北海道発!「ローカル旅行」の楽しみ方から予約まで
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達人指南
現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。
札幌の中心部を東西約1キロに延びる「狸小路」。明治初期から140年を超える、北海道最古の商店街のひとつだ。アーケード屋根や鈴蘭灯など趣ある風情が残り、ずらり建ち並ぶ店は新旧多彩。地元市民から観光客まで、広く愛されるその魅力とおすすめの歩き方を、達人が紹介する。
1873年、北海道開拓の中心地・札幌に誕生した「狸小路」。庶民の暮らしから娯楽までを支え、時代に応じてアーケードや街路灯などを導入。近年は大型テレビジョンが設置され、ニュースや観光情報を放映。街とともに今も変化を続ける、いわば〝生きた〟札幌の歴史である。南2条と3条の仲通り、1~10丁目に軒を連ねる店舗数は、現在約200。老舗の名店が健在の一方、個性的な新しい店もどんどん登場。飲食店や土産物店のほか、衣料、雑貨、ホテル、温泉、ゲームなど多ジャンルの店が混在し、ブロックごとに異なる独特の雰囲気も面白い。大通公園や繁華街すすきのが徒歩圏内なのもおすすめポイントだ。あちこち歩いてお気に入りの店を探すもよし、何も買わずにぶらり歩きを楽しむもよし。旅の思い出に、札幌を代表する老舗商店街でにぎやかなひとときを過ごしてみよう。ライター/新目 七恵 投稿日/2015年 7月
[たびらいセレクション]
(わたなべ のぼる) 渡邊 昇さん
「狸小路」の始まりは、北海道開拓使時代に遡ります。1869年の北海道開拓使本陣設置(現在の南1東1付近)に伴い、現・狸小路2・3丁目付近に飲食店が増え、1873年からその一角が「狸小路」と呼ばれるようになったのです。人口の増加とともに商店も増え、寄席などの娯楽施設が出現。人気を集めたデパートの元祖的施設「勧工場」は、私も記憶に残っています。昭和に入って設置された「鈴蘭灯」と「アーケード」は、新しい試みとして大きな話題となり、今でもシンボルとして親しまれる存在。ちなみに、最初のアーケードは各丁でデザインを変え、個性を競ったそう。狸小路商店街の公式サイトには当時の写真が1枚アップされているので、見比べると時代の変遷がわかります。ところで、「狸小路」の由来ですが、正確には分かっていません。一説によると、明治の初め、客寄せした女性たちの巧みな化かし方を『狸』になぞらえたとか。面白いのは、その呼び名にちなむスポットが商店街のあちこちにあること。たとえば、5丁目の「本陣狸大明神社(通称:狸神社)」。1973年、100周年を記念して建立され、「頭に触れば学業上達」「杖をこすれば幸運を招く」など8つの徳があるそうなので、お試しあれ。また、商店街のマスコットキャラ「だっこポン」(もちろん狸)をはじめ、店先にある置物や看板、店名…など意外な場所に「狸」が隠れています。いくつあるのか、探してみるのも面白いですね。
狸小路を1丁目から歩くなら、その前に「大通公園」と「創成川」を散策するのがおすすめ。なぜならこれらは、開拓使が札幌を東西南北に区切る際の基線としたもの。テレビ塔付近から10分程度の道のりの途中には「札幌開拓の祖」と呼ばれる大友亀太郎像や創成橋、付近には1901年に建築された土蔵造2階建ての「秋野総本店薬局」もあるので、明治の街並みを想像しながら「狸小路」に向かうとイメージが広がるでしょう。創成川に面した狸小路1丁目から札幌駅前通までの3丁目間は、昔懐かしい商店街の雰囲気が色濃く残るエリアです。たとえば、1丁目に「齋藤印房」「佐藤印舗」があるのは、かつてハンコ屋が密集していた証拠。日清戦争時から兵隊を中心に印鑑の需要が高まり、多いときには7軒もあったそう。レトロな店先や看板を眺めながら、ノスタルジックな気分を楽しめます。個性的な専門店のなかでもおすすめは、2丁目のメンズショップ「マルフジ T・C・BOX」と3丁目の果物店「サン・フルーツ」。前者はメンズブランド「VAN」を扱う札幌唯一の専門店で、こだわりの品揃えは道外から買い求めに来る人がいるほど。後者は1945年年創業、今も昔ながらの対面販売を続けており、夏のサクランボや秋のリンゴなど、北海道の旬の味覚をここで買い求めることができます。また、3丁目の駅前通角には、私たちガイドが常駐する「狸小路都心民間交番」があります。年中無休、10時から17時まで。道案内はもちろん、観光情報や旅の困りごとにも幅広く対応しているのでお気軽にお立ち寄りください。
