堂が6店舗もあり、どの店でも新鮮・リーズナブル・豪快・種類豊富な海鮮丼が味わえるとあって、大変な評判。時代のニーズに沿って進化し、小樽を代表する観光地・グルメスポットとなった三角市場の今後にも期待だ。

小樽ならではの鮮魚の楽しみ方とは?

しゃこ

  1~2月はニシン。5月末から8月まではウニ。そして、7~8月はイカ。これらが小樽を代表する海鮮であり、旬である。実は、初春の列車旅にも車窓からの“見る楽しみ”があるらしい。「ニシンの最盛期には産卵のため、小樽沿岸の海が真っ白に染まり、その光景は独特かつ見事です」と達人。いわゆるニシンの“群来”(くき)だ。運が良ければ、晴れた日に小樽~札幌間の列車から見えるという。

そして、忘れてはならないのがシャコ。高級寿司ネタとしてお馴染みだが、小樽のシャコは特に大ぶりでコクがあると評判だ。小樽のシャコ漁は春(5~6月)と、全国的にも珍しく秋(10~11月)にも行われる。「オスは20センチほどもあります。メスはオレンジ色の卵を持っており、コリコリした食感」。産卵前の卵が熟した子持ちが獲れる春と、脱皮後の引き締まった身が特徴の秋、どちらもおすすめだ。

その他にも、市場には北海道やロシアの近海で獲れたカニやホタテ、サケやホッケなど、さまざまな魚介類が1年を通じて並ぶ。また、八角(はっかく)などの珍しい魚に出会えることも。これら旬の海産物を眺めているだけでもワクワクしてしまう。

スタッフとの交渉と試食タイムで楽しくショッピング

試食

  市場の通路の幅は約2メートルと、かなり狭い。なだらかな傾斜のついた通路を歩いていると、「お食事ですか?」「本日入って来た魚、いかがですか?」など、各店舗の店員が声を掛けてくることがしばしば。その様子は、“強引“とはほど遠く、さり気なく優しい。女性一人でも臆することなく立ち寄れる雰囲気が三角市場にはある。また、鮮魚や加工品の試食を積極的にさせてくれる店舗が多い。存分に食べ比べ、納得がいくまで商品を吟味できるのはうれしいポイントだ。

現在、市場を訪れる客層は観光客がメインだが、昔から足を運び続けている地元の人も多くいる。そのため、三角市場は地元の相場に乗っ取った価格設定。達人は「他の観光地の市場より価格設定は安いはず」と語る。「対面販売となる市場は“値段交渉”などの駆け引きが魅力のひとつ。そこで、お客さんに交渉を持ち掛けられると、可能な限り値引きします。極端な値引きが難しい場合は、量を多くしたり、おまけをつけたりもできますよ」。また、買い物をした人に小樽のポストカードをプレゼントしている。思い切ってトライしてみると、きっと良いことが待っているはず。

鮮魚以外のお店も魅力的! 甘味やフルーツ・山菜も

お兄さん

  JR小樽駅側の出入り口から市場に入るとすぐに、せんべいやかりんとう、キャラメルやきびだんごなど、懐かしいお菓子が目に入る。その店の名は「よしの屋」、三角市場唯一の菓子店だ。よしの屋は市場で最も古い店舗であり、55年以上の歴史をもつという。一歩足を踏み入れて覚えるのは、昭和にタイムスリップしたかのような感覚だ。店内には、同店と昔から付き合いのある小樽の菓子店が製造したべこ餅やすあま等の和菓子も並んでおり、店主であるお母さんとの会話も楽しい。

また、よしの屋の向かいには、野菜や果物を販売する「フルーツショップ豊田商店」が。以前は地元の人々が生鮮野菜や果物を買いに毎日訪れていたが、最近は観光客向けに贈答用の果物を主に取り扱っている。春~夏は、小樽の隣・フルーツ王国の余市町で採れたメロンやさくらんぼ等の果物、秋~冬はニセコ産や真狩(まっかり)産のじゃがいもや玉ねぎ、山菜の瓶詰めなどが人気だ。

一番の楽しみは、やっぱり市場メシ!

海鮮丼

  市場を訪れて驚くことは、食堂の多さ。15店舗中6店舗が食堂、そのうち5店舗が鮮魚店直営の食堂だ。どの店舗も新鮮な魚介類を使用した海鮮丼、また刺身や焼き魚の定食を提供している。「三角市場の食堂は安い! それは、場内の6店舗の食堂が互いに価格の面でも切磋琢磨しているから。小樽と言えば寿司を連想する人が多いかもしれませんが、ここの食堂は寿司屋より気軽に入れるのも魅力だと思います」と達人も太鼓判を押す。

小上がり席がある店や、団体の受け入れ可能な店など、どの食堂も家族連れや観光客向けに工夫を凝らしている。価格帯もさることながら、メニューの豊富さにも驚きだ。もし、メニューになくても、鮮魚店で販売している魚介類を購入し、調理してもらうことも可能。水槽で泳ぐカニを購入し、茹でたてを食堂でほお張る、なんて体験も。鮮魚店直営の食堂ならではの“新鮮市場メシ”がここにはあるのだ。

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三角市場の楽しみ方ランキング

達人おすすめの地方発送商品

  三角市場には、鮮魚から海産加工品、干物までありとあらゆる海産物が並ぶ。その中でも達人が選んだ、地方発送に最適な商品は?

