北海道発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
更新:2023年01月20日
寒さ厳しい2月の小樽で8日間だけ開かれる、雪と氷でつくられた幻想的な「あかり」のイベントがあることをご存じ? じっくり眺め、そして歩きながら楽しめる「小樽雪あかりの路」の必見ポイントをガイドします(情報は2018年度)。※2023年開催内容の最新情報は、お出かけ前に公式サイトをご確認ください。
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約12万本のキャンドルが小樽の古い街並みをやさしく照らし、街全体が幻想的なムードに包まれる「小樽雪あかりの路(みち)」。雪のオブジェとろうそくのあかりをゆったりと味わうこのイベントは、毎年2月に開催されており、10日間もの会期中、あかりは静かに灯り続けます。平成11年(1999)に始まって以来毎年開催されているこのイベントは、鉄道跡地の手宮線(てみやせん)と、小樽を代表する観光地・小樽運河の2カ所をメイン会場とし、会期中の来訪者は約50万人、ボランティアスタッフ2000人以上の人気の催しとなりました。 手宮線会場は、 JR小樽駅から徒歩約10分。明治13年(1881)、日本で3番目に、北海道では最初に鉄道が開通した場所です。昭和60年(1985)に廃線となり、現在では貴重な鉄道遺構として残存しています。歴史の重みを感じながら雪のオブジェやランタンを眺めるのは、厳かでロマンチックな時間。手宮線会場は、たくさんある会場の中でも特に静かです。不思議に思うほど車の音や街の雑踏がほとんど聞こえず、来場者の話し声と、雪の上を歩く「ギュッ、ギュッ」という足音だけが耳に届きます。忙しない時代の中で、喧騒から離れ、自分とゆっくりと向き合える会場といえるでしょう。 たくさん並ぶオブジェのひとつ一つを細かく見て回るのが手宮線会場だとすると、もうひとつのメイン・運河会場は景色を眺めて楽しめる場所。小樽運河は、大正時代後期、北の玄関港として栄えた小樽港の船からの荷揚げ用に造られました。会期中、散策路には雪の手づくりオブジェ、そして、運河の水面にもキャンドルのあかりが灯り、運河全体が幻想的な雰囲気に包まれます。運河の水面に浮かぶあかりも、電気ではなく、ろうそくによるもの。小樽の歴史を象徴するアイテム・ニシン漁で使われたガラスの浮き玉の中にもろうそくを灯し、あえて水に浮かべます。ろうそくの火が消えたり、ガラスが割れたりすることもありますが、すべて手作業で修繕。もともとの小樽運河の魅力を後押しする演出が心掛けられているのです。
小樽雪あかりの路といえば、レトロでシックな大人のイベントというイメージが強いかもしれませんが、手宮線会場には子どもと一緒に楽しめる特別プログラムも多数用意されています。 地元高校生や、韓国や中国からのボランティアスタッフが製作したスノーオブジェが並ぶ手宮線。ここでは、一般の来場者もスノーオブジェを製作できるコーナーも設けられています。参加費は1人500円。ベテランのボランティアスタッフが作り方を指導してくれ、完成したオブジェにはろうそくを灯すことができますよ。スコップやバケツなどの製作道具は貸してくれるので、事前予約なしで手ぶらで参加が可能。しかし、手袋はお忘れなく。 また、人気の体験がもうひとつ。お土産にもぴったりのワックスボウルを製作できるコーナーは、毎年人気を集めています。ワックスボウルとは、ろうで出来た球体。中は空洞になっているので、キャンドルを置いて灯すと、やさしい光が浮かび上がります。作り方は、少量の水を入れた風船を、ろうが入っている鍋へ20~30回出し入れを繰り返します。ろうの厚みが1センチほどになったところで、カッターナイフで風船を割って、風船の中の水を出すと出来上がり。溶かしたろうをのり代わりにして、ワックスボウルの外面にドライフラワーを貼付けることもできますよ。参加費は1個1000円で、製作したワックスボウルは持ち帰りができます。事前予約なしで参加できるので、興味のある方は、開催日時を事前にチェックしてみてはいかが。 最後に、子ども向けかと思いきや大人もハマるコーナーを紹介。静かな手宮線会場の中で 唯一賑やかな場所が「スノー滑り台」。10日間ものイベント会期中、訪れた子どもが毎日列を成す人気のプログラムです。平日の比較的空いている時間には、同伴の大人も滑って楽しんでいる姿が見られます。利用は無料で、さらにチューブも無料で貸し出してくれます。上着だけでなく、防寒のズボンも着用の上、会場に足を運びましょう。