狸小路4~7丁目は、飲食店が多いグルメエリア。和・洋・中とジャンルもいろいろですが、地元では〝めんこい通り〟と呼んでいます。その理由は、人気ラーメン店が点在すること。「博多ラーメンばりきや」「ラーメン山岡家」「炎神」(4丁目)「喜来登(きらいと)」「麺屋 雪風」(6丁目)「らーめんサッポロ赤星」(7丁目)のほか、担担麺専門の「担々亭」(6丁目)や本場シンガポールスタイルの「新加坡蝦麺(シンガポールエビメン)」(7丁目)などの変わり種もあり、ラーメン好きならずとも食べ比べに挑戦したくなることでしょう。ラーメンのほかにも、土鍋ハンバーグが人気の「北斗星」(5丁目)、名物「花園だんご」が味わえるレトロな喫茶店「札幌新倉屋本店」(6丁目)もおすすめ。ランチタイムは行列ができる場合もあるので、時間に余裕を持って足を運んでください。また、北海道産食材を買い求めるなら、直売店「HUGマート」(5丁目)がイチオシ。新鮮野菜や海産物、乳製品のほか、シカ肉や冷凍ジンギスカンなど、ここでしか手に入らない商品がずらり。地方発送も可能なので、贈り物や自分への土産にも最適です。ちなみに、3・4丁目は「狸小路」で最も人通りの多いメインエリア。特に休日の食事時は混み合うので、人混みを避けてのんびり歩きたい時は、平日の10時か15時前後に来ると良いでしょう。
狸小路1~7丁目は商店街振興組合を結成しているアーケード街ですが、8~10丁目からはアーケードが途切れるため、地元市民でも足を運ばない人もいますが、実は新しいショップや老舗店、こだわりある専門店が点在。アーケード下とは違う、「狸小路」のもうひとつの〝顔〟が楽しめる穴場エリアといえます。たとえば、8丁目に佇むガラス窓の大きな路面店は、オリジナルの革鞄を作る工房「日下公司」。若い職人さん手作りの革製品はここでしか手に入らない逸品ばかりなので、自分へのご褒美にどうぞ。この並びにはカラフルな電球の灯りが目を引く「照明のサイトー」や古書店「八光書房」など、味わい深い店も続きます。かつて飲み屋街としてにぎわった9~10丁目は、今はひっそりとした雰囲気ですが、昔ながらの居酒屋「金富士酒場支店」「焼鳥たまや」(10丁目)が健在。かつて〝第二のススキノ〟と呼ばれた飲み屋街は「ひょうたん横丁」として営業しており、ぶらり歩けば場末の酒場の空気を味わえます。10丁目の「河童鮨」は、ネタが新鮮なイチオシ店。リーズナブルなランチタイムもおすすめです。また、街の成り立ちを知る見学スポットが2つ。ひとつは、9丁目の「五條釣具店」横の駐車場奥に残る石碑。これは、1933年に建立され、戦後に廃堂となった札幌観音堂の名残で、彫刻家・高村光雲作の観音像がご本尊だったそう。もうひとつは、9・10丁目の境の道路で、札幌では珍しい斜めの小道は下町の風情が残ります。かつて飲み屋街として盛況した時代を偲ぶとともに、狸小路ならではの〝ストリート文化〟を感じてみてください。観光を楽しむならホテル選びも重要!ホテル・宿を見つけて、旅行に行こう!
140年を超える商店街「狸小路」。その歴史とともに歩み、長く商売を続ける老舗店をご紹介。
アーケードでは物足りない! 路地裏の市場や飲食ビルなど、ひと味違うディープな「狸小路」を楽しめる空間をご紹介。
かつて「狸小路」には大小さまざまな映画館が集まっていた。そのほとんどが姿を消した今も、一軒のミニシアターが映画の灯を燃やし続けるほか、最近はロケの話題も。映画好きにはたまらないスポットをピックアップ。
どこの丁目に行くかで、最寄りの地下鉄は変わるが、時間に余裕があるなら、達人がすすめる通り、大通公園から創成川沿いを歩き、狸小路1丁目から歩いてほしい。「狸小路」の目印は、もちろんレトロなアーケードだ。
札幌市地下鉄南北線・東西線・東豊線の「大通」駅を下車、狸小路3・4丁目まで徒歩4分札幌市地下鉄南北線「すすきの」駅を下車、3・4丁目まで徒歩3分札幌市地下鉄東豊線「豊水すすきの」駅を下車、1・2丁目まで徒歩3分
札幌駅から駅前通を南に走って約15分。商店街には約30カ所の指定駐車場があり、買物2000円につき1時間の無料駐車券がもらえる。(一部発行しない店もあるので、利用店に問い合わせを)
札幌の観光名所の楽しみ方や、夜景・グルメ・温泉・観光イベント情報などをひとまとめ!札幌エリアで旅行を楽しむツアープランやホテル・宿の予約プラン、レンタカープランなども紹介。札幌旅行を考えている方は下記のURLから「札幌エリア特集」をチェック。【札幌エリア特集】はコチラ
狸小路は「耳」でも楽しめる!
狸小路には「耳」でも楽しめるポイントがある。2丁目の「ビヤホールライオン狸小路店」の“店先”にいるのは「ライオン男爵」。実は25年間故障していたが、平成26年(2014)の店100周年を機に修理され、からくり人形として復活。毎日12時~21時まで1時間ごとに時を知らせ、コミカルな動きを見せてくれる。注目して欲しいのはセリフ。何と、毎回しゃべる内容が違うのだ。さらに、どこからか聴こえてくる商店街のテーマソングも要チェック。「日立の樹」などを手掛けた伊藤アキラが作詞、小林亜星が作曲し、「狸小路はポンポコシャンゼリゼ」という曲名が付いている。「♪月がポンと出りゃ星がポコ♪」の歌詞を聞けば、愉快な気分で歩けること間違いなしだ。
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