  • 三角市場のイクラ
  • 三角市場のカニ
  • 三角市場のホッケ
おすすめポイント
  三角市場ではイクラを通年販売しているが、9~11月には各店舗がサケをさばき、取り出したイクラを自家製しょうゆ漬けにした商品が販売している。一粒一粒がプリプリ・キラキラと輝くイクラは、まるで宝石のよう。カニは、水槽で生きたカニを販売している店舗がほとんどで、タラバ、ズワイ、花咲ガニ、毛ガニなど、たくさんの種類が手に入る。
 意外にも人気なのが、ホッケの干物だ。実物を見て納得、三角市場で販売されている開きホッケは大きい! サイズは、大を通り越して特大か。「うちの市場に並ぶ開きホッケは、大きくて、脂がのっていておいしい。価格も安いですよ」と達人。

三角市場ならではの海鮮丼を味わおう!

  三角市場の食堂の海鮮丼は、鮮魚店直営ゆえに新鮮・豪華・リーズナブル。どのメニューも人気だが、特に達人がおすすめするメニューとは?

  • ウニ丼
  • 海鮮丼
  • マグロ丼
おすすめポイント
  「ここ5年くらいの間で、土産を買い求めるお客さんより、市場の中で海鮮丼を食べて帰る観光客が急増しました」と達人。連日、昼時にはどの食堂も観光客の行列ができるほど。カラフル丼やよくばり丼、おまかせ丼など、各店舗趣向を凝らしたネーミングの海鮮チラシ丼は、10~12種類ほどのネタが入っており、丼からネタがはみ出していることも。どの食堂も朝8時頃から16時頃まで、年中無休で営業しているのもうれしいところ。

市場のまち・小樽。地元密着型の市場を紹介

  小樽市内には、三角市場のように観光スポットとなっている市場以外にも、地域密着型の市場が多数ある。ひっそりと佇み、市民の暮らしとともにある2つの市場を紹介。

  • 妙見市場
  • 鱗友市場
おすすめポイント
  港町・小樽には、新鮮な魚の販売をメインとした市場が9つもある。各市場、規模も建物の作りも店の顔ぶれもさまざまなので、小樽へ訪れた際には市場巡りもおすすめだ。現在は市場に足を運ぶ人が減ったため、テナントが空いている市場もあるが、そのスペースを無料休憩所にするなど、各々の工夫が垣間見られる。鮮魚の他にも、かまぼこ店や惣菜店、喫茶店やパン屋など、地元の人のみぞ知る、穴場的な店に出会えるのも市場巡りの魅力。

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小樽三角市場への交通アクセス

  JR小樽駅を出て左方向へ向かうと、小さな坂の上にすぐに三角市場が見える。駅からわずか徒歩2分の好立地にあるのだ。札幌からの列車旅が楽しいが、市場の目の前には広めの契約駐車場もあるので、もちろん車で行くのもあり。

三角市場の施設情報

  【住所】
北海道小樽市稲穂3丁目10-16
【営業時間】
(市場)6時~17時、(食堂)7時~17時
 年中無休(店舗ごとに、営業時間と定休日は異なる)
【問い合わせ(電話番号)】
0134-23-2446
【駐車料金】
三角市場で5000円以上買い物をした人は、契約駐車場が1時間無料
※契約駐車場/小樽市駅横駐車場(小樽市稲穂2丁目22番)
【公式HP】
http://otaru-sankaku.com/

車・レンタカーで

  【札幌中心部から】
札樽自動車道を利用し約40キロ、約45分。小樽ICからは約7分。
【新千歳空港から】
道央自動車道・札樽自動車道を経由(新千歳IC~札幌南IC~小樽IC)。約85キロ、約1時間15分。

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バスで

  【JR札幌駅から】
中央バス/小樽行き「高速おたる号」に乗車し、「小樽駅前」で下車。
ジェイアール北海道バス/小樽行き高速バスに乗車し、「小樽駅」で下車。
いずれも、約1時間10分。

JRで

  【JR札幌駅から】
快速エアポート、または、いしかりライナーを利用し、約30~40分(950円)
【JR新千歳空港駅から】
快速エアポート・いしかりライナーを利用し、約1時間20分(1780円)

三角市場のQ&A

Q 市場の全長と、通路の幅は?
A 全長は約200メートル、横幅は約2メートルです。
Q 子連れの観光客や障がい者に対応したトイレはありますか?
A 市場内にトイレはありますが、障がい者用はありませんので注意してください。また、赤ちゃんのおむつ替えができるシートやベビーベッドの設置はありません。
Q 駐車場はありますか?
A 三角市場専用の無料駐車場はありませんが、市場のすぐ向かいに契約駐車場があり、市場で5000円以上の買い物や食事をすると1時間無料で駐車できます。
Q お土産の発送はどのようにすればいいですか?
A どの店舗も地方発送に対応しています。各店に置いてある送り状記入してもらうだけで結構です。市場内に運送会社もありますし、毎日その他の運送会社も集荷にきているので、気軽に地方発送ができますよ。
Q 市場で購入した鮮魚を捌いて食べさせてくれる食堂はありますか?
A 三角市場の食堂6店舗のうち5店舗は鮮魚店直営の店なので、食堂のメニューに載っていなくても、鮮魚店で購入した魚を食堂で食べることができます。
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