小樽雪あかりの路、盛り上がるのはメイン会場だけではありません。 準メイン会場の朝里川温泉は、市街地から車で約20分。複数の宿泊施設を有する温泉街として、またウインタースポーツのスポットとして有名です。 会場のほぼ中央を流れる朝里川の川面にも、たくさんのあかりが灯ります。目を凝らしてみると、川面の石の上、こんもり丸く積もった雪のひとつ一つにキャンドルが。「雪あかりの路」というイベント名は、小樽出身の作家・伊藤整の詩『雪明かりの路』にちなんで命名されたもの。その詩には、作者が駅から家に帰る途中の風景が描かれているのですが、その風景が現在も留まっているのが、朝里川温泉会場なのです。自然を感じられる、絵になる会場には、毎年多くのカメラマンが訪れ、人気の撮影スポットとなっています。毎年、雪あかりの路と併催している「愛のフォトコンテスト」のグランプリ作品では、2年連続でこの会場を撮影したものが選ばれているほどです。 ■小樽雪あかりの路準会場 朝里川温泉会場 【住所】北海道小樽市朝里川温泉 【交通】車:札幌から約25分(札樽自動車道札幌北IC→朝里IC利用)/ 小樽から約5分(札樽自動車道小樽IC→朝里IC利用) JR:小樽築港駅から北海道中央バス「朝里川温泉行き」に乗車(約15分) また、イベント初日のオープニングセレモニーが行われるのは「天狗山会場」。JR小樽駅から車で約17分、小樽のシンボル的な存在である天狗山は、夏は草原を滑走するボブスレーなどのアクティビティ、冬はスキー場として楽しめる人気のスポットです。 小樽雪あかりの路の会期中はキャンドルが灯り、さらに樹木もライトアップされ、幻想的なムード一色に染まります。初日、夜のオープニングセレモニーでは、たいまつを持ったスキー隊の滑走や打ち上げ花火など、華やかなショーを見ることができますよ。山麓からロープウェイで約4分で到着する山頂から望む景色は「北海道三大夜景」と賞されています。オープニングセレモニーの後には山頂まで行き、夜景も楽しんでみてはいかがでしょうか。 ■小樽雪あかりの路 天狗山会場 【住所】北海道小樽市最上2丁目16-15/小樽天狗山ロープウェイ 【営業日】冬期営業/11月下旬~3月下旬、夏期営業/4月上旬~11月上旬 【営業時間】9時~21時(11月下旬~12月上旬で、9時30分~21時に変更になる期間あり。電話やホームページで確認を) 【交通】車:新千歳空港から約1時間25分(道央・札樽自動車道新千歳IC→小樽IC経由) 【公式サイト】http://www.ckk.chuo-bus.co.jp/tenguyama/ メイン会場、小樽運河近くの「運河プラザ」では、雪あかりの路会期中に併せ「冬の小樽がらす市」が開催されています。 会場には、小樽市内の10以上のガラス工房が心を込めて作ったガラス製品の展示販売が行われ、毎年大勢の観光客や市民が来場。ガラス小物などの製作体験コーナーも多数設けられ、ガラスの魅力を堪能できるイベントです。各ブースを回りスタンプを集めて、抽選で景品が当たるスタンプラリーも開催。各ガラス工房の違いを見て回って楽しんでみては。 ■冬の小樽がらす市 【住所】小樽市色内2丁目1番20号 運河プラザ3番庫(小樽運河となり) 【開催日】2月上旬~中旬 【問い合わせ】0134-32-4111 【交通】車:新千歳空港から約1時間10分(道央・札樽自動車道 新千歳IC→小樽IC経由) イベント期間中、特別にオープンとなる施設も。 日本銀行の小樽支店として機能していた「日本銀行旧小樽支店金融資料館」。歴史を感じるその建物は、明治45年(1912)に竣工したものです。ルネッサンス様式の外観で、屋根には5つの緑色のドームが配置されています。外壁はレンガの表面にモルタルを塗った石造り風。現在は小樽市指定文化財に指定されています。館内には日本銀行の歴史や業務、小樽の発展について紹介する展示ゾーンや、1億円の重さやお札の偽造防止技術などを体験するコーナーがあり、家族連れにも人気の資料館です。 小樽雪あかりの路開催中は、2日間限定で通常は一般来館者の入室が禁止されている特別応接室が一般公開されます。特別応接室は、旧小樽支店時代に地元の財界人と金融経済に関する情報交換などを行う場として使用されていた部屋。室内のアンティークなシャンデリアや革張りのソファ、赤い絨毯などが、かつて小樽が「北のウォール街」と呼ばれていたことを彷彿とさせます。 入室料は、日本銀行旧小樽支店金融資料館の入館ともに無料。事前の申込も不要で、公開時間内は自由に見学することができます。ただし、入室人数に制限があるため、入室待ちになることも。この貴重な機会に足を運んでみて。 ■日本銀行旧小樽支店金融資料館 特別応接室の一般公開 【住所】北海道小樽市色内1条11丁目16 【電話】0134-21-1111 【開催日】2月上旬~中旬(特別応接室の一般公開入室時間は未定) 【特別応接室の一般公開に関する問い合わせ】011-241-5315(日本銀行札幌支店営業課) (通常時) 【開館時間】冬期/12月~3月 10時~17時(最終入館は30分前まで) 【休館日】冬期/毎週月曜日 【交通】車:新千歳空港から約1時間10分(道央・札樽自動車道 新千歳IC→小樽IC経由) 【公式サイト】http://www3.boj.or.jp/otaru-m/
真っ白な雪の中、やさしいキャンドルのあかりが来場者の心をほっとさせるこのイベント。しかし、開催時期は極寒の2月、防寒対策は必須です。 厚手のダウンジャケットを着ていても、手足、頭、耳の防寒対策は疎かという観光客が例年多数。手袋、帽子、防寒靴はマストアイテムです。さらに、上半身だけでなく、パンツ部分も防寒着を着用するのがおすすめ。 小樽は坂道が多い街。会場内は段差も多く滑りやすい場所もあります。ハイヒールは特に滑るので避けるのが無難。毎年滑って転倒する人は大勢います。靴は雪用のものを履きましょう。 2月は北海道の寒さが一番厳しい季節ですが、それゆえに空気は澄みわたり、幻想的な雰囲気の街を心ゆくまで楽しめます。暖かな服装で、特別な冬の小樽を訪れてください。
会期中、小樽市内の町内会や各種団体をはじめ、海外数カ国からもボランティアスタッフが集います。その数、なんと延べ2000人超! 作業内容はスノーキャンドルやオブジェの作成はもちろんのこと、約12万本のろうそくの点火と消灯ならびに撤去、さらには使用済みろうそくの再生、と多岐にわたります。まさに、ボランティアの支えなくしては成り立たないイベントです。 特に、「会場リーダー」は難しい役割。時に思い思いのスノーオブジェを製作し始めるスタッフなど、さまざまな意思や背景を持ったメンバーにイベント会場のコンセプトや統一感を理解してもらうには、対話力と忍耐力が必須となります。来場者だけでなく、ボランティアスタッフも「やって良かった」という満足感を得てほしいという思いから、掛ける言葉や指示の仕方にもこだわる努力が礎となっているのです。 イベント実行委員会が目指す雪あかりの路は「おもてなしする・おもてなしされる、すべての人が主役のイベント」。来場者も製作者も、時には静かな会場で物思いにふけりイベントを楽しむ。国籍や肩書き、立場を超えて、優しく灯ったあかりが人と人の心をぐっと近づけるイベントです。
■小樽雪あかりの路 【開催日時】2023年2月11日~18日 17時~21時 【問い合わせ(TEL)】0134-32-4111 【公式サイト】http://yukiakarinomichi.org/
車で(レンタカーで)
新千歳空港から高速道路(新千歳ICから小樽IC)を使用し、約84キロ。約手宮線会場へは約1時間15分、運河会場へは1時間10分。
電車で
新千歳空港から快速エアポートで約1時間10分。JR小樽駅下車。手宮線会場へは徒歩約10分、運河会場へは12分。
バスで
札幌駅前ターミナルから高速バスで約1時間で小樽駅前ターミナルに到着。